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かぐわしきみなと通信

後閑信吾さん、まもなく渋谷にバーをオープン!

後閑信吾さんをご存じですか?

 欧米人の文化であるカクテルの世界で、並み居る強豪を抑えて世界で2回チャンピオンになった伝説の日本人バーテンダー。

 上海で経営するバー、Speak Lowは、先日発表されたアジアのベストバー20183位、世界のベストバー2017で10位という、まさに世界のトップバー!

 世界屈指の実力者で人気者の後閑さん。最近では日本での知名度もうなぎ登りのようですが、世界的なそれに比べるとまだまだ足りないんじゃないでしょうか。

そんな後閑さんが、世界での成功を引っ提げて、6月には東京・渋谷に初のバー、The SG Clubをオープンすると言うではないですか!

 これは海外の後閑ファンにビッグニュース! ここを訪れるために東京へ行くという人が続出するはず。そして世界の最高を知る後閑さんの手により、日本には今までなかったタイプのバーが生まれることで、閉鎖的になりがちだった日本のバーシーンが変わるきっかけになるのではないかという嬉しい予感がします。

 そんな後閑さん、The SG Club開店を前に、2月から世界ツアー中。パリ、ドバイ、リマ、ブエノスアイレス、サンパウロ、ニューヨーク、メキシコシティと、ゲストバーテンダーとしてバーに立ったりイベントに出たり、コンペの審査員をしたり、バーコンサルタントとして現地のバースタッフのトレーニングをしたり。さまざまな活動を通して、新しいカクテル文化体験や面白い食材との出会いを、The SG Clubに向けたインスピレーションとして蓄積しているのだそう。

 私が後閑さんと初めてお会いしたのは約1年前、フォーシーズンズ香港のBlue Barにゲストバーテンダーとしていらしたときでした。

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メディアを集めたテイスティングに招かれ、後閑さんの目の前のカウンター席に、香港のお洒落メディア男子たちと並んで座った私。

その流麗なバーテンディングに「いやーかっこいいね、たまらないねー」と一堂揃ってデレデレ~。あまりに絵になるので、ついつい写真を撮りまくってしまいました。

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そのときにいただいて、今もシグネチャーカクテルの一つであるカクテルが、「ピニャコラーダ2.0」。

つまり、お馴染みのトロピカルカクテル、ピニャコラーダを洗練させたバージョン2!という意味なのだそう。

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「ピニャコラーダというと、ミルキーで甘くてフローズン、ビーチやプールサイドでゴクゴク飲むというイメージですよね。すべての要素はそのまま残しながら、透明で飲みやすく、見た目もすっきりとさせ、アップグレードしたカクテルです」と後閑さん。シャンパンビネガーの酸っぱさが、何ともグッドバランスなアクセントになっていて、癖になる美味しさ!

そのときのメディア男子たちと後閑さん、そして私、フォーシーズンズの皆さんとの記念写真!

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ゲストバーテンダーとしての表でのパフォーマンスにも、すっかり魅せられたのですが、その後、「うわ、やられた!」という裏のエピソードがありました。

当時Blue Barにいた若手香港人バーテンダー2人とは元々知り合いだった私。後日、2人が口を揃えて言っていたのが、「あんなに親切に丁寧に熱心に、さまざまなバーテンディングの技術を教えてくれたゲストバーテンダーは初めて! 私にとって最高のマスター!」。

目をキラキラさせて、後閑さんのことを語る2人の様子を見て、そのお人柄と男気が伝わって来て、私も何だか感動し、嬉しくなりました。

一生懸命後ろから後閑さんの技を学んでいるのが、その若手バーテンダーの一人、イメルダ。

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そんなことから、後閑さんにはいつかしっかりお話をうかがいたい、と常々思っていたのです。

後閑さんが、世界ツアー前半戦でドバイに滞在中、少しお時間をいただいて電話でいろいろうかがうことができました。

 「僕が海外で仕事をするようになったのは、日本で基礎を学んでからニューヨークへバー修業に向かった2006年。当時は、英語もできないしお金もないし、カクテルスキルだけではなかなか上手く行きませんでした。2年で結果を出そうと思いながら、最終的には7年目にバカルディ世界レガシーカクテルコンペティションで優勝して、やっとやるべきことが出来たと言えるまでになりました」

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その優勝のエピソードにも、実は驚くようなドラマがありました。

