旅するミュシャ#特別編 ミュシャとお友達
ミュシャとの共同生活が始まりもうすぐ2年。僕の生活は驚くほど豊かになりました。意思の疎通は、できたりできなかったり。ご飯の時意外は、全然構ってくれない事もちらほら。
中島健太『ミュシャとお友達-夜ふかし-』2021年 油彩
それでも、いつもふわふわで、少し暖かい。僕がせわしなくしているのを片目に、お気に入りのゆり椅子ですやすやと眠る。全く、人の気も知らないでさ……と思いつつ、そんな無遠慮なお昼寝姿に癒される。
11月7日はミュシャの誕生日。生まれてきてくれて有難う。そして僕の家に来てくれて有難う。命と向き合う責任の重さを毎日勉強させてくれて有難う。ミュシャと出会って僕はとても豊かになりました。ミュシャにとってもそうだといいなと心から思う。
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一方で、小さくて大きな命と向き合うことで、目を背けてはいけない問題の当事者意識も少しずつ芽生えてきた。誰もが知りながら、距離をおいているペット産業の闇の部分。ミュシャとの出会いは、いつも画材を買いに行くホームセンターのペットコーナーでした。
小さなケージに入れられたこの子たちは、売れ残ったら何処にいくのだろう?当たり前に感じるそのふとした疑問を、その答えの残酷さから、深く考える前にそっと見えないところにしまう。そんな負の面と現実的に向き合っている人たちがいる。
僕は活動家にはなれないかも知れない。でもアーティストとして啓蒙し、支援する事は出来る。
今回ミュシャの2歳の誕生日を記念して「ミュシャとお友達-夜ふかし-」を描かせて頂きました。
僕のSNSを通じて一般公募させて頂いた参加希望者のペットちゃん達に、作品の中でミュシャとお友達になって頂いた。お友達になってくれた子たちをそれぞれ紹介します。
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【バッハちゃん】
殺処分される日の朝に飼い主さんに引き取られた5歳の男の子 フミフミと甘えるのが大好き
【五右衛門ちゃん】
飼い主さんに保護猫カフェで引き取られた一歳の男の子。犬みたいな甘えん坊くん
【リィリィちゃん】
一歳半でとっても人懐っこい女の子
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【キラちゃん】
保護猫を飼い主さんが引き取った、心優しい一歳の男の子
【バズちゃん】
もう亡くなってしまった、飼い主さんにとっても愛されたビーグルの女の子。とっても食いしん坊だったそう。
沢山沢山愛されているミュシャのお友達と、ミュシャをゴッホが晩年描いた夜のカフェテラスの側で遊ばせてあげる。旅するミュシャの世界だから出来ること。この作品を、今回チャリティオークションに出品させて頂き、オークション手数料を除く全額を動物愛護団体に寄付させて頂きました。落札額は24万円。
普段のように作品が売れる事とはまた違った感覚。次の作品を描く為に作品を売る、というサイクルから一歩外に出ることが出来た事で新たなやりがいを感じています。僕が描く事で、問題と現実的に向き合っている人々を支援することができる。小さな一歩だけど、歩み続ければ細くても道になるかもしれない。今はそんな予感を持っています。
ミュシャ、いつもありがとう。これからも、よろしくね。
今日もミュシャはよく眠る(飼い主の気持ちは届いているのだろうか…?)
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