
台湾茶器の街「鶯歌老街」
デコラトリスの多賀谷洋子です。
ヨーロッパの食器ブランドの仕事でイベントをオーガナイズさせて頂くことになり、オリエンタルなお茶会をテーマにすることを思い立ちました。
仕事柄、リモージュなどヨーロッパの白磁は相変わらず増える一方ですが、最近は本来の用途とは少し見方を変えて、アジアの小物などと合わせて、中国茶用に自己流で愉しむのが気にっているこの頃。
都会の感度の高い洋食器好きの方たちとも、是非、こんな新しいお茶の愉しみ方スタイルを共感できたらと思い、春のイベントに向けて準備を進めています。
ブランド担当者の方と打ち合わせ前夜、拙宅の中国茶器のストックを見直していたら、こんなものが出てきました。
あら、まあ!
すっかり忘れかけていた、鶯歌老街で購入した茶器ではありませんか。
茶壺だけでなく、茶海までも揃っている。墨色なのでイメージも合い、今回の仕事にも使えそうです!
「そういえば、出かけたわよね~」
思い返すと、コロナ直前のお正月に出かけた台湾。実質、これが最後の台湾旅行となってしまい、わずか2年前のことなのに、遥か遠い記憶の中にあるような感慨深さで、思わずため息がこぼれます。
この年に、あっという間にコロナ渦となり生活が一変、茶器もしまい込んでしまったようで、存在そのものを忘れていました。
さて、「鶯歌老街」とは、台北から30分程度の新北市にある、有名な茶器の街。鶯歌は、イング―、インガーなどと発音するようです。
その文字のイメージ通り、ノスタルジックで昭和にタイムスリップしたような雰囲気のある街で、その時は、松山空港発夜便の帰国前に慌ただしく出かけました。
陶器の街らしく、目抜き通りの至るところに、個性的な陶器のモニュメントがあり、しばらく歩くと、お目当ての店のひとつ「陶作坊」が。
程よくモダンで、センスのよい茶道具が揃うので、台湾で必ずチェックするブランドです。
台湾市内にいくつか支店があり、日系百貨店にも入っていますが、やはりこちらの路面店はヴァリエーションが豊富で、しつらえも雰囲気があります。
「まあ、まあ、まずは一服してゆっくり見て行って」
他にお客さんがいらっしゃらないこともあり、とても丁寧に対応してくださいます。
というより、親日国の台湾の方はどなたも親切で、旅行中、人からのストレスが皆無なように思います。
この時も、いくつも茶器を変えて、阿里山烏龍を何煎頂いたことでしょう。
立ち上る湯気を愛でながら、ゆったりとした時間が流れます。
この時は、上の墨色のセット他、茶壺や小物類など購入しましたが、買い物を終えると、「おまけね、美味しいからおやつに食べてみて」と、確か袋一杯の果物も持たせてくれました。
なんと素朴な台湾らしさ!マダム、お元気でしょうか。又、お会いできるとよいのですが。
いつになるか分かりませんが、きっと近い将来に又、こちらに伺えることを心待ちにしています。
時間がなくて立ち寄れませんでしたが、この街には陶器の博物館もありました。
茶器だけではなく、台北にはないほっこり感に触れたい方、是非お勧めしたい場所です。
*陶作坊(台湾語サイト)
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