
台北故宮へ
秋に自宅を引っ越すこととなり、せっせと断捨離に勤しむこの頃。
先日、引き出しの中から無造作に紙に包まれた翡翠が出てきました。
そういえば、もう10年以上前に、家族が仕事関係の方から頂いたことを思い出しました。
長年、ミャンマーを往来する方でしたが、リタイアするにあたり、
「もう行くことがないので。」と下さったようですが、何かに加工しようと思っているうちに、引き出しの奥へ奥へと迷い込んでしまったようです。
このままではさみしいので、真珠や瑪瑙と組み合わせてみたり、あるいはちょっとエキゾチックな雰囲気で、20代の頃現地で購入したままほとんど身に着けていないヴェネツィアンビーズや、バルト海の琥珀等と組み合わせもよいかも。。
西太后が身に着けていたような長く垂れさがるピアスに加工したいと思い、デザインをあれこれ妄想しているうちに、せっかくなので、本物を見てこよう!と、急遽、台北故宮に行くことを思い立ちました。
この数年、中国茶のしつらえに玉器を取り入れることも増えてきて、翡翠や瑪瑙、象牙など(大好物!)についての知識をもっと増やして、目を肥やしておきたいと朧気ながらにも思っていたので、考えれば考えるほど行きたい気持ちが高まってきます。
台湾へは、毎年、年末年始に出かけているものの、仕事でストレス過多の家族の希望に合わせ、のんびりほっこり台湾南部での休息旅。
この機会、気が済むまで中国秘宝を鑑賞してこよう!!と、ソロ旅をスタートさせました。
エアは、いつものEVA航空。台湾発便では、「鼎泰豊」の点心がチョイスできるので、最近リピートしています。
現地での食事が油っぽくなりがちなので、東京発は和食をチョイス。
台北到着翌日、美術館の開館に合わせて、市内から30分程、タクシーを走らせます。
故宮に二日間は通いたいと思っていたので、近隣でホテルを探しましたが、この界隈は若干寂しい場所で、閉館後の夕方以降の時間が退屈しそう。チェックしている茶器やその他行きたいお店へのアクセスが、やはりこの場所では不便です。
さて、紫禁城を模して建てられたといわれる博物館が視界に入ってくると、心躍ります。
膨大な故宮のコレクションは数十万点と言われ、皇室文書を含む図書文献、書画、器物など多岐に渡り、 そのうち常時展示されている展示物は約4000~5000点で、定期的に入れ替えが行われているため、いつ、何度来ても、その都度新鮮な出会いと感動があります。
初日は、20年以上前にロンドンサザビーズのアートスクールでクラスメイトだったウイリアム(台湾人)がアテンドしてくれ、まずは翡翠、象牙、瑪瑙など玉器の鑑賞を。
こちらの彼、あの頃はまだ大学生だったのすが、今ではファミリービジネスを継いで立派な骨董商。その為、解説がロジカルでありながらも、蘊蓄量が膨大。録音したいほどです!
ところで、翡翠(ジェード)は、ネフライト(軟玉『白玉』)とジェダイト(硬玉)に大別されます。 日本で翡翠と呼ばれるものはジェダイト(硬玉)だけですが、中国の「玉」や英語の「Jade」は両方のことを指します。
歴史が古いのはネフライトの方で、中国では、紀元前1600年頃から約1200年間はネフライト文化が主流で、ジェダイト(硬玉)が登場するのは、清王朝の17世紀後半以降。
一般的に、産出量が多く軽量で傷つきやすいネフライトの方が、安価で希少性が低く、軽視されがちですが、美術品の分野では、その歴史的価値の高さからネフライトの方が高値で取引されることが多いそうで、ネフライトの置物や宝飾品は香港オークションの常連で、桁外れの価格がつくことも少なくないのだとか。
さて、ランダムですが、画像を少し。
紀元前、中国にネフライトが登場した初期のものから順番に見ていきますが、これが紀元前の作?と驚かずにはいられない緻密な芸術性に目を見張ります。
清朝きっての芸術収集家でもあった乾隆帝コレクションも多数。
なんともいえない瑠璃の艶やかな美しさにもすっかり魅了されました!!
故宮の所蔵品は、歴代皇帝のなどが秘宝などが数十万点。
ここでは、当時の傑出した技術と最高級の素材、珍品などを集約させた至高の芸術品を共に、4000年の歴史をパノラマティックに見ることができます。
久しぶりの故宮には、琴線に触れる見事な作品があまりにも多く、二日間でも全く足りないほど。
美しきシノワな世界にどっぷり浸かりことができ、幸せな台湾時間となりました。
秋の南院訪問も楽しみです!
★公式サイト → 台北 国立故宮博物館
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