汲田日向子さんのガラスを青空にかざして思うこと。
これは汲田日向子さんのガラスのスクエアプレート。かわいい。かわいすぎる。そしていまの私の気分にぴったり合う。汲田さんはパート・ド・ヴェールという「ガラスの粉を型に詰めて窯で焼く(=型の形状に沿ってガラスが溶けて成形される)技法」と、吹きガラスという「熱したガラスに空気を吹き込んでかたちづくる技法」で作品を作る。こちらはパート・ド・ヴェール。この技法は、型をつくる工程にじっくり時間をかけて細部のデザインまでこだわり抜いたり、色の組み合わせや濃淡の出し方に時間を注げるのが利点と言う作家が多い。窯で焼いた後は、石膏型を砕いて中にあるガラスを慎重に取り出すのだけれど、それで完成ではなく、バリと称する余分な部分を丁寧に取り除いたり、表面をひたすら磨いたり、とにかく時間がかかる根気のいるお仕事だ。しかしながら、汲田さんの作品はそんな苦労を微塵も感じさせない、澄みわたった明るさにあふれている。ブルーとピンク、二色のあいまいな境界線に、不安の絶えない世の中に寂しさを覚えつつも、できれば柔軟な発想で周囲の人と手を取り合って現状にさよならして未来に飛びたちたいという個人的な感情を投影した。見るたびに背中を押されるうつわになるはず。そういうのって、いい。
[ある日のうつわ]
一日の始まりに元気をもらうつもりで、身支度の棚で使っている。佳き。
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作り手:汲田日向子 @hinakokumita
購入した年:2022年
購入場所:うつわshizen
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