
世界一のレストランは、アルゼンチンからきたシェフのいる南仏の店 。
この秋は、ジュリエット・ビノシュの独壇場みたいだ。是枝裕和監督がフランスで撮影した、カトリーヌ・ドヌーヴとビノシュが共演している『真実』はまだ試写で観てないけど、立て続けに3本封切られるそうで、そのうちの2本はすでに観ている。
1本目のオリヴィエ・アサイヤス監督、ビノシュ主演の『ノン・フィクション』は、いまのパリの出版業界の現実を、エリック・ロメール風にありのままに描いたもので、とても魅力的な作品だった。ビノシュの役は女優で出版社の重役夫人だった。
2本目は来年1月頃に封切り予定のサフィ・ヌボーの『セル・ク・ヴー・クロワイエ(原題)』で、インターネットを通じて、ビノシュが若い男とSNSをやり取りする現代的なドラマで、とても引き込まれた。
存在感からして圧倒的なイザベル・ユペールと違って、ビノシュは、ふわりと肩の力を抜いた演技が巧みだ。
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コペンハーゲンの「ノーマ」が、「世界のベストレストラン50」で最高位を得て、ここ数年世界の料理界の王者として君臨していたけど、最近それが変わったらしい。今年の「世界のベストレストラン50」の最高位は、ニースに近い南仏マントンの海を眺めるレストラン「ル・ミラズール」が選ばれたそうだ。シェフは、南米アルゼンチンから2001年にやってきたマウロ・コラグレコといって、ロワゾー、パッサール、デュカスで修行をした後、めきめき腕を上げ、南仏の三ツ星レストラン「ル・ミラズール」で働くにようになったという。
またしても「ノーラ」の時と同じで、コート・ダジュールでもっとも予約の取れないレストランになりそうだ。
グルメといえば、実は昨夜は近所の乃木坂の鰻の名店「勢きね」で、外はパリパリ、中はしっとり柔らかい絶品のひつまぶしを堪能してきた。ミシュラン星の店で、生涯に一度は訪れたい鰻の名店の風格があるところ。
名店といえば、以前よく行っていた西新橋の日本料理の最高級店「京味」の大将、西健一郎さんが亡くなられた。もう一度いきたい、と思っていたところだった。ご冥福を。
パリに住んでいた頃は、東京から戻る飛行機の中で食べるように、といつも西さんがお弁当を作ってくれていて、いま思えば贅沢の極みだったのを思い出す。
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8月初めは鎌倉、極楽寺のあたりに宿泊して、由比ケ浜の「松原庵」で、蕎麦がきや十割蕎麦を食べてきた。
逗子にある世界一小さな映画館、10席しかない古民家の中にある「シネマ アミーゴ」に行った時は、ドライカレーを食べながら、マルジェラとスタッフたちのドキュメンタリー映画『マルジェラと私たち』を観て、昼下がりを過ごした。映画を見終わってから、アミーゴを経営している長島源さんと、カフェでおしゃべりを。最近は逗子映画祭を手掛けているそうで、相変わらず映画熱は止まらないようだ。
「今年はロン・ハーマンが誕生して10年目、僕らの映画館もちょうど10年なので、8月末に、一緒にパーティーをするつもり」と源さん嬉しそう。
そう、おいしいものと映画さえあれば、もうそれだけで人生こと足りる?
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