
ふたりのボー・ギャルソンがプロデュースする、高円寺のヴィンテージ店。
古着というよりは、ヴィンテージのショップなのに、何か新しいパワーを感じてしまうのはどうしてなのか。
レトロで、少し埃っぽい古着ではなく、「CVBIN/SELDOM」には新鮮に再生されたレアな美意識が漂っているのはなぜなのだろう。やはりふたりの若きショップ・オーナーが、パリやロンドンのストリートを歩いていても、個性的でお洒落だと注目されるようなレベルだからかもしれない。
ふたりのオーナー。写真左 カイト、右 レイ
ショップは高円寺の商店街から少し入った細い路地裏にある隠れ家風で、閉ざされたドアは少し入りにくいけど、中に入ると元モデルのボー・ギャルソンのレイとカイト、ふたりのオーナーが出迎えてくれる。
「僕らはヨーロッパのブランドを中心に選んでいます。渋谷や原宿ではなく、独立したイメージにしたかったからです」とレイ。
レディースもメンズもあるが、別段どちらかに決めつけたくはないというユニセックスに。ちなみに壁にかかっているオリヴィエ・テスケンスの白いジャケットは、レイが着ていたそうだが、私も欲しくなった。
オィヴィエ・テスケンスのジャケット。
「1990年から2000年にかけての海外デザイナーズに絞ったラインナップです。当時数年で終了してしまった知る人ぞ知るブランドに、スポットを当て、現代の人々に、その魅力を伝えたい」と今度はカイトが語る。
「CVBIN/SELDOM」には、ニコラ・ジェスキエール時代のバレンシアガや、フセイン・チャラヤン、メゾン マルジェラ、ヘルムート・ラング、ジョン・ガリアーノなど、選び抜かれた宝物の一点が見つかるので、つい買いたくなる。
ジョン・ガリアーノのデニムジャケット。
ソフィア・ココサルキがラフォーのためにデザイン。
ヘルムート・ラングのスカート。
ふたりは積極的に勧めてはこないので、ゆったりと時間をとって試着もできるし、勿論ふたりの意見をききたければ、優しく相談に乗ってくれる。
パリもヴィンテージのショップが大人気で、このブームはまだあと数年は続くといわれている。やはり地球温暖化でリサイクルが見直される時代だからかもしれない。
そうした中で趣味のいいショップを知っておくことは、大事かもしれない。 最近のパリの傾向は、「長期間着れるもの」と「ペルソナリザシヨン(個性化)」と言われている。そのふたつの要素を満たしてくれるのが、「CVBIN/SELDOM」のようなショップかもしれない。
来年は墨田区にあるヴィンテージ・ショップ「モードの悲劇」とコラボイベントを企画中というのにも期待したい。
photography: CVBIN/SELDOM
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