母なる台湾のスープ達
台湾ではスープを"湯"と書くが、葷湯、素湯、濃湯、上湯など種類は無限である
なかでも好きなのは清湯、白湯かもしれない
いちばん出汁の清らかに澄んだスープに、何故かとても魅力を感じる
母が作る雑煮も大好物で、あの澄んだスープを食べることができる正月を、あと何回迎えられるのだろうと時折考える
幼少期からよく食べている、ゆっくりと炊き出された鶏ガラのスープに、魚団子や貢丸と呼ばれる肉団子が入り、刻んだセロリが入ったスープ
日本のほろほろとした団子とは違い、台湾の魚団子や肉団子はミンチ状からよくよく練り上げられ、弾けるような弾力がある
歯応えも旨みとなる訳だ
単純に好きだから、という訳でもなく
どうしたものか、心や体が弱っているときは、清らかなスープが食べたくなる
台北で先日いただいた魚のスープ「鮮魚湯」
食べなれないピラティアという魚がメインのスープである
食べなれないピラティアという魚だが、肉自体は淡白で、澄んだスープの滋味深い味にそっと寄り添う
台湾バジルが、淡白なスープに爽やかなアクセントを少しばかり足して、
抜けていく香りに背中を押され今にも泳ぎ出しそう(私が)
ここでのおすすめは、炒麺と一緒にスープをいただくことらしい
周りを見渡せば常連客風の方々は皆炒麺!
麺自体にそれほどコシがあるわけではないのだが、独特のむちりとした食感、小麦の風味、そぼろの油ともやしのシャキシャキ感が混ざり合い、とても美味しい
鳥酢や辣油などを少し足して食べると、味全体がキリッとしてきて、別顔となる
特にこの蒜頭水の味が癖になる
エキスに仕立てることで、香りも味もニンニクの強さが和らいでまろやかになっている
旨み三重奏炒麺がさっぱりとした滋味スープを更に際立たせるわけだね...
ひと匙喉に流し込めば、胃の中まで温まり
椀ごと全て飲み干せば、爪から心から何から生まれ変わるよう
すべての杞憂から救ってくれる存在が、私にとってはスープなのだろう
温かい母なるスープ達
酷暑が続くこの時こそ、みなさま温かいスープで養生を
追伸: 約5分おきに店のおばさまが「ハオツーマ!?(美味しい?どう?」と聞いてきてくれるので、咽せないようにお気をつけて
たとえ咽せようとも、スープの母の愛溢れる問いかけで旨み倍増でした
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