食・服・芸術の一軒家が、旅館っぽい敷地に点々と。行ってホントに良かった、山梨県にっ。
今回のお話はですね、え〜、ファッション関係者向けですね。
っても、服を買ったり、食事する店のご紹介ですから、
ぜんぜん小難しくも専門的な話でもないんですけど。
なんというか……いまアパレルで仕事してる人たちが、
みんな悩んでいることへの、
一つの解答がここにある気がするんですよ。
「どんな店をつくればお客さんを呼べる?」
「ライフスタイルとファッションとのリンクってどうやるの?」
「ブランドイメージをUPさせる店はどんなもの?」
「長く愛されるブランドと店をつくるには?」
「ストリート流行りだのディレクターの交代劇だの、ちょっと疲れてきた……」
「日本人の心ってなんだろう?」
そんな、あなた!
ここに行ってみましょう。
東京から車で2時間半の、
「evam eva yamanashi(エヴァムエヴァ山梨)」に。
……ん………nn……山梨。
そりゃ東京暮らしの人は、そう簡単に行ける場所ではないですけども。
そして、偉そーに語ってる私自身も、2ヶ月前までこの店を知らなかったですけども。
雑誌の撮影場所の候補として、スタイリストの井藤成一さんに教えていただくまでは。
まーだいたい、東京・新宿あたりから車で(プロドライバーの運転で)、2時間半ほどの甲府に近いあたりですかね。
(引きこもりの私は、地図も読めなければ長距離感覚もナシ)
よく車で遠出する人なら、すんなりと行けそうな土地ではあります。
そして、
お目当ての「エヴァムエヴァ山梨」は、
木を切り出した山の中腹の、
畑と民家が少々あるばかりの、
だだっ広い場所に突然現れます。
このことが、敷地に入って時を過ごすうち、
「帰りたくない……てか、ここに一泊したい」
と思うほどの、心地よさを生み出すんですが。
これからお見せしていく私の写真では、周辺の空気がまず伝わりませんので、
GoogleストリートビューのURLを添付しときます。
全国に18店舗を展開し東京だけでも、
青山、銀座、丸の内、自由が丘、吉祥寺、二子玉川、日本橋と、
一等地に居並ぶファッションブランド「エヴァムエヴァ」の旗艦店が
ここにあるなんて想像もつきません。
大門をくぐって、敷地の中に入ります。
元はここの地主が所有していた、蔵などがあった敷地を改装したそうです。
タイトル「撮影スタッフのいる風景」。
敷地内にそれぞれ一軒家で、エヴァムエヴァのショップ「色」、レストランの「味」、ギャラリーの「形」があります。
どれも和洋折衷で、まー、趣味の良さ炸裂してます!
(もっとマトモな言葉使わんかい)
服のショップ、「色」。
ゆったりと選べる空間です。
縦長の窓が掛け軸っぽくて日本的だなー。
続きまして、こちらはギャラリーの「形」。
庭で山を眺めつつ、ずっーと立ってられますわ。
そして、さらに贅沢な空間なのが、
レストラン&カフェの2部屋と、物販スペースの「味」。
入り口に入ってすぐ奥には暖炉が。
中に入って左の最初の部屋がレストラン。
廊下を進んだ先から玄関を振り返ったところ。
食堂っぽさが心地よくて。
窓の外は、竹林。
気持ち良すぎです。
廊下の2階へ続く階段も、和の質感たっぷり。
昼のランチ(11時半〜14時)は、¥2,500(税別)。
夜のディナー(17時半〜21時半)はコースで、¥3,500と¥5,500(各税別)。
旅館のような敷地をゆっくり歩いて着席し、穏やかな物腰のスタッフさんたちにサーブされ、竹林を眺めながらの和食でこのお値段。
もう、都内にあれば一人でも通う……い〜や、都内じゃこの雰囲気は絶対に出せないっ!
ホントにラグジュアリーなもてなしとは何なのか、考えちゃいましたね。
レストラン横から廊下を進んだ奥には、別部屋のカフェスペースが。
食事してお買い物してアート鑑賞して、お茶飲みながらの談話が、
この敷地内ですべて愉しめるように考えられています。
大人の休日そのものですよ。
さらに、この建物に入って右側は物販コーナーでして、
器などが取り扱われてます。
お茶などの食品も少し。
ディテールだけにフォーカスするなら、東京にも似た内装、外装、インテリアはあるでしょう。
でも周囲の環境や静けさも含めたトータル世界で、ここに匹敵する場所はたぶんない。
(あるならどなたか教えてください! 撮影で使いた…… ←仕事モード)
同じテイストの衣食住のすべてが、この敷地の中にあります。
庭の木や植物がですねー、計算されたつくり込みでなく自生してるのがまたイイんです。
(雑草とかフツーに生えてますから)
贅沢&高級なのに、知り合いの家のような親しみやすさがあるんです。
運営している会社は、「近藤ニット」。
山梨にニット工場を持つ老舗です。
3代目の近藤尚子さんが工場を存続させるべく一念発起して立ち上げたのが、オリジナルブランドの「エヴァムエヴァ」。
自身も暮らす地元を大切にする思いから、2017年にこの旗艦店を誕生させたそうです。
定休日のレストラン内で、スタッフと打ち合わせする近藤さん(中央)。
「エヴァムエヴァ」のデザイナーさんでもあります。
外を散歩してるのは、ロケバスドライバーさん。
なんですかね、この場所にいて、いろんな思いが頭をよぎりました。
「心惹かれるのは、自分がいい年になったせいかな」とか、
「都会から離れた暮らしとはどんなものかな」とか。
さらに、
「ファッションが持つ力ってスゴイ」
「食、建築、アート、生活道具のジャンルから、ファッションに興味を持ってもらう手段がやはり現代には不可欠だ」
とも。
若者のファッション離れを食い止めるのはかなり難しいけど、
大人に素敵な時間を与えて、気持ちを惹き付けることはできそう。
どーです? ファッション関係の皆さま。
視察して体感する価値ありの、「エヴァムエヴァ山梨」ですよ。
evameva-yamanashi.com
そして、山梨への小旅行ついでに、
名物の「ほうとう」を食べて帰ってもいーじゃないですか。
ええ、「ノー飯」で朝から働いた、
全員男スタッフの胃袋を夕方近くに満たしてくれましたよ。
あの上質でジェントルな、和洋折衷の空気を吸い込んだ感動はどこへやら、
もうガッツガツと食ってましたよ。
ただのむさ苦しい野郎どもに戻ってましたよ、ええ。
ま〜、ウマかったですけどもっ。
あ〜〜〜、楽しい撮影でしたけどもっ。
仕事の結果は、3月1日発売のPen「ファッション特集号」に、8ページで掲載されますけどもっ。
photos © Kazushi Takahashi
※この記事を紹介する目的以外での、SNS、まとめサイト、ブログなどへの画像転載はご遠慮をお願いいたします。
ARCHIVE
MONTHLY