デコラトリスによる洗練探しの旅

スリランカ最高品質紅茶ブランド「ディルマ」

先日は、シャングリ・ラ ホテル 東京にて、スリランカ最高級紅茶ブランド「Dilmah(ディルマ)」が開催する「ストーリー・オブ・ティー」セミナーにお伺いしてまいりました。インテリア仕事は別として、チーズ、ショコラ、シャンパーニュと共に、お茶を巡る時間をライフワークとする私としては、魅力的なお招きです。

ディルマは、自国で生産された茶葉を製品化まで一貫して行う紅茶ブランドとして知られ、アジアのラグジュアリーリゾートホテルや空港ラウンジなどで時々目にしてはいたものの、ブランドのことは詳しく知らなかったので、この機会に心躍らせながら、ホテルのボールルームへ向かいました。

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ところで、紅茶は英国、コーヒーはイタリアやフランスが美味しいと言われていますが、いづれもこれらの国では原料となる茶葉や豆は生産していないということはご存知でしょうか。紅茶といえば誰もが英国を思い浮かべ、英国旅行に行ったら必ずと言っていいほどアフタヌーンティーを楽しみ、お土産に紅茶を買うというように、紅茶 = 英国いうのはもはや常識のようになっています。でも、有名な英国紅茶ブランドの茶葉は全てインド、中国、スリランカなどから輸入され、そのブランド独自のブレンドや味に仕上げ、ブランド名を冠したパッケージで販売されており、メイドインイングランドの紅茶は存在しません。

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ディルマというブランドは、かつてはこのように、多くの英国紅茶の有名ブランドの為に原料の茶葉だけを卸していましたが、第三国を経由せずしてダイレクトに、スリランカの茶葉を販売するビジネスに切り替えました。そうすることで、より新鮮で上質な本物の紅茶の美味しさを世界中の人に提供することが出来る、さらに独自の紅茶ブランドの販売で得た利益は、第三国に流出することなく国内還元され、茶園で働く人々の暮らしを改善することができるのではないか、そんな情熱からメリル・J・フェルナンド氏はブランドを設立したのです。

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既に20代半ばにして、メリル氏は原料茶葉輸出業で大成功を収めていながらも、100パーセントメイドインスリランカに拘った、独自の紅茶を世界に広めたいという一心で、プロジェクトを推し進めてきました。ディルマというブランド名は、二人の息子さんディルハンとマリクの頭文字をミックスした名前で、第三の息子のようにブランドを慈しみ育てたいという思いで命名したのだとか。

さて、前置きが長くなりました。この日はオーナーファミリーと親交の深い、ホテル総料理長 アンドレア・フェレーロ氏の紅茶を使った特別ランチを頂きました。フェレーロシェフのお料理は、バリやミラノのブルガリホテルにいた頃何度か頂いたことがありますが、斬新な盛り付けや素材選びに定評のあるシェフで、今回も茶葉を練り込んだもの、紅茶風味のスープ等、魅惑的なお料理を堪能させて頂きました。

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まず、上はミント、下はシロップとライムで二層になったウエルカムドリンク。

紅茶のほどよい渋み、甘さ、ハーブの清涼感が絶妙。アジアンリゾートのスパで、贅沢トリートメントをした後に頂きたいような味です。

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前菜 「スモークフォアグラのテリーヌ 柿とザ・ファーストセイロン・スーチョンティーのマリネ ダークチョコレート」

濃厚なフォアグラに、柿の水分を含んだ茶葉のチップが載せられていて、まったりしたフォアグラに、茶葉とチャツネのような柿の食感が程よいアクセント。

中国茶のラプサンスーチョンは松の木でスモークしている為、かなり個性的な強い香りで好みが分かれますが、スリランカのスーチョンはシナモンを使う為、香りが穏やか。チョコレートと香ばしいスモークのマリアージュが楽しめる味です。ちなみにシナモンもスリランカ原産なのだとか。

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メインディッシュ 「鴨のロースト ウバ・ハイランズ・エステート 「シーズナルフラッシュ」 ティー薫るコンソメ 林檎のキャラメリゼ アンティーヴとコーンスプラウト」

ウバ・ハイランズ・エステートは、スリランカで最も古く、100年以上の歴史を持ち最高品質の茶葉を生産することで知られている老舗茶園だそうで、紅茶の風味でよりふくよかなコンソメの味が楽しめ、紅茶とアンティーブの苦みバランスも良かったです。

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デザートは、ウバ トトゥラガーラ・エステート 「シーズナルフラッシュティー」に合わせ、「ホワイトティー マカロン マチェドニア風味のアーモンドクリーム 赤い果実とレモンの砂糖漬け アマレットアイスクリーム添え」

ホワイトティー(白茶)は、お茶の新芽だけを、ひとつひとつ丁寧に手摘みしたしたもので、収穫時期と数に限りがあるため、稀少価値の高い茶葉。抗酸化作用があり、知る人ぞ知るアンチエイジング紅茶なのです!そんな若芽を惜しげもなくマカロン生地に練り込んでいる為、とても繊細で、まるで白檀のようなオリエンタルな香りが楽しめるデザートでした。

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圧巻のティーテイスティング!シャルドネ、ピノノワール等ワインの木は世界中に限りなくありますが、紅茶はツバキ科の「カメリアシネンシス」1種類のみ。それだけにワイン以上にテロワールがバリエーションに富み、香りや色に反映しています

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シャングリ・ラ ホテル 東京のロビーラウンジでは、ディルマの豊富なバラエティーからセレクトされた18種類を楽しむことができるそうです。私も近日中に伺うつもりです。

ディルマは最近、美食の街リヨン郊外にポールボキューズと提携した紅茶スクールも開講したとのこと。サロン・ド・テで美味しい紅茶を頂けるようになったとはいえ、これは一部の都会での話に過ぎず、フランスは圧倒的にコーヒー文化の国。でも、この国の美意識と貪欲な食に対する探究心がディルマと結びついたら、フランスでどんな紅茶文化が花開くのか楽しみでもあります。

「新鮮・純セイロン産」 を追求し、新しいスタイルで提案しているディルマの世界観に触れながら、スリランカ紅茶文化の伝統と革新を体感する時間でした。



ディルマ紅茶日本総代理店/ワルツ株式会社
TEL:0532-33-3517  http://www.dilmah.jp


シャングリ・ラ ホテル 東京
http://www.shangri-la.com/jp/tokyo/shangrila/dining/

 

多賀谷洋子

食空間デコレーター。雑誌編集、外資系客室乗務員を経て、テーブルコーディネーターに。ブライダルやパーティ、商業施設から個人宅まで幅広くインテリアデコレーション手がける。雑誌やレシピ本のスタイリングでも活躍。パリスタイル主宰、フランスチーズ鑑評騎士の会 チーズシュヴァリエの顔も持つ。著書「美しくなるチーズレシピ:“チーズは太らない!”ダイエットも、アンチエイジングもチーズにおまかせ!」が話題。

http://paristyle.jp/

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