かぐわしきみなと通信

アジアベスト女性シェフが腕を振るった「盆菜」を味わい尽くす

前回に続き、香港最古の豪族の祠「鄧氏宗祠」で開かれた、ヘネシー主催の旧正月の宴のお話。いよいよ本日のメインイベントである祝祭料理「盆菜」の時間がやってきました!

この日腕を振るったのは、アジアベスト女性シェフ2017を受賞したメイ・チョウさん。彼女の店、リトル・バオやセカンド・ドラフトは、フィガロジャポン本誌でも以前に紹介したことがあります。

アジアトップ50レストランの発表が先日バンコクであったので、ますます注目を浴びていますね!

さてさて、見事な獅子舞も堪能して、盛り上がっているところで、いよいよ食事の時間です!

 

テーブルはこんな風にセットアップされていました。

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主役である盆菜には、必ず8品の副菜がついてくるのだとか。この祠がある屏山村の伝統レシピをベースに、メイさんがモダンなひねりを加えた料理と、伝統レシピをそのまま使った料理と両方を味わうことができました。

こちらの2品は伝統レシピ。手前が鴨肉の梅肉と八角ソース、奥が豚肉の手作りミートボール。

名前も見た目も地味ですが、食べると驚くほどの味わいでした。質のいい食材を惜しみなく使って、手間暇かけて漬け込んだりしているんだろうなと思います。特にこの鴨は、目の覚めるような風味でした!

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こちらはメイさんバージョン。パイナップルとショウガをヘネシーも使ってマリネされているのです。さっくりとしたパイナップルとショウガの食感が、意外と似ていて、同じソースでマリネすると、そのコントラストがいい感じに出ていて楽しめました。特にパイナップルの甘みも吸い込んだショウガが美味しかった!

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これは伝統レシピ。これだけ見たら???ですが、なんとこのたっぷりの餅米酒とその酒粕の下に鶏肉が隠れているんです(その写真を撮り忘れた、涙)。すばらしい芳香とうまみを吸い込んだ柔らか~い鶏肉、もう最高でした。

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こりゃなんだ?と思いますよね(笑) 髪の毛に似た髪菜という藻は、広東語の発音の縁起の良さで、旧正月の料理の定番なのです。下には醤油味で美味しく漬け込まれた椎茸が隠れています。

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こちらはとってもメイさんらしい一品。豚足と梅の黒酢とヘネシーのコニャックを使ったサラダ! 思わぬプレゼンテーションですが、味と食感のハーモニーが完璧です。

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こちらもメイさんのレシピで、揚げタロ芋の、これにもヘネシー、蜂蜜とゴマ和え。素朴なようでいて洗練された風味! 村の名前が入ったお碗もいいですね!

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伝統レシピのチャーハン! たまりません。

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どれもこれも丁寧に作り込まれた味わいだし、伝統レシピも、この村独特のもので、ひと味もふた味も違って面白く美味しい!

何しろ1000年近く続く大金持ちの村なのです。いやはやありがたや。

と、言っているところで、やってきました、主役の盆菜! え?えーーーー???とあちこちから大歓声が。

 

こんな盆菜見たことありません!!!!!

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巨大な北海道産ホタテ貝はふわふわ! 盆菜というと、とても美味しいけれども、すべて茶系で見栄えはしないのが当たり前だと思っていたのに、この目が見開かれるような赤! スペイン産の真っ赤で濃厚な味のカラビネロ海老、イベリコ豚バラとタコは、ビーツで色づけして真空調理しているとか。

下の方には、大根や干しホタテ貝やなまこなどもどっさりはいっていました。

私が驚くのは当たり前として、香港人の食通だらけの宴席で、みんなが大興奮する目新しさと美味しさ!

同席の方たちとこの驚きの盆菜の前で記念写真。ホタテ貝や海老の巨大さが分かりますよね!!

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ハーバーシティのカレンさん、バリバリライターのヨハネス君(驚いた顔してくれてありがとう)、大人気カフェ、Teakhaのナナさん、グラフィックデザイナーのアンナさんと一緒でした♪

 

食事の時のカクテルはアントニオ・レイさんが作ったこれ! 「福」印のビニール袋に入っているという面白い演出です。

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メイさんが各テーブルを回って挨拶や説明をしてくれました♪

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この後、人気歌手のジョイス・チェンさんが登場して超絶美しい歌声を披露。ヒット曲「女神」などを歌ってくれました!

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すっごくひょうきん&大胆な人で、ここには書けない話題も(笑)出てきて、笑わせていただきました。

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もちろんヘネシーもオンザロックで登場!

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そしてデザートに出てきたお馴染みの白玉団子のショウガスープ・・・・・・あれ、ヘネシーがたっぷり入ってる(笑)食べるだけで酔っ払うほどの濃度です。

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後日、PR写真で、裏の厨房の様子が見られました!下準備にどれだけかかってるのでしょう。

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スープの調整をしているメイさん。

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盆菜を盛りつけ中! 彼女はお洒落なことでも有名なので、調理中もかっこいいですね!!

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ちなみにこの日のメニューはこんな風。

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盆菜はカジュアルなスタイルのお祝いなのですが、その力の抜けた感を残しながらも、最高の才能の持ち主たちを集めて、最高の食材を手間暇とクリエイティビティーを使って調理して、歴史遺産の中で、こんな形で楽しませてもらえた一夜。名残惜しくも、ついにお開きの時間になりました。

外の伝統看板がますますきらびやかに輝きます。

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しかしその横には、こんな静かでのどかな村の風景が。

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摩天楼建ち並ぶ国際都市の香港とはまた違う、古き良きほのぼのとしながらも、重厚な歴史を持つ香港がここにあります。

 

ちなみにこの村が、どれだけ裕福かということが一目で分かるのがこれ。公衆トイレが壮絶に立派で、庭園のようでした(笑)。

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甲斐美也子

2006年より香港在住のジャーナリスト、編集者、コーディネーター。東京で女性誌編集者として勤務後、英国人と結婚し、ヨーロッパ、東京、そして香港へ。オープンで親切な人が多く、歩くだけで元気が出る、新旧東西が融合した香港が大好きに。雑誌、ウェブサイトなどで香港とマカオの情報を発信中のほか、個人ブログhk-tokidoki.comも好評。大人のための私的香港ガイドとなる書籍『週末香港大人手帖』(講談社刊)が発売中。

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