夏、いまだけの台湾
いまだけ!、限定品!と大々的に謳われても、
特に響かない天邪鬼な私ではあるが、それが台湾料理と聞けば、気づけばドアを閉めてもう歩き出している。
だって鼎泰豊の"台湾筍"が食べられるには、いまだけなのだから!
この季節の楽しみといえば、かき氷でもなく、冷やし中華でもなく、"台湾タケノコのサラダ"なのだ。
日本の筍とは全くの別物で、えぐみというものは存在しない。
青味があり、爽やかな香りと繊維がないような密な構造ゆえ、爽快な歯触りが最高なのである。
噛めば、シャクッとかサクッとか、小気味いい音が耳を存分に楽しませてくれる。
ほのかに甘く、初夏らしいさっぱりとした味で、とにかくいくらでも食べられる気がする。
わんこ台湾タケノコ大会があれば、優勝できるかもしれない。
横に添えられた台湾マヨネーズは、日本のものとも似ても似つかない甘さのある物。酸味もなく、バターのような?まろやかさ。
これが台湾筍の良さを存分に引き出す味なのだ。
上品にひと口サイズにカットされた筍をマヨネーズに少し浸して、口にお届けして目をつぶれば、そこはもう愛おしい台北の街中だ。
日本の鼎泰豊ではいつまで食べられますか?と
伺ったところ、「夏の間……」とのこと(笑)
勝手にお勧め、一緒に召し上がって頂きたいのは、小籠包はもちろん、"鶏肉の紹興酒漬け"だ。
これが本当に美味である。
大人になってよかったと思う芳醇な味。
全部一人で食べたら、帰りには千鳥足になっているかもしれないが。
それから"鶏肉の蒸しスープ"。
絶対に家では作り出せないこの澄んだ黄金の鶏スープよ。
れんげにそっと掬った金のスープを喉に流し込み、その深みに酔いしれる。
丁寧にアク取りされた何度も漉されたであろう高貴な色と味。
台湾は鶏肉がとても美味しいのだ。
うーん台湾と全く同じ味だ〜〜〜(歓喜)
大手チェーンの一寸たりともブレない味には敬服する。
(個人経営のたまの気まぐれ味も好きだけど)
今年も夏も終わりが近づいている。
晩夏は毎年少し物悲しくなり、私にとっては、一年が終わったような感覚になる。
台湾タケノコの歯触りを胸内に秘めつつ、
また来年まで生きよう。
皆様にとってもいい晩夏になりますよう。
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