
ベージュ アラン・デュカス 東京にて、レッスン
今年から開講した、テーブルスタイリストのプロを養成する「パリスタイル・テーブル・デコール」のプロフェショナルコース。
毎月一度のレッスンですが、9月は課外授業で「ガストロノミー&テーブルマナー」のレクチャーを「ベージュ アラン・デュカス 東京」にて、開催しました。
メインダイニングでのお食事前に、総料理長小島景シェフによる厨房ツアー。
以前一度入れて頂いた時も思いましたが、もっと殺伐とした殺気だった雰囲気なのかと思いきや、整然とした空間で、スタッフの皆様は動きに一切の無駄がなく、なんというかとても理知的で優雅な物腰。これも、アラン・デュカス氏の哲学なのでしょうか。
レストランは改装が予定されているとのことですが、厨房設計に関しては、小島シェフがお書きになった図面を基に全てフランスからのお取り寄せなのだとか。
お料理だけでなく、ハード面に至ってもオートクチュールとはなんとも贅沢!
小島シェフより、高級食材やメニュー等についてレクチャーを受けます。
鎌倉にお住いのシェフ自ら、新鮮なご当地野菜を運んで来られるのは有名な話ですが、これから頂く野菜について、又、パリのパラス「プラザ・アテネ」の厨房秘話など、貴重なお話を伺うことができました。
後ろ髪をひかれながらダイニングへ移動。半個室にお席をご用意頂きました。
現在、プロトコールにおいてのテーブルマナーやガストロノミーはフランス料理が基準となっていますが、遠いヨーロッパの歴史を紐解くと、そのルーツはイタリアルネサンスにまで遡ります。
当時ヨーロッパきっての洗練と栄華を極めたフィレンチェ。彼の地で花開いた芸術ルネサンスのパトロン、メディチ家のカテリーナ・ド・メディチが、フランス王家のアンリ二世に嫁いだことにより、麗しきイタリア文化は大移動。
アルプスを超え、無粋で野蛮な田舎国に一旦入ってしまったら、もう故郷には二度と戻れまいと、そのお輿入れは贅の限りを尽くした壮大さだったとか。豪華絢爛な家財道具や使用人の他、お菓子職人、リキュール職人等多くの食のプロフェッショナルをも伴った婚礼により、フランスにテーブルセッティングやマナーの概念も伝わりました。
そんなヨーロッパの歴史に思いを馳せながら、お食事はスタート。
アペリティフはもちろん、「Champagne Alain Ducasse Brut NM」
合わせる白ワインは
前菜「アオリイカ, 賀茂茄子のフォンダン, 茄子ソース」
「オマールブルーと季節野菜, 茸ソース」
こちらはオマール海老と鎌倉野菜のjusのみで調理されているのだとか。それだけに凝縮した素材の風味がダイレクトに伝わり、シャサーニュモンラッシェと余韻の長い上質なマリアアージュに、至福の時間が流れます。
「2014 Gevrey-Chambertin "les Crain"Jean-Michel Guilin et fils」
「鳥取県産和牛ロースト, ビーツとレモン」
5年に一度開催される和牛のオリンピックで入賞し、今最も旬な島根産和牛は、まだ新鮮な果実味が感じられるジュヴレ・シャンベルタンの滑らかな舌触りとよく合い、デリケートで官能的なマリアージュ。
デジェスティフにグラン・マニエを頂きながら、魅惑のエピローグ、デゼールへ。
チーズプラトーも感動的な素晴らしさで、こちらは、アルザスのMOF熟成士「ベルナール・アントニー」からの厳選フロマージュ。
仕事柄、レストランでデザートにチーズを頂くことはよくありますが、私的な意見ですが、日本では残念ながらレストランの格とは比例しないのがチーズ。
チーズをスキップする方がやはり多いからか、例え、食事もサービズも素晴らしい☆名店であっても、チーズは残念な状態であるということが時々ありますが、このチーズはどれも言葉を失うほどの忘れがたきお味でした。
大好きなデゼール・スペシャリテ
「カレ・シャネル ショコラ-プラリネ, ヘーゼルナッツのアイスクリーム添え」
12時~スタートしましたが、窓の外は日が傾き始めていました。
素材や調理法のヴァリアーションが豊富でエレガント、かつ歴史と美学が存在するフランス料理が、なぜプロトコールのお料理として不動の地位を確立しているのかを改めて考え直し、その魅力を再認識するとてもよい機会でした。
小島シェフ、関係者の皆様、そしてパリスタイルの皆様、
素敵なお時間をありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
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