「カクテル競技会というのは、制限時間内に材料を準備して、カクテルを作りながら、そのコンセプトなどの説明をして、ジャッジ用のカクテルをサーブしてから、片付けまで、すべてを終わらせなければならず、時間オーバーしてしまったらそこで大きく減点されてしまいます。ところが決勝の日、8人残った決勝進出者の最後に登場した僕は、カクテルのコンセプトから、自分自身のニューヨークでの下積みの日々、家族に会いたくてもまだ日本に帰れないという寂しさ、そんなときに日本で起きた東北大震災・・・・・・こみ上げてきた万感の思いを、会場の皆さんに心から語りかけているうちに、気が付けば残り時間が5分しかなくなっていました。『もう片付けを終わらせる時間はない。とにかくいいパフォーマンスをしよう』と開き直ってジャッジたちにカクテルをサーブした後、信じられないようなことが起きていたことに気が付いたんです」

 後閑さんの真摯な言葉に心を動かされた、本来なら優勝を争うライバルであるはずの7人の決勝進出者達。

この決勝までたどり着くには、彼らも大変な努力を重ねて来ている。

そんな彼らがステージに登り、わずかな残り時間をいっぱいに使って、後閑さんの片付けを終わらせていたのでした。

 彼らの協力で、制限時間内に無事パフォーマンスを終えた後閑さん。そして後閑さんは、見事優勝しました。

会場全体が奇跡のような温かい出来事に心を打たれて、スタンディングオベーションが鳴り響いたそう。

 「驚きと感動で言葉を失いました。この日を境に人生が変わりました」と語る後閑さん。その決勝進出者だったバーテンダーたちとは生涯続く友情がこの日生まれたと言います。

その後、上海で2軒のバーとレストランを成功させ、2017年には、バー業界のアカデミー賞と言われる「インターナショナル・バーテンダー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し2回目の世界チャンピオンに輝いた後閑さん。ついに東京へ凱旋!

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「日本のバーと言うと、クラシックで技術が高い、サービスはバーテンダーが黒子となる『おもてなし』のスタイル。海外のバーと言えば、クリエイティブでスピーディー、お客さんを楽しませるエンタメ性が高く、バーテンダーがステージに立つようなスタイル。カクテル自体も、日本は丁寧だけれども作るのが遅くて、デザインに面白みがない。海外では創作性が高くてコンセプチュアルながら、雑で大味なイメージもある。そんな風に、非常に対照的な日本と海外の両方の弱点を補いつつ、長所を出すのが、僕のバーテンディングとカクテルのスタイルなんです」

渋谷にオープンするThe SG Clubでは、多数のオリジナルカクテルが繰り出される予定。

「今回の世界ツアー中に訪ねた先々で、新カクテルを考案するというのも、自分へのお題にしています」

後閑さんのカクテルとは「今はSNSなどで情報が溢れているから、サプライズが難しい世の中ではありますが、それでも皆さんを何かしら驚かせたいですね」。後閑さんのカクテルに高い期待をかけて来るお客さんに応えるべく、「出来るだけ入念に準備し、仕込みには十分な時間をかけて、味をしっかり決めること。そうすることでバーに立っている間は、お客さんと会話する時間を取れるようにすること」。それが後閑さんの信条だと言います。

The SG Clubの1階は海外のバー仕込みのカジュアルな楽しさを前面に出して、地下はじっくりと落ち着いて、思い切りクリエイティブなカクテルを出します。僕もオープン後はしばらく日本に腰を据えて、The SG Clubで毎日バーに立つ予定です」

The SG Clubのコンセプトは、なんと「1860年に徳川幕府から遣米使節団としてアメリカに派遣され、アメリカのカクテルやバー文化に触れたかもしれない77人のサムライ達が、NYから江戸に帰国してバーを開けたら」なんだそうです! どんな風にコンセプトが反映されるのか、とても楽しみですね!

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将来はニューヨークや京都にも、自分のコンセプトのバーを出したい、と後閑さん。

世界の後閑が心を込めて作るカクテルを夜な夜な楽しめるだなんて、皆さん、世界が嫉妬しますよ! 私も東京に里帰りする楽しみが増えました!

 

 

甲斐美也子

香港在住11年目のジャーナリスト、編集者、コーディネーター。東京で女性誌編集者として勤務後、英国人と結婚し、ヨーロッパ、東京、そして香港へ。オープンで親切な人が多く、歩くだけで元気が出る、新旧東西が融合した香港が大好きに。雑誌、ウェブサイトなどで香港とマカオの情報を発信中のほか、個人ブログhk-tokidoki.comをまとめた電子書籍「香港ときどきマカオ Vol.1 香港在住ジャーナリストが出会った美味しいもの、素敵な人たち、そして日々のつれづれ」を出版。

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