
冬時間となったイギリス。秋の夜長は編み物をして。
編み物を覚えたのは小学生の頃だった。
我が家に泊まりに来ていた年上の従姉妹の編む姿がなんだかかっこ良く感じられて、母にねだって教えてもらったのが始まりだった。でもそのころはマフラー一枚ですら完成できなかったけれども。
その後再開したのは2020年のパンデミックの時。家に籠らなくてはならない間、手を動かして何かを創ることをやりたくてネットで毛糸と編み棒を注文した。それからの5年間、数ヶ月ひと針も編まない休止期間を何度か挟みつつも続けている。

この5年間で編んだセーターの一部。全部でこの倍くらいの数がある。
私はまだまだ初心者に毛が生えた程度だから、自分でデザインを考えるなどというのは到底無理で作家さんたちの本を見ながら編んでいる。そこにある編み図の目や段を数えてひたすら編む作業の、自分だけの世界に没頭していく感じが好きなんだと思う。日頃とは違う脳のパートを使っているような気がするのも、なんだか勝手に気分がいい。でも疲れを忘れて熱中し過ぎると思わぬ間違いをすることも。なので適度なところで止めてまた明日、という感じでやっている。

小物も色々編んでみた。少し前の三國万里子さんの本からが多い。最近は野口智子さんも気になっている。ネットからパターンをダウンロードすることも。
ロンドンには今年10周年を迎えたLoopやBeautiful Knittersなど、おしゃれで素敵な毛糸屋さんがいくつかあるけれども、私はオックスフォードストリートにある百貨店ジョンルイスの手芸売り場も好きで時々立ち寄る。以前に比べると縮小されてしまったけれども、定番で安価、上質な毛糸が揃っているのがいい。
旅行した時にはその町の毛糸屋さんを訪ねてみることも。なかでもオックスフォードのOxford Yarn Storeはいつか再訪したい。ここは編み物好きにはおなじみのJamieson's of ShetlandのSpindriftというフェアアイル用毛糸の全色225色(!)が揃っているという夢のようなお店だから。

Jamieson'sの毛糸はラベルも可愛い。いつかスコットランドのシェトランド島にある本店に行くのが夢。
Jamieson's of Shetlandとともに私が好きな毛糸メーカーはWYSことWest Yorkshire Spinners。この5年間で編んだもののほとんどがこの二つのどちらかの毛糸を使っていると思う。違う毛糸を使ってみたいといつも考えているのに風合いや色合い、そしてお値段で選んでいくと結局いつもこのどちらかになっている。

West Yorkshire SpinnersのThe Croftは一番良く使う毛糸。
日本よりも一足先に冬を迎えるイギリスではいま、アート・オーガニゼーション「クラフト・フォーワード」によって、家を持たない人々にパッチワークのニッティングブランケットをプレゼントする「ブランケット・フォー・ロンドン」という活動が行われている。このためにイギリスの多くのニッターたちは20センチ四方のスクエアを編んで寄付していると知って、私も参加してみることにした。

「ブランケット・フォー・ロンドン」に寄付したスクエア。
10月末にはイギリスは時計を戻して冬時間となる。これから続く長い夜は、編み物、そして読書をして過ごすことになる。
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