赤とピンクの村ルシヨンの、白黒の猫。
重たそうにぶら下がる藤の花、まるまるもりもりと咲くモッコウバラ、信じられない量の花粉を飛ばすマロニエ……やってきました、この季節。
毎年、この時期になると行きたくなる場所があります。
それは、botanic。花の苗や、野菜の種、土、バーベキュー用品、うさぎ、鶏も売っているなんでも園芸屋です。
種類豊富な植物選びに加え、この花にしようと決めた後も、この子はちょっと元気がなさそうだ、こやつはちょっと咲きすぎだ、とあれやこれや悩み、優柔不断な私にとっては(楽しすぎる)修行の場です。
それでも今年もなんとか、庭のプランター用にいくつか苗を買ってきて植えることができました。
観賞用のお花の寄せ植えも、食用のバジルやローズマリーもばっちり。
作業を見張るミャウ。
「かわいいお花たちですね、安心してください、後であたしのかわいいニクキュウでむんずと踏み固めといてあげますから。」
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庭が整ったところで、先週末はイースターの休暇でした。
去年と同じく、友達家族がジュネーブから遊びに来てくれたので、「フランスの最も美しい村」のひとつ、ルシヨン(Roussillon)へお出かけ。ルシヨンは、世界随一のオークル(黄土)の産地であり、村の建物ひとつひとつが赤やピンク色で塗られていることから、「赤い村」と呼ばれています。
この村も、リュベロン地方の他の村と同じく、駐車場は村の外(山の麓)にあるので、車を止めて、中心部に向かって歩きます。
その途中、半開きになった雨戸からぬるっと出てきた、この不思議な生き物。
あなただれ、聞くまでもなく、猫ですね。ええ。この色彩の村で、白黒の猫! なんてラッキーな。しかも、こんなにかわいい子。猫ってやっぱり、ぬるっとしててもべたっとしてても白黒でもジンジャーでもブルー(グレー)でも、とにかく全員、美しい。
さてこの白黒の猫。道を横切り、向かいの塀に乗って、花をバックに私たちファンに愛想を振り撒きます。きゃあああきゃわいいいい、そのお顔、そのポーズ、いいねいいねと歓声の嵐(もちろん一人で)。
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猫と遊んでもう大満足、ですが、友達も一緒ですし観光もしておきましょう。
向かったのは、オークルの小道(Le Sentier des ocres)。かつてオークルの採掘が行われていた場所が、今は散歩道になっています。出入り口に近づくにつれ増えてくる、ズボンのお尻が黄色く汚れている人、足先だけ黄色い犬、全身黄色の子どもたち。
入場料を払って中に入ると、地面も岩壁も上も下も、見渡す限り、赤黄色。黄色にも赤にも朱色にも見えて、表現が難しいのですが、「黄金色」という言葉がぴったりかも。ちょっとその辺に腰掛けても、ちょっと壁に手をついても、触れた部位が一瞬でこの色に染まります。
(その日チークをつけていなかった私は、ほっぺに一筋、土を拝借。これぞナチュラルメイク。)
何千年もかけて自然が作り出した、この黄金色の断崖に囲まれていると、自分が小人になったような気持ちになってきて、この場所が別名、巨人の道(Chaussée des Géants)と呼ばれているのにも納得できます。太陽の位置によって色が変わるという、この眩しい散歩道。
いらっしゃる際は、歩きやすい靴と汚れてもいい格好で。
「その手で誰にもどこにもさわらないでー!」と親に注意される土まみれの子どもたちが、わんさかいますから。
sentier des ocres, 84220 Roussillon
www.roussillon-en-provence.fr/english.html
料)大人3ユーロ
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