近所のいい店、教えます。

SAKE story(五反田・品川区)

五反田から、全国の日本酒と郷土料理を巡る旅に出よう。

 

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どこかローカルな風情のあるエリアが好きで、いまは東急池上線に揺られて通勤している編集PONDです。三軒茶屋に住んでいたときは、通勤には利用していなかったものの東急世田谷線のレトロな佇まいとこの線が繋ぐ駅に親しみを覚え、大阪転勤時代には兵庫県西宮市を走る、駅が3つしかない阪急甲陽線の真ん中の駅に住み、こじんまりとしてチャーミングなこのエリアが大好きでした。

なんて前置きをしつつ、今回は池上線のターミナル駅、五反田からお届けします。通勤で必ず降りる駅はお店に立ち寄るのにもやっぱり便利なのです。

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五反田駅から徒歩約5分。日本酒大好きな編集PONDがたびたび訪れる、その名も「SAKE story」。2017年8月にオープン、先日1周年を迎えたばかり。ここにお店が?という隠れ家的なロケーションですが、階段に並ぶ一升瓶たちが2階にあるお店へと誘います。

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SAKE storyでは3カ月ごとにテーマを設けて、全国の都道府県のお酒と郷土料理を特集しています。7月〜9月は、茨城県・栃木県特集。酒蔵のエリアやお酒の味わいがひと目でわかる、こんな手描きのチャートも用意。

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お通し¥1,080には、その月にフィーチャーする県の郷土料理が盛り込まれます。左上から時計回りに、カンピョウの南蛮漬け、お揚げと塩麹納豆、日光ゆばのお浸し、味噌ピーナッツ。

店主の橋野元樹さんにとっても、さまざまな県を特集するたびに新たな郷土料理との出合いがあるそうです。カンピョウは栃木県で全国生産量のほとんどを占めていて、茨城県の一部でも作られているそう。そのカンピョウを甘辛い味付けではないものをと考え、南蛮漬けに。
ゆばは京都のゆば(湯葉)が有名ですが、栃木県の日光もゆば(湯波)の名産地。京都のゆばの倍ほどの厚みがあり、これは「たぐりゆば」と呼ばれるお団子状のもので、弾力があってやさしい甘味が広がり、ゆば好きは大満足の一品!
ピーナッツは、千葉に次いで茨木が名産地。この味噌ピーナッツ、子どもたちは給食で、お父さんはおつまみに食べる県民食なのだそう。甘辛くどこかほっとする味で、いくらでも食べられそうです。

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お通しに合わせたお酒は、茨城県「武勇」の白麹 特別純米酒(グラス¥648)。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2018」のプレミアム純米部門で金賞を受賞していて、白麹を使うことでワインを思わせる酸味があります。さらにその「武勇」に炭酸を注入、橋野さん考案「酒パーク(リング)」(笑)に変貌を遂げ、爽やかな泡と酸味がお通しのシンプルで繊細な味にぴったり合います。

以前、宮城県特集の時に訪れたら、お通しに「味噌の紫蘇巻き」が入っていて、数年前に岩手県釜石市で民泊を体験した際にその家のおかあさんが作ってくれた紫蘇巻きの味を思い出したり、福島県特集では「イカニンジン」が登場、この料理とよく似た北海道の「松前漬け」と何か関連があるのだろうかと想像したり。まさにいろいろな土地の“story”を感じる体験をさせてもらっています。

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看板メニューの「すき焼きコロッケ」2個¥1,026、1個¥513。割ると卵の黄身が溶け出して具材と絡みます。訪れると必ず注文するメニューです。1個から注文できるところも、酒飲みにとっては本当にうれしいです。お酒は茨城県「結(むすび)ゆい」の無濾過生原酒。女性の杜氏さんが手がけているそうで、地元名産の絹織物、結城紡をイメージしたというラベルデザインも素敵。

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こちらも定番、「笹かまぼこの磯辺揚げ」2個¥648、1個¥324。

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最近新たにメニューに加わった「SAKE story風餃子」6個¥1,026、3個¥513。ラム肉にセロリや春菊、ネギなどの香味野菜とキャベツを合わせて、クミンとガラムマサラで味付けした餃子は絶品! エスニックな味わいに、新潟の伝統調味料であるかんずりがよく合うというのも新鮮です。

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特集している以外の県の日本酒もあります。こちらは新潟県から「山城屋」純米大吟醸。ラベルに書かれている英語は“微生物たちの奇跡の世界”という意味だそう。

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「酒粕グラタン」¥540。酒粕の香りと、自家製の山椒の粉の香りがふわっと立ち上がります。

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「酒の肴セット」¥2,160限定で提供される「珍味せんべい」。懐かしさを覚えるせんべいに、ふき味噌と鮭ゴルゴンゾーラを載せて。

この日、橋野さんがカウンターのお客さんと手話で話していました。外国語が通じたり、さまざまな言語で記したメニューを用意するお店は増えていますが、ここはみんなにとって各地のお料理とお酒を安心して楽しめる空間、それを象徴しているように感じました。

ふらっとひとりで訪れた時には「酒の肴セット」(前菜小鉢4点盛り、お椀、すき焼きコロッケ、おつまみ)¥2,160が用意されているのもうれしい。酒蔵の方を招いての日本酒のイベントも時々開催しています。日本の懐かしい味や、まだ知らない味に出合いに、ぜひ訪れてみてください!

SAKE story

東京都品川区西五反田2-17-8 2階
山手線・東急池上線・都営浅草線五反田駅から徒歩5分
tel. 03-6431-9198
営)18時〜23時(月〜金) 17時〜22時(土)
休)日、祝
https://www.facebook.com/sakestory/

※9月8日(土)17:30〜21:00に、茨城県結城市で「武勇」を醸す蔵人の高橋寛氏を招いてのイベントを開催! 詳細は上記電話番号かフェイスブックページからお問い合わせください。

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