南仏プロヴァンスで猫さがし。

7つのキーワードで見る、ブルターニュの景色。

「南の人って、両手を広げて誰でもウェルカム!みたいなそぶりを見せながら、最後は自分が一番大事、自分だけをハグしちゃうのよね。その点ブルターニュの人はそんなことない、心から友好的。なんでプロヴァンスに帰るのよ、ここに住めばいいのに!そりゃ南に比べたら太陽の光は少ないけど、ここもいいとこよ。」

と、南の人をまるっと痛烈批判しつつ我々の訪問を歓迎してくれたのは、バカンスで訪れたブルターニュ地方の小さな村のマダム。ああこの、何でもかんでも文句つけて結局身内を褒め称える感じ、フランス人って感じだ。(ええ、これは私の、マダムに負けず劣らずの偏見です。)

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そんなマダムの言葉を真に受けたわけではないのですが、確かにブルターニュはいいところでした。実際行くまでは「ブルターニュ地方」って、雨ばっかり、牧場ばっかり、まあ、魚介は美味しそう、パリが近いのもいいかもな。くらいのイメージしか持っていませんでした。

それがですね、今回行ってみて、すごく気に入りました。私の性質にはなんとなく南より北が合うんじゃないかとまで思ったほどです。気に入りすぎて、一体何からブログを書けばいいのやら……わからなくなっちゃったので、思いついた順にキーワードを並べようと思います。猫にももちろん、出合えましたよ。(それはまた、次回以降に。)

さあ、参ります。私が、初めてのブルターニュで見た景色。キーワードは7つです。

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#1.「紫陽花」

雨が多いブルターニュ。南仏では一切見かけない紫陽花があちこちに咲いています。霧雨のなか浮かび上がる鮮やかな紫陽花は幻想的。

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ピンク色の玉ねぎの生産で有名なロスコフ(Roscoff)で。

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ボーポール修道院(Abbaye de Beauport)。

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ロクロナン(Locronan)の街角。

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#2.「潮の満ち引き」

潮の満ち引きをほとんど感じない(というか、ない?)地中海とは打って変わって、大西洋のドラスティックでドラマティックな潮の動き! 日によっては8〜9mも差があるんだとか。

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ちゃんと水に浸かっていたボートたちも、数時間後には、陸上のボートに↓。

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サン・マロ(Saint-Malo)のビーチのすぐ向かいにある、グラン・べ島(Grand-Bé)。干潮時には歩いて渡れますが、ふと気づけば潮が満ちてきていて……あっという間に道は海の中に。

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島から見たサン・マロの城壁と街並み。

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だんだんと道は塞がれて、最後はこうなる↓。

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#3.「灯台」

ああ、かわいいかわいい小さな灯台。荒波の中、悪天候の中、がんばって立ち続けているブルターニュの灯台の健気さは、プロヴァンスやコートダジュールのお気楽灯台には感じられません。

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帆立貝で有名な、エルキ(Erquy)の灯台。

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牡蠣の名産地、カンカル(Cancale)。

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ラ岬(Pointe du Raz)の地の果て感あふれる灯台。

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こちらは、美しいハイキングスポット、カップ・フレエル(Cap Fréhel)。

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#4.「クレープ」

ブルターニュと言えば! ですね。上質でおいしいバターをふんだんに使ったクレープの生地。トッピングはほんとにもう、シンプルでいいんです。バター、お砂糖、アーモンド、が一番の私好み。とはいうものの、夫の頼んだ、りんごのコンポート、キャラメルアイス(そして追加でホイップクリームをトッピング)も、最強のコンビネーションと言わざるをえません。

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#5.「マリニエールとシレ」

ボーダーがかわいいSAINT JAMESは、ノルマンディー生まれのブランドのようですが、ブルターニュも港と漁師のお国。マリニエール(ボーダー)を着た人がいっぱい。あと、制服のようにみんなが着ていたのが、シレ(Ciré)と呼ばれる防水のジャンパー。大人も子どもも、黄色が一番人気ですね。思わず買いたくなってしまっている私に、「南仏ではぜったいいらないよね。」と夫。はい、ごもっとも。

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小さな女の子は黄色の、ボーダーマダムは赤のシレ。

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#6.「魚介類」

これもまた忘れがたい思い出。宿のオーナーに教えてもらった直売所(Viviers Dauphin Sarl)で、身がぎっしり詰まったカニ、トゥルトー(Tourteau)を生きたまま買って来て、宿のキッチンで調理。トゥルトーは夏が旬。舌平目(Sole)もソテーにしていただきました。牡蠣もあっちこっちで食べましたが、一番はやっぱりカンカル(Cancale)の牡蠣マルシェで開けてもらって食べたものでしょうか。

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ブルターニュのオマールは青い。(この写真じゃよくわかりませんが。)

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ずっしり重たい、トゥルトー。

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サイズ違いの牡蠣たちが並びます。

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シュークルートと言えば通常ソーセージやベーコンが載っていますが、こちらは、「海のシュークルート」(Choucroute de la mer)。この時期の帆立貝は冷凍ものと知りながらも、ホタテ好きはついついホタテに釣られます。

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つぶ貝(Bulot)も美味。

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カンカルでは、海沿いにテントの牡蠣屋さんが並びます。小さめサイズの牡蠣なら、12個で5ユーロ+レモンが0.5ユーロ、牡蠣開け料金が0.5ユーロ→計6ユーロです。お店の人はまさにプロ。1個2〜3秒でちゃっちゃか開けてくれます。

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ああ、いい眺め。

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食べ終わったら、貝塚に殻をぽーい!(レモンは別にゴミ箱があるのでそちらへ。)

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#7.「牛」

ブルターニュのレストランに入ると、必ずパンにバターが添えられています。名物のクイニーアマンだって、クレープだって、キャラメルだって、たぶん9割はバターです。そんな、すべての源とも言えるバターを生み出しているのは、牛ですよね。ブルターニュの牛たちは、絵に描いたような白と黒。晴れた日も雨の日も、黙々と牧草を食べ続けます。夜、月明かりに浮かぶ白黒もまた美しい光景でした。牛さん、いつもありがとうやで。

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スーパーのバター売り場で必ず見かける、ペイザン・ブルトンのロゴをつけたタンク車。ミルク回収中。

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MOF(フランス国家最優秀職人)の称号を持つ、ジョルジュ・ラルニコルさんのクイニエット(右上ふたつ)と、キャラメル。とてもじゃないけどクイニーアマンをまるまるは食べきれない! と思って、小さめサイズのクイニエットを買ってみましたが、こちらもとんでもない量のバターを感じました。

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つれづれと7つ並べて書かせていただきました。次回はお宿について!(の予定です。)

中川史恩

都内在住、猫好きエディター。フランス生まれの保護猫ミャウと暮らす。好きな食べものは帆立の貝柱とチップス全般。苦手なものは直射日光。将来の夢は鶏と暮らすこと。@chez_miaou

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