南仏プロヴァンスで猫さがし。

コルシカ島で猫さがし。ボニファシオ、伝説の階段編。

常々「プロヴァンス、地上の楽園説」を唱えている私ですが、とあるフランス人マダムがこれに反論。曰く、「地上の楽園は、コルスである。」と。

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コルス(Corse)=コルシカ島は、フランス人のバカンス先としても人気の、地中海に浮かぶ島です。大きさは、日本の広島県くらい。自然溢れる「フランス最後の秘境」、そこに広がる景色はあまりに美しく、人々はその島を「美の島(L’île de beauté)」と呼びます。

フランス人がコルスについて語る時、全員が全員、恍惚とした表情を浮かべるのです。まるでそれは、200年に1度の大当たり年のワインを口に含んだかのような、うな重の蓋をぱかっと開けて湯気とともに香りを吸い込んだときのような、はたまた、日向ぼっこから帰ってきた猫のぽかぽかのお腹に顔をうずめたような……それはもううっとりした顔面です。ご想像いただけますでしょうか。

そんな顔されちゃ、気になりますよね。行ってみたくなりますよね。ということで、コルスに行って参りました。猫にも出合えたので、何回かに分けて旅の様子をお伝えしたいと思います。

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コルシカ島を車でどう巡るか。

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さて、コルス行きを決めてから、いろんな人におすすめの街や場所を聞きまくりました。

みんな、口を揃えて「とにかく運転に気をつけて。」と言います。地中海に突然山が生えたような地形のコルス。高速道路はなく、街と街をつなぐ道は、ほとんどがくねくねとした片側一車線のもの。数年前に比べるとずいぶんと整備されたそうですが、それでもフランス本土のように、時速130kmでぶっ飛ばせる道なんてほぼゼロで、それに加えて現地人ドライバーの運転は、(運転の荒さ世界一じゃないかと思える)フランスのなかでも折り紙つきのようです。

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速度が出せないので、移動に時間がかかる。「Don't be ambitious.」(1週間そこそこで全部巡ろうなんて思うな。)とのアドバイスももらいつつ、日本人な我々が組んだ旅程は以下のとおり。

西側のアジャクシオ(Ajaccio)に到着→南下してボニファシオ(Bonifacio)→東側から北上して、真ん中の峠を超え、西に戻ってリル=ルッス(L'Île-Rousse)→少し南下してカルビ(Calvi)→ポルト(Porto)→ピアナ(Piana)→アジャクシオに戻る。
という島ほぼ1周のコース。4泊5日(最初の1泊は船上)でやり遂げましたよ。(えへん!)

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フェリーに乗る。

今回、コルスへの交通手段に選んだのは、フェリー。トゥーロン(Toulon)から、コルス最大の都市アジャクシオまで、日中の便だと約6時間、夜間の便だと10時間の船の旅です。
(近くのマルセイユからも便が出ているのですが、しょっちゅうストライキで欠航になると聞き、トゥーロンを選択。)フェリーだと車ごと荷物も運べるし、現地で慣れないレンタカーを運転しなくても良いので便利です。

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21時発の予定が、45分遅延。それでも定刻にちゃんと着きます。搭乗待ち。

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出航。遠ざかるトゥーロン。

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船内にはいくつものレストラン、バー、プール、キッズルーム、ブティック、ゲームセンター、そしてここはダンスホール? 

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犬たちの姿もたくさん。これは犬たちのトイレ。

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船室での宿泊ももちろん可能ですが、持参したマットレスを敷いて船内の床に転がっている人も多数。デッキでハンモックに寝るっていう手もあるようです。

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朝が来た。

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絶景の街ボニファシオの、美意識高めな猫。

朝早く、船はアジャクシオに到着。勢いよく船から飛び出し、島の南端にあるボニファシオへ向けて出発! 途中プロプリアノ(Propriano)やサルテーヌ(Sartène)への寄り道を挟みながら、3時間ちょっとのドライブです。

ボニファシオは、海から60mの高さの断崖絶壁の上、まさに際っきわまで建てられた旧市街の景色がユニークで有名。さらに近辺には25を超える数のビーチや入り江もあると言います。一体どんな光景が見られるのか。港近くのホテルにチェックインしたら、早速、砦に囲まれた、丘の上の旧市街へ。

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旧市街から海を望むと、エメラルドブルーの海と、白い石灰岩の崖がずーっと続いているのがわかります。さらに遠くに目をやると、うっすらとイタリアのサルデーニャ島が。

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こちらは、街の片隅の花壇にいた、毛づくろい中の一匹の猫。

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念入りに身を清めた後は、目を瞑って空を仰ぐ。美女か。美女だな。

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「あなた、美意識って言葉、知ってます? 猫は生まれたときから、いえ、生まれる前から、DNAにもうその意識が組み込まれているんです。残念ですがあなたには、わからないでしょう。」

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アラゴン王の階段の伝説とは。

ボニファシオで絶対外せない観光スポットが、アラゴン王の階段(Escalier du Roi d'Aragon)です。

1420年、アラゴン王国(現在のスペインにあった王国)の軍がボニファシオを包囲。伝説によるとその際、王の命により、海から崖の上に通じる187段の階段を、たった一晩で作ったとか。(しかし結局、包囲作戦は失敗し、ボニファシオはアラゴン王国の手に落ちることはなかったそう。)

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実際階段の上に立ってみると、想像していた以上の高さに足がすくみます。傾斜角度は約45度。段の高さもまちまちで、30〜40cmくらい。一段一段の段差が大きい。「落ちたら間違いなく死ぬ。」と思える光景に、手すりを持つ手にも汗がじわり。終始、両手で手すりをにぎり続け、ムービーはおろか、写真を撮る余裕もナシ。(上の写真は夫が撮影。)

やっとの思いで下り切ると、岩をくり抜いて作られた遊歩道が続いています。

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下りたなら、登らねばならぬ、これが人生。時々階段に手をつき、息を切らしながらも、なんとか登り切りました。(目の前で3歳くらいの子どもを抱っこして登っていたお母さんに、憐れみと尊敬の眼差しを向けつつ。)

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Escalier du Roi d'Aragon/アラゴン王の階段
7 Pl. Carrega, 20169 Bonifacio
入場料:2.5ユーロ
www.bonifacio.co.uk/visite-decouverte/the-king-of-aragons-stairway
※悪天候、強風により閉鎖される可能性あり。

この後、港からボートツアーに参加。いよいよ旧市街の全貌が明らかに! 長くなったので、次回のブログへ続きます。

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中川史恩

都内在住、猫好きエディター。フランス生まれの保護猫ミャウと暮らす。好きな食べものは帆立の貝柱とチップス全般。苦手なものは直射日光。将来の夢は鶏と暮らすこと。@chez_miaou

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