かぐわしきみなと通信

かぐわしきみなと通信/甲斐美也子

香港で予約3ヶ月待ちの超人気店とは・・・・・・

3ヶ月前の予約開始とともにたちまち席が埋まる超人気店。

味のある新旧の店が並ぶエリアにあるものの、前を通っても見つけられないほどの隠れ家。

最近個室もできたものの、以前はカウンター6席+テーブル2席だけというシンプルな造り。

どんな店??と気になりますよね。

やっと見つけたこの表札! そうなのです、以前は京成曳舟の人気店だったという、創作料理と日本酒の「ごでんや」なのです。日本酒の温度を調節して、さまざまな美味しさを引き出す「燗付け師」の五嶋慎也さんが、香港に移住してオープンさせて約1年。地元の食通の間で口コミで広まり、ある有名グルメガイドの編集長は、予約至難なのに10回もリピートしているとの噂も!

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たまたま仕事の関係で共通の友達がいた五嶋さんと知り合い、これはぜひ食べに行きたい!と3月に香港人のライターやPRさんを誘って予約。月に一回ぐらい「ごでんや、6月だからね!」と確認を取り合い、先日ついに行ってきました!

手作りでほぼ作られているインテリアもミニマリストで素敵です。そして空間にぴったりとはまる、いなせな着物姿の五嶋さん。いやーいいですね!

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楽しい会話で始まった本日の集まり、期待に胸を高鳴らせる私たちが最初にいただいたのがこれ! とり貝と赤貝の前菜に、初めて飲んだスパークリングの日本酒、奈良の花巴山廃純米代吟醸生!13℃!(お品書きにそれぞれのお酒の温度も記されています)。

完璧にペアリングされた、珍しいお酒と新鮮な食材を生かした創作料理が、麗しい器に盛られて出てくる・・・・・・至福です。グラスは江戸切り子かと思ったら、ルクセンブルクのものなのだそうです。とても味のある姿ですね。

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お次は白エビと桃のパンナコッタに、オーストラリア産のサマートリュフが軽やかに載せられた爽やかな一品に、石川県の宋玄を22℃で合わせています。

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ちなみに1本ずつのお燗をこんな風にそれぞれ温度調節しているんですよ。

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次のお酒は「とろとろにごり」という金宝きもと純米にごり。

「とろとろ? トトロ?」と混乱する香港人たち(日本語が分かる人&となりのトトロが好きな人、多し、笑)。

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ムール貝のスープもとろりと美味しく絶妙なる組み合わせ。

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こちらの香港人ジャーナリスト&PRチーム、すっかり幸せモードです♪

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蛍烏賊と鰹とビーツを組み合わせたこの一品、美味しかったなー! そして合わせているのは香川の秘酒だという悦凱陣。47℃でほんわりと、ちょっと紹興酒のような味わいが斬新!!

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次は48℃でいただく天遊琳。おちょこは、江戸時代の骨董品なのだそうですが、ずっと未開封で保管されていたのでものすごく状態が良くて、そんなに古いだなんて!という不思議な存在感。目にもまろやかで優しい~。

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これを病みつきになりそうな柔らかい食感の蝦夷アワビや、アワビの味噌といっしょに。

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五嶋さんを紹介してくださった共通の友達の山森さんも同席。10年以上のお知り合いということで、香港人相手に頑張る姿を見て、「ごっしー、がんばったね!」と感無量だったようです♪

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笑い上戸が数名(含、私)もいまして、魔術のようなペアリングにうっとりしているか、笑っているかのどちらかの楽しい会になりました。

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香港では見かけない貴重な銘柄ばかり。こちらはお酒を絞った最初の部分「あらばしり」をそのまま瓶詰めしたという妙の華!

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そしてこれに合わせたのは! フレンチでよく食べるランゴスチンこと赤座海老のグリルに、オマール海老のビスク・・・・・・なのですが、ビスクの中にもお酒がたっぷり贅沢に入った大人の味です。ランゴスチンもものすごく風味があって、食べ終わった殻を舐めても美味しい、というぐらい(猫か、笑)。

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さっぱり爽やかだったのが真鯵のグリル、キュウリとレモングラスのスープと神亀!

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デザートは杏仁のクリームブリュレ。これにもお酒を注いで♪ 

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やっぱりカウンター席でお話を聞きながらいただくのが最高です!!

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私たちの後ろにはテーブル席が。

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個室もレトロでいい感じそう!

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器も1つ1つストーリーがあって。すべての要素が有機的に優しくペアリングされた丁寧さに嬉しくなりました。

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すっかり夢心地のペアリングディナー。また来ようね! この日のためにせっせと働こうね(お任せコースのみで1500香港ドル)と誓い合い、帰路へ。

お酒弱いので、ワインのペアリングだと途中から、ワインが残ったグラスが目の前に並んでプレッシャーなのですが、おちょこでちびちびだとほどよくて、しっかり最後まで五感を研ぎ澄ませたまま(??? かなりご機嫌だったという目撃証言も)繊細なハーモニーを堪能することができました。

日本人だと、お燗は邪道みたいな頭の人も多いので(←私も何も知らなかったので、そう思ってました!)、あまり前提知識のない香港人や他の国の人たちの方が、すんなりと楽しんでくれるのが嬉しい喜びだったそうです。

「ごでんや、行った?」は当分の間、香港の食いしん坊の合い言葉になりそう。

 

 

甲斐美也子

2006年より香港在住のジャーナリスト、編集者、コーディネーター。東京で女性誌編集者として勤務後、英国人と結婚し、ヨーロッパ、東京、そして香港へ。オープンで親切な人が多く、歩くだけで元気が出る、新旧東西が融合した香港が大好きに。雑誌、ウェブサイトなどで香港とマカオの情報を発信中のほか、個人ブログhk-tokidoki.comも好評。大人のための私的香港ガイドとなる書籍『週末香港大人手帖』(講談社刊)が発売中。

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