猫ごころ 巴里ごころ

パリ・オリンピックの準備がもう始まった?

冬の奈良へ杉本博司の春日大社の藤の花の写真を。パリはオリンピック・ムード。

パリの入江末男さんからのクリスマス・カードに「セーヌ川のボートから、オリンピックを見学にきませんか」と書いてあった。そう、もうパリ・オリンピックは来年、目前に迫っている。

チケットのための抽選も、すでに昨年12月から始まっていて、抽選に当たった通知がきたら、2月15日からパッケージになったマルチチケットを購入することができるというシステムになっている。行くのならすぐに決めなければいけないけど、どうにも踏ん切りがつかない。まだコロナ禍も戦争も先がみえない状況だし、どういうことになるかわからない。

セーヌの船からコンコルド広場のスケートボードの競技をみたり、パリは競技場だけでなく街中で行われるので、きっと臨場感あふれることだろう。おそらくSNSには、パリを舞台にした競技風景の写真があふれるにちがいない。結局それをみて終わるのかもしれない。

オリンピックに備えて、次々に新しいホテルがオープンしているけど、気になるのは「メゾン・プルースト」プルーストの時代のベル・エポック時代のパリに憧れる者にはぴったり。それもマレー地区の17世紀のマルシェ、「レ・ザンファン・ルージュ」に近いという地の利もいい。新現代美術館、ブルス・ドゥ・コメルスにも歩いていける。

バスティーユ広場近くにも、新ホテルの「オーロル」というエコ・ホテルができたという。

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このところ訃報が続くけど、伝説のミュージシャンのジェフ・ベックが1月10日に亡くなった。80年代頃から聴いていたので、アルバムの時計の写真のカバーを、インスタにアップして追悼。天才たちが次々に旅立っていく。

 

もうひとりの天才、今も世界を股に活躍しているミュージシャン、ニック・ケイヴも、相変わらず独自の創造性あふれる活動をしていて、去年はモントルー音楽祭で、スペシャルゲストにジョニー・デップを招いて聴衆を驚かせていた。今年は「狂気と哀しみのリズムが遠くからきこえてくる」といっているので、そろそろニュー・アルバムをリリースするのかもしれない。
コロナ期に入って3年目になるけど、彼はコロナになって間もない頃、今考えれば「予言者」のようなことを言っていた。
「これからはみんな車の運転席でなく、後部座席に移って、全体の景色を眺めながらゆっくりと進むようになる」といっていたのだ。
3年後の現在、確かに彼のいう通り、世の中はアグレッシヴにがむしゃらに前進するより、テクノロジーは進化しても、緩やかな方向も好むようになってきているようだ。

たとえばレア・セドゥのような、スローな感じの女優がもてはやされるし、旅先も、癒しの旅やヒーリング・スポットが求められている。
どうやらウイズ・コロナは、本格的なリトリート時代になってきている。

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私も来月は奈良へいき、春日大社での杉本博司の新しい作品をみにいく。「春日神霊の御生の特別展」に飾られる藤棚の写真にすっかり魂を奪われ、どうしても実物をみたくなったからだ。旅に出るのは久しぶり。
春日大社などにも和菓子を納めていて、京都の茶人にも人気の、その方面では最高峰といわれる「樫舎」にもいけるし、宿は私のこころの宿、町宿一棟貸しの「紀寺の家」を予約した。
冬の奈良も、悪くないと思う。

今年も肩の力を抜いて、のんびりいきたいものだ。

 

村上香住子

フランス文学翻訳の後、1985年に渡仏。20年間、本誌をはじめとする女性誌の特派員として取材、執筆。フランスで『Et puis après』(Actes Sud刊)が、日本では『パリ・スタイル 大人のパリガイド』(リトルモア刊)が好評発売中。食べ歩きがなによりも好き!

Instagram: @kasumiko.murakami 、Twitter:@kasumiko_muraka

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