エコロジーからエゴロジーへ、自己啓発の傾向なの?
パリからきた友人が、「今パリは革命中だから大変なんだ」という。
「年金制度が改革されたからでしょう?」
「可決したからといって、解決したわけではないんだよ」
「まだデモは続くの?」
「みんな、鍋や釡を叩いて大騒ぎ。一時政府は鍋や釡は禁止、といっていたけど、そんなのどの家にもあるから、止めるのは難しいだろう」
どうやら行動派は外にいって、鍋や釡を叩き、家にいる人は、YouTubeで政治討論会をみて、エキサイトしているという。
最近は哲学系のYouTubeも人気で、なかなか美男のジュリアン・ロシュディという哲学者には、75万人のフォロワーがいるというし、中でもニーチェの思想が人気で、ニーチェの哲学入門などが支持されているようだ。ロシュディは極右の思想の持ち主なので、政治にも影響を与えているとしたら、少し心配だけど。
フランスでは、少し前まではエコロジーと騒いでいたのに、このところそうした自己の考えを深めようとしている人が多く、エコロジーからエゴロジーへ、という人もいる。
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先日私が鎌倉の鶴岡八幡宮で開催したイベント「古都鎌倉と茶の湯のこころ」にきていたIT企業に勤めているという若い女性に、「今何か夢中になっていることある?」ときいてみたら、即答で「哲学系のYouTube」というので驚いた。若いアーティストや、パンクなミュージシャンが哲学を語るという。
「週一で決まった時間に、みんなでリモートで哲学の本について、それぞれ意見をいうのがとても楽しい」そうだ。
イザベル・ユペールが、若手の注目ブランド「エゴン・ラボ」の、オーバーサイズのドレスを着ていたそうだが、「エゴン・ラボ」のデザイナーは、「僕らはフランス人に革命を呼びかけにきたのです。ド・ゴール将軍がロンドンから自由フランスへ、と呼びかけたように。だから最初のコレクションは「ラペル(呼びかけ)」だったのです」ティモシー・シャラメもKポップもオーバーサイズを着ていたそう。
時代は表層文化から、イデオロギーのある文化に向かっているの? 旧世代対Z世代というあまりにも単純な図式ではなく、その中間をいく過程の思想が見直されているのかもしれない。そうだとしたら喜ばしいことだけど。
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