かぐわしきみなと通信

香港のta vie × 東京のブルガリ イル・リストランテの麗しきコラボレーション

龍吟の香港店「天空龍吟」の料理長に抜擢されて香港に移住し、同店のミシュラン二つ星獲得に貢献したシェフの佐藤秀明さん。もともとフレンチのシェフとして長い経験を持ちつつ、日本人であるというアイデンティティーの壁に当たったときに、日本料理を学ぶために東京の龍吟に弟子入りしたというマルチな方。

その後、2015年に自分の店ta vieを香港にオープンさせてから、2016年はミシュラン二つ星に、アジアトップ50で33位という快進撃。料理への情熱とセンスはもちろん、明るく人なつっこい人柄で、香港の飲食業界で愛されている人気者です。

ta vieとは、日本語の旅と、フランス語のあなたの人生という2つの意味をかけているそう。

そんな佐藤さんと、日本の皆さんにはお馴染みのブルガリ イル・リストランテのシェフ、ルカ・ファンティンさんとのコラボディナーが先日ta vieで行われ、そのメディア試食ランチに呼んでいただきました。

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ta vieは、中環のブティックホテル2階の落ち着いた空間にあります。

実は佐藤さんとルカさんのコラボは今回2回目。

もともとルカさんは龍吟で修業した外国人シェフの草分け的存在で、2人には長い付き合いがあります。

日本料理とフレンチの両方を究めつつ、香港でアジアの食材を生かしたフレンチを追求する日本人の佐藤さんと、日本全国津々浦々の旬の食材を知り尽くしながら、東京でイタリアンを披露するイタリア人のルカさん。

そんな二人がフォーハンズで一緒に繰り出す料理とはどんなものでしょうか。

試食会では、その中からルカさんの料理4品と佐藤さんの料理2品を体験させていただきました!

まず前菜は、ルカさんによる、さまざまな野菜の味と食感を体験できる料理から。フルーツトマト、山菜、カブ、ニンジン、ホワイトアスパラガスをそれぞれ使った小皿5種類がさらりと並んでいますが、一品ずつに封じ込められた、旬の野菜ならではの濃厚な味わいが口の中ではじけるような美味しさ。特に薄いシートのようになったカブからエディブルフラワーが透けて見える一品の麗しさと、シャリっとした食感にうっとり。

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2品目は佐藤さんのパスタ。卵麺のようなつるんとした麺を、ふきのとうを叩き込んだバター、そして1000マイル遠くからでも芳香が分かると言われるタイのナイトジャスミンも一緒に和え、チーズのフォームを載せてから、ツブ貝の出汁が濃厚に出ているクラムチャウダーを、なんとツブ貝の殻をソーサーにしてサーブ!

料理名からして「1000マイルの花」ですから、食べていると、遙か彼方に連れて行かれるような、まさに旅の浪漫を感じさせる一品です。

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3品目は、ルカさんによる、旬の魚5品。タラバ蟹にヒラメ、ウニ、イカ、マグロが持つ美味しさを、閃きのある調理法で表現しています。とくにマグロとラズベリーソースの甘酸っぱさがあんなに合うなんて! 新しい発見でした。

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1皿ずつに、前菜1品分のレベルの手間と存在感ですから、これを少しずつ食べられるなんて、なんて贅沢な!

準備するにも大変な時間がかかっているそうです。ルカさんの日本食材への愛がここににじみ出ていました。

コラボの面白さというのは、普段よりも一歩踏み出したことができること、と佐藤さん。

いつもアジアの食材を巧みに生かすことで知られる佐藤さんですが、このコラボではいつも以上に、大胆にやってみたのだとか。

フランス料理に詳しい方には意外性がある、佐藤さんの椎茸のフラン。フランスのイエローワイン、ヴァンジョーヌと、中国のイエローワインである花彫酒は、「シェリーに似た、酸化させたひねた香りと味」が驚くほど似ているそう。

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椎茸のピューレ、卵とクリーム、海老のビスクを茶碗蒸しのように固めて、ラングスチンと椎茸、金針菜と、中国の花彫酒のフォームをあしらったこの一品。椎茸の代わりにマッシュルーム、金針菜の代わりにアスパラガス、花彫酒の代わりにヴァンジョーヌを使うと、フランスの伝統料理になりますが、中国の食材を使っても、言われないとほとんど区別がつかないほど味が似ているというから不思議です。

花彫酒に漬け込んだ蟹や海老の料理は、香港で愛されている味。さりげなく見えて、東西の融合が美味しく楽しく味わえるように考え抜かれた一品であることがよく分かりました。

香港の有名フードジャーナリストのスザンナさんと、東京から来たブルガリチーム、佐藤さん。いろいろな国のいろいろな人が混ざり合った香港らしい光景です。

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ブルガリの宝石のように煌びやかなルカさんのイカスミのパスタは、イカスミとキャビア、ホタテ貝のピューレで和えられた絶品!

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熊本の赤牛と黒トリュフの濃厚さと、イタリア野菜ラデッキュオの苦味と甘味がすばらしいバランスだったメインもルカさん。

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いよいよデザート! もしかしてこれは日本の方にはお馴染みでしょうか? まさかの眼鏡の形をしたチョコレートをティラミスのアフォガードとともにいただきました。やっぱり食べる前に、みんなこれをかけてセルフィーを撮っていました(笑)。

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そして最後に出てきた「旅」のブラマンジェは、ルカさんから佐藤さんへの贈り物。まさに二人の素晴らしいシェフが贅を尽くした食の旅の終わりにふさわしい締めくくりです。

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なんと役得なことに、ルカさんが出版したばかりのゴージャスな料理本をお土産にいただいてしまいました! サイン入り♪

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招かれたジャーナリストの皆さんも、香港を中心に、台湾や日本からもいらしていて、とんでもなく美味しいものを囲んでの、美味しいもの談義が楽しく弾みました!

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さてさて。実は今年の10月には、今度は佐藤さんが東京のブルガリでゲストシェフとして招かれているそうです。

日本の皆さん(あえて東京の、とは言いません!)、これは体験して絶対損のない、楽しい食体験になること間違いありません。ぜひご参加ください。

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やっぱり写真はピースだろって(笑)。2人の仲の良さが伝わってきますよね♪

甲斐美也子

2006年より香港在住のジャーナリスト、編集者、コーディネーター。東京で女性誌編集者として勤務後、英国人と結婚し、ヨーロッパ、東京、そして香港へ。オープンで親切な人が多く、歩くだけで元気が出る、新旧東西が融合した香港が大好きに。雑誌、ウェブサイトなどで香港とマカオの情報を発信中のほか、個人ブログhk-tokidoki.comも好評。大人のための私的香港ガイドとなる書籍『週末香港大人手帖』(講談社刊)が発売中。

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