おしゃべりなうつわ

OJや炭酸水にも重宝のワイングラスとは。

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これは垣内信哉さんのワイングラス。好きなポイントは3つ。1.ワイングラス特有のくびれというかセクシーな様子がなく、硬派にすっくと佇んでいるところ。2.柱のようなステム(持つところ)がいかにも丈夫そうで、であればカップ部分もずんぐり厚手になりそうなところ、「薄いのかい!」という裏切り。3.底が大きくて簡単には倒れない安心感。カップ、ステム、底の、ありそうでなかった組み合わせだと思う。面白いものでこのありそうでなかった感じは、これまでなかった発想を私にもたらし、ワインに限らず、ビールに朝のオレンジジュースに炭酸水にと、まるでコップみたいに使いたくなる。グッと握ってぐびぐび飲むのだ。口当たりは、くっきり、すっきり、気持ちいい。シンプルなフォルムは、静かなうつわのテンションを損なわないから、麻婆茄子をのせた李朝系の磁器にも思いがけずよく合った。「和食にナチュールワイン」とか「ワイングラスで日本酒を」という食文化が芽生えて久しい昨今、家庭の食器に合わせるなら何がちょうどいいのかな、といつもぼんやり考えていたけれど、お惣菜に理想的なワイングラスは、今日現在、これかも。こっくりした赤ワインがいい。

[ある日のうつわ]

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ビールをぐびぐび。

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ジュースをゴクゴク。

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猛暑の夏はグラスの結露とテーブルの輪ジミに手を焼くけれど、ワイングラスならば、水滴がステムをつたい底が受け止める。テーブルが汚れずノンストレスなのかも。来年の夏よ、どんとこい。

241019_shinyakakiuchi_utuwa_06.jpg静かなうつわのテンションを損なわないシンプルなフォルム。光藤佐さんの白磁と。

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作り手:垣内信哉 @shinyakakiuchiglass
購入した年:2024年
購入場所:objects

衣奈彩子

ライター/ 編集者

子育てをきっかけにふつうのごはんを美味しく見せてくれる手仕事のうつわにのめり込んだら、テーブルの上でうつわ作家たちがおしゃべりしているようで賑やかで。献立の悩みもワンオペ家事の苦労もどこへやら、毎日が明るくなった。「おしゃべりなうつわ」は、私を支えるうちのうつわの記録です。著書『うつわディクショナリー』(CCCメディアハウス)
Instagram:@enasaiko 衣奈彩子のウェブマガジン https://contain.jp/

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