
映画『ザ・コンサルタント』で気になる歌とは?
新年に入り、試写を立て続けに観ている。『ザ・コンサルタント(原題:The Accountant)』(ギャビン・オコナー監督)が、一筋縄ではいかないストーリーで面白かった。
主演はベン・アフレック。彼が最初に脚光を浴びたのは『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997年公開)。マット・デイモンと脚本を共著し、共演もした名作で、26歳でアカデミー賞脚本賞を受賞している。その後、俳優はもちろん、監督、プロデューサーとしても多くの賞を受賞、もしくはノミネート……と活躍してきた。しかも2016年には『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの帝王』でブルース・ウェイン/バットマンを演じ、世界的大ヒットになったばかり。そんな彼が主役作品にこだわりを持つのは当然で、面白くないわけがない。
マーシャル・アーツで身体を鍛え上げたクリスチャン・ウルフ役のベン・アフレック
主人公は、子供の頃から自閉症スペクトラム障害だったクリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)。社会に馴染めない反面、数学に天才的な才能を発揮し、また“生きていく中で『人と違う』と見なされるから、今後タフに生き抜けるように”と、父親からウルフの弟(ジョン・バーンサル)と一緒に強靭なトレーニングを受けさせられ、戦闘能力の高い身体に鍛え上げられる。ゆえにウルフは、職業は会計コンサルタントながら、謎のマネージャーの指令の下、裏社会の金の処理など危険な仕事も担当するようになる。
会計士補のデイナ・カミングスを演じるのはアナ・ケンドリック
スコアを担当するのはかつてソロ・ミュージシャンとしても活動していたマーク・アイシャム。いわゆる劇中歌は6曲ほどしか使われていない。印象に残ったのは、大人に成長したクリスチャン・ウルフが自室でトレーニングする際に爆音でヘヴィロックをかけていること。このシーンを観ていて『マネー・ショート 華麗なる大逆転(原題:The Big Short)』(2016年)で、元神経科医で金融トレーダーである主人公のマイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)が、大音量でヘヴィメタルを聴くシーンを思い出した。
映画『ザ・コンサルタント』予告編
音楽が少ないとはいえ、この映画の鍵の一つになっているのは、マザーグースの歌「ソロモン・グランディ」。クリスチャン・ウルフが子供の頃から親しみ、気持ちを落ち着ける歌として彼の中に浸透したものだ。とはいえ、歌の内容は人間の生誕から死までを月曜日から日曜日までの7日間で表したもの。人生は短いから、“いつ死んでも悔いのないように、その日その日を大切に生きろ”と、その歌を教えた父親は言いたかったのかもしれない。劇中に何度も流れるせいで、私の脳裏にも残ってしまった。
“Solomon Grundy,
Born on a Monday,
Christened on Tuesday,
Married on Wednesday,
Took ill on Thursday,
Grew worse on Friday,
Died on Saturday,
Buried on Sunday,
That was the tale,
Of Solomon Grundy”
YouTubeを貼りたかったけれど、子供用の歌としての動画か、おどろおどろしい動画しか見つからなかったのでパス。ただ、なぜおどろおどろしい動画が多いのかと思って調べていたら、アメコミに登場するキャラクターに同名のゾンビがいて(由来はマザー・グース、本名はCyrus Gold)、しかもバッドマン・シリーズの『バットマン:アーカムシティ』でバットマンと戦っていたキャラだった。これは明らかに父親が怪力ゾンビを意識してウルフにこの歌を教えたということ? そうなるとベン・アフレックがバットマンの次に、ある意味その敵キャラにちなんだ役を演じたというのは興味深い(考えすぎか……笑)。
脇役としてJ・K・シモンズ(右)やシンシア・アダイ=ロビンソンも出演
この映画にはオチが2つあるように思える。ネタバレは避けたいので書かないけれど、弟ブラクストンと、謎のマネージャーの正体が明かされるシーンだ。最後の最後までお見逃しなく。個人的にはジャクソン・ポロックの絵が活躍!?するのも嬉しい。
2017年1月21日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
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