スパニッシュシェフの冬休みの宿題!?
いろいろな国の人が住む香港では、年末年始の感覚がとても不思議で、西洋人はクリスマス、日本人はお正月、中国人は旧正月がそれぞれ大事な「年末年始」的存在。やっと年が明けたかと思ったら、旧正月がもうすぐなので、なんだかまた年末気分がやってきている今日この頃です。
ヨーロッパ人はやはりクリスマス~正月にかけて長期休暇を取る人が多いもの。先日「冬の新しいテイスティングメニューをシェフが作ったから、食べにおいで」と誘われて、元エル・ブジの人たちがオープンさせたスペイン料理店「カタルーニャ」に久々に行ってきました。
今回のコース、スペイン人シェフがクリスマス休暇で里帰り中に、いろいろな調理器具などをどっさり持ち帰って、二週間ぐらいの間に練り上げてきたものなのだそうです!
パエリアやサックリングピッグなどの伝統的メニューも人気が高いこのお店ですが、こちらのコースは、クリエイティブなアイデアでいっぱいで面白い!
何しろ最初に運ばれてきたのは、洗濯物、ではなくてこれ♪
物干しに干されているのは、ぱりぱりに揚げた鮭、鱈、豚の皮! 最近、広東、フレンチ、スパニッシュのレストランで、皮を楽しむ料理に遭遇することが連続してありました。結構皮を食べる国が多いんですね-。手前にあるのは西フランス産生牡蠣とレモンのゼリー。レモンの果実だと思って一生懸命絞っている人もいるそう。すっきり爽やかにいただきました。
そして次に運ばれてきたのは。盆栽?
なんとアンチョビを詰めてカラメライズしてオリーブが実のようにかけられているのです!
「えー!」とテーブルは騒然(笑) 単にびっくりさせるだけじゃなくて、とっても美味しいので好感が持てます。
いよいよタパスの時間。瓶のふたを開けるとスモークのいい香りが。グリーンアスパラのロワイヤル(ムースのようなもの)にスモークアンチョビや黒トリュフ、黒オリーブ、きゅうり、ヨーグルトなどが入って、緑と黒の色のハーモニーが目に優しく、さまざまな風味と食感の組み合わせがとてもおいしい! そういえばこの店に来るようになって、缶詰じゃないアンチョビの美味しさを覚えました。
しかしこのすっきり感、爽やか感は日本的なセンスだなーと思っていたところ、シェフはやっぱり和食の修業もしていたのだそうです。本当に最近、日本や海外の和食店で働いていた西洋人シェフにものすごく頻繁に会います。和食ではないけれども、この「すっきりして美味しい」という感覚がある料理が増えるのは大歓迎! だんだん私の生きやすい世界になってきました(笑)
さあ、次は最近香港のレストランでもときどき目にするようになった「クリスタルブレッド」。カタルーニャ地方の伝統的なパンで、薄くてかりっとした食感があるから、こう呼ばれるのだとか。これにフォアグラとイチジクと48ヶ月熟成のイベリコハムという組み合わせ!美味しいに決まってますね!!!「お皿が焼き魚っぽいね」と、隣にいた日本通の記者さんと話してました。
こちらは牛の骨髄をJosperという有名なグリルで炭焼きにして、ウニも載せたというサーフ&ターフな一品。
とってもリッチなダック料理はカタルーニャ地方の冬の名物なのだそう。サイドにはカラメライズした梨が。
そして私が食べた最後になったのは、この「プレ」デザート、その名もモヒート! カクテルのモヒートの同じ中身をジェリーやシャーベットにしていて、とってもすっきりさっぱり。本来はこの後、本デザートが来るものの、ここで終了でもとっても満足感あり。
シェフが冬休みを使って延々と考えて、細やかにデザインしたんだなーという実感を沸かせられたのが、メニュー裏にあったこのイラスト!! ほのぼの感心させられました!
ARCHIVE
MONTHLY