南仏プロヴァンスで猫さがし。

レ・ドゥ・ギャルソンの悲劇と、セザンヌのアトリエ。

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昨年、フランスだけでなく世界中に大きなショックを与えた、パリのノートルダム大聖堂の火災。実はエクス・アン・プロヴァンスでも、人々を大きな悲しみに包んだ出来事が起こっていました。

11月末、クリスマスマーケットの準備も整い、街にお祝いムードが流れ始めるなか、エクスの中心地、ミラボー通りにあるカフェ「Les Deux Garçons(レ・ドゥ・ギャルソン)」から火が出て全焼。

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いつかのレ・ドゥ・ギャルソン。フランス革命の最中、1792年の創業。

レ・ドゥ・ギャルソンは、エクスの数多あるカフェの中でも長い歴史を誇る、街のシンボル的存在の店です。エクス生まれの画家ポール・セザンヌや、作家のエミール・ゾラが学校帰りにしばしば寄り、語り合った場所であり、ピカソやジャン・コクトーなど多くの著名人が訪れました。もちろん、エクスを紹介するガイドブックには必ず掲載されているカフェです。

経営者が変わり、しばらく閉店している間のことだったので、幸いにもけが人は出なかったようですが、未だに火災の原因は不明。火が出る直前、店の前の防犯カメラが突然故障していたことがわかり、なにやら事件の気配も漂いはじめました。

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そんな大事な遺産がひとつ失われてしまいましたが、エクスにはまだ、アート好きなら訪れるべき場所がたくさん。なかでもぜひ足を運んでいただきたいのが、セザンヌのアトリエ(Atelier de Cezanne)です。

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セザンヌが晩年、大水浴図をはじめ多くの作品を生み出したアトリエが、そのまま残されています。

場所は、エクスを見下ろす丘の中腹、緑に囲まれた一軒家の二階。壁一面に作られた大きな窓から降り注ぐ光は、季節によって、また天気によって全く異なり、訪れる度に新たな発見があります。

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部屋の隅には、天井まで開く大きな扉が。大きなキャンバスを出し入れする時に使っていたそう。

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そこはまさに、セザンヌの生きた時代に、そのままタイムスリップしたような気持ちになれる空間。その部屋で、彼が着ていたコート、使っていた画材、傘、帽子に囲まれていると、彼の気配を肌にぴりぴり感じられるのです。

入場は、人数制限がかけられていることがあるので、事前に観光案内所で予約をしたり、お時間に余裕を持って行かれることをおすすめします。

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アトリエのある丘をさらに登ると、セザンヌがよくサント・ヴィクトワール山を描いていた場所(Terrain des peintres)に繋がります。

Les Deux Garçons/レ・ドゥ・ギャルソン
53 Cours Mirabeau, 13100 Aix-en-Provence
https://les2garcons.fr

Atelier de Cezanne/セザンヌのアトリエ
9, avenue Paul Cezanne
13090 Aix-en-Provence
www.cezanne-en-provence.com/en/the-cezanne-sites/atelier-de-cezanne

中川史恩

都内在住、猫好きエディター。フランス生まれの保護猫ミャウと暮らす。好きな食べものは帆立の貝柱とチップス全般。苦手なものは直射日光。将来の夢は鶏と暮らすこと。@chez_miaou

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