Butterdrop Diary 『ロンドン郊外のカントリーライフ』

愛しのジェーン・バーキンの娘

3月号のフィガロジャポン誌は、去年亡くなったジェーン・バーキン特集。

誌上で沢山の方が彼女のレガシーを語ってるようですが、私の好きなジェーンは1966年のイギリス映画

Blow-Up (邦題:欲望)』に「金髪の女の子」という端役で出てくるめちゃくちゃチャーミングな彼女。

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出典IMDb

出演時間は多分5分もないかもだけれど、主役のヴァネッサ・レッドグレーブより鮮明に印象が残るくらい魅力的。彼女はこの後、フランス映画のオーディションのためにパリに渡って、夫となるセルジュ・ゲンズブールと出会うんですね。そのセルジュとジェーンの娘が、シャルロット・ゲンズブールな訳ですが、20代の時にパーティーで彼女に遭遇したことがあります。

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出典IMDb

大学時代の友人たちを訪ねて、一人でパリに行ったのはニューヨークに住んでいた頃。子供の時からヨーロッパに憧れていたので、このパリへの一人旅は私の中で一大イベントでした。着いたその夜に、16区で育った友人に誘われて彼のお姉さんが当時付き合っていた某フランス人俳優のアパルトマンでのパーティーに数人で行くことに。行きの車の中で、

「パリの16区って私が高校生だった頃の憧れのエリアなんだよ」と伝えると、

「Why?昼間は高校生、夜は年寄りしかいないエリアだけど?」

と車内の全員に言われて苦笑い。しょっぱなからパリ症候群です。

気を取り直して某俳優のアパルトマンに到着。映画に出てくるようなシックなパリのアパルトマンは、エレガントなパリの美学が隅々まで反映されていてため息もの。談笑する人たちも、エフォートレスに気品があって、

『私はいつか絶対ヨーロッパに住む!』

と念力を送りだしたのはこの瞬間からだったかも。

ソムリエさんが選んでくれた美味しいワインと、テーブルにずらりと並んだ多種多様なチーズを摘まみながらうっとりと調度品を眺めまわしていたら、部屋の片隅でシャルロット・ゲンズブールが椅子に座って静かに一人でタバコを吸っています。ニューヨークでは毎日のようにアメリカのセレブリティを見かけていたけれど、シャルロットは私の中で別格。すかさず友人らに

「あそこにシャルロットが居るんだけど、話しかけていいかな?」と聞いたところ

全員即座に首を横に振って「You shouldn't」。

しかし私はもちろん、

「Frankly, I don't give a damn」とレット・バトラー返しをしてから、彼女に近づいて

シャルロット、おくつろぎのところすいません、just wanted to tell you、私の世代のジャパニーズガールズはあなたに憧れて育ったんです!You are such an icon! ボーダーのシャツ、私も真似して買ったよ!

とか、(興奮していたのでよく覚えていないけど)間を置かず一気に伝えたところ、ちょっと困った顔をして恥ずかしそうに「Thank you」と言ってくれました。

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出典:ぴあニュース

ボーダーシャツはスペイン坂のルイセットで買った記憶

こんなことを訴えかけてくる日本人女性は決して私が初めてではないと思うので、彼女も慣れっこだったのではないでしょうか。

シャルロットは思ってたよりずっと細くて背が高くて、フラジャイルな感じ。高揚して帰って来た私を囲んだ友人達は半分呆れた顔で、

「アイコンは彼女じゃなくて、両親のセルジュとジェーンの方でしょ!」と。

彼らの間ではシャルロットはネポ・ベイビー(有名人の子供)枠から出ていない印象を受けたのを覚えている(それか、パリっ子特有のディスりなのか)。

シャルロットのインスタグラムより

今月号のフィガロジャポンによると、シャルロットは自身のアイコニックなご両親が暮らした邸宅を、ミュージアムとして公開したとのことなので、次回パリに行く時に必ず訪れてみたいな。

ギャンブル五月

ニューヨーク州立大学卒業後、ウェストヴィレッジのマグノリア・ベーカリー本店にて6年間腕を磨く。ロックバンドのメンバーとして2度の全米ツアー後、渡英。現在は、田園風景が広がるロンドン郊外はケント地方、『Garden of England(イギリスの庭)』に暮らす。著書に『ニューヨーク仕込みのカップケーキデコレーション』『イギリスから届いたカップケーキデコレーション』(SHC)。日本カップケーキアカデミー代表。
Instagram:@satskigamble

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