猫ごころ 巴里ごころ

世界はどこへ向かっているの? フレンチロック界の星。

「世界は、どこへ向かっているのだろう。男たちも女たちも、どうしてこんなに残酷になってしまったのか。いつまでも美しいままでいてくれよ。そう願わずにはいられない」

脱力系のボーカルで、語りかけるように唄っているグループ、ラ・ファムの「世界はどこへ向かっているのだろう(ウ・ヴァ・ル・モンド)」の曲は、一度きいたら、結構胸に絡みついてくるし、エンドレスできいていられる。歌詞はシンプルだし、覚えやすい。

女性一人に、男性四人のグループ「ラ・ファム」は、すでに十年前から活動していたそうだが、二枚目のアルバム「ミステール」に入っていたこの曲が注目されて、俄かにメディアからの取材が殺到しているという。すでに2016年に発売されていたアルバムだったが、このところこの曲がフューチャーされ出したのは、やはりコロナ禍のせいではないだろうか。緊急事態宣言下の閉塞感の漂う中、どこか遠くから聞こえてくるようにハートフルなこの曲は、久々にフレンチロックが放つヒット曲のようだ。

ビアリッツの海岸は、フランスでもサーファーのたまり場として知られているけど、そのビーチでミュージシャンを志すサシャ・ゴットとマーロン・マニエは出会ったという。

ギターとシンセのふたりは、たちまち意気投合、その後サム・ルフェーヴル、ネオ・デルマス、クレマンス・ケレネックら三人とネットを通じて知り合い、「ラ・ファム」を結成している。

オスカー・ワイルドやデヴィット・ボウイがアイコンだというグループは、ヴィジュアル的にも突出した美意識を発揮して、アルバムをカバーしているし、独自の世界観でフレンチロック界の未来を背負って独走していると言われている。
春には3枚目のアルバム「パラダイム」をリリースするようだし、タイトルからして未来を暗示しているようで、目が離せない。

東京を離れて2ヶ月足らず、自宅近くにサーファーたちがやってきて、ボードで楽しんでいる姿を見るのも、日常風景になってきた。日本のビアリッツ(?)も、結構賑わっている。(コロナ禍だけど、大丈夫?)

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そんな光景を、海岸から猫のピカビアを連れて散歩をしながら、眺めている今日この頃。

村上香住子

フランス文学翻訳の後、1985年に渡仏。20年間、本誌をはじめとする女性誌の特派員として取材、執筆。フランスで『Et puis après』(Actes Sud刊)が、日本では『パリ・スタイル 大人のパリガイド』(リトルモア刊)が好評発売中。食べ歩きがなによりも好き!

Instagram: @kasumiko.murakami 、Twitter:@kasumiko_muraka

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