旅するミュシャ#1 はじめまして、ミュシャです。
『旅するミュシャ-もふもふは荷物ですか?』技法:油絵
ミュシャ 皆さまはじめまして、ミュシャです。わたちは美しい世界が大好き。今日はマダムフィガロジャポンの読者の皆さまに同居人の画伯をご紹介しますね。画伯、自己紹介をしたら?
ミュシャ
中島 ミュシャさん、紹介ありがとうね。フィガロジャポンの読者の皆さま、初めまして。画家の中島健太と申します。ミュシャと住み始めて1年と少しになります。ミュシャはとても好奇心旺盛で新しいことが大好き。そんなミュシャと画家だからできる旅、世界中の名画の世界を一緒に旅をしようと思います。国境も、時間も、ジャンルも超えて、いろんなところへ行こうね、ミュシャ。
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ミュシャ 普段画伯は油絵で絵を描くのでしょう? 油絵って、なんで油で描かなければいけないのかちら? お水でいいじゃない。
中島 油絵の具は長期に保存できるというメリットと、絵の具をなめらかにするという大きくふたつのメリットがあるんだよ。
ミュシャ むずかちくて、何を言ってるのかよくわからないわ。
中島 すみません、、、えっとミュシャは、乾燥したご飯とオイルの入ったしっとりした缶詰、どっちが好き?
ミュシャ わたちは缶詰派ね、だって圧倒的にしっとりしておいちいもの。
中島 それそれ。絵の具も油を混ぜてあげると、とってもしっとりしてなめらかになるんだよ。モナリザがなめらかな肌をしているのも、油絵の具だから可能なんだよ。
ミュシャ(…モナリザって誰かちら…。)
中島 それから、たとえば女性は肌のお手入れでオイルを使うでしょう? あれは肌をコーティングしてあげる事で乾燥から守ってるんだけど、絵の具も油でコーティングしてあげる事で、とても長もちするようになるんだよ。だから逆に水彩絵の具なんかで描かれた作品は、美術館なんかでも管理が慎重になるんだよ。水彩画が掛かっている部屋は他の部屋より暗かったりするのも、そんな理由があるんだよね。
ミュシャ わたちは舐めるだけで綺麗になれるけど、人間って大変そうよね。
中島 ……。
ミュシャ ところで画伯は普段、たくさん絵筆を使っているけど、あんなにたくさん何に使うのかちら?
中島画伯の机の上。大小さまざまな絵筆が並ぶ。
中島 本当に山のようにあるよね…。でも筆によって全然描き味が違うし、それに毎日使うとどんどん筆ってダメになってしまうからね、短いものだと3日程度しかもたないんだよ。
ミュシャ ほんとかちら。画伯が雑なんじゃないの?
中島 まぁそれもあるけど、、、(苦笑)。こんな風に筆ってどんどんすり減っちゃうんだよ。
同じ筆も、使い続ければ数日ですり減っていく。
ミュシャ 面白いわ。
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中島 ちなみに今回のミュシャを描いたパレットはこんな感じだよ。ミュシャの毛はグレーに青味がかかっているから、黒の絵の具にターコイズブルーや深緑も混ぜてみたよ。
ミュシャを描いたパレット。
ミュシャ 思ったよりワイルドなパレットね。でもあたちの毛艶の再現は結構上手にかけているんじゃないかちら。
中島 お褒めのお言葉、恐縮ですよ。
ミュシャ ところで画伯、そろそろご飯の時間じゃないかちら?オイルでしっとりした缶詰、今日はお願いできるんでしょ?あたちお腹が空いてきちゃった。
中島 うんうん、ミュシャさん今日もお付き合い有難うございました。読者の皆さまも本日はありがとうございました。次回はルノワールの世界を旅する予定です。
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