Dance & Dancers/浦野芳子
英国ロイヤル・バレエ団、3年ぶりの来日公演スタート!!
英国ロイヤル・バレエ団が3年ぶりにやってきました!!
初日の今日(16日)は、英国ロイヤル・バレエ団の十八番とも言える
『ロミオとジュリエット』!!
初日を飾る主役カップルは、ジュリエット=ローレン・カスバートソン、
ロミオ=フェデリコ・ボネッリ。
ローレン・カスバートソン
フェデリコ・ボネッリ
さすがロイヤル・バレエ団!
ふたりとも気品あふれる表現が素敵でした。
中世イタリア、ヴェローナの公爵家の子息らしい、育ちの良さが
ロイヤル・スタイルと呼ばれるエレガントな身体の使い方から
表現されていました。
『ロミオとジュリエット』には、さまざまな振付家のバージョンがあり、
それぞれに魅力的なのだけれど、
私は英国ロイヤル・バレエ団のこの、ケネス・マクミラン版の
振り付けが好き!!!
若い二人が、ジェットコースターのように恋に落ちいてく
その心模様が、難易度の高いリフト満載のパ・ド・ドゥに、
抑揚たっぷりに描かれているから。
『ロミオとジュリエット』2016年6月16日公演より。仇同士のモンタギュー家とキャピュレット家との間には争いが絶えない。撮影:長谷川清徳
『ロミオとジュリエット』2016年6月16日公演より。ジュリエット役のローレン・カスバートソン。撮影:長谷川清徳
有名な、バルコニーのシーンでは、
きゅんきゅんしまくりました。
この場面は、対立する家同士の年頃の男女が
舞踏会で出会い、あっという間に恋に落ちた後の場面。
シェイクスピアの戯曲でも有名ですよね「おおロミオ......」
ジュリエットがロミオに思いをはせていると、夜の闇に紛れて
ロミオがバルコニーの下に現れます。
女の子だったら誰しも、今自分が想っていた人がそこに現れたら、
これは運命なのだわ!!
と舞い上がらずにはいられないはず。
で、ロミオが、思いのたけを激しい踊りでジュリエットに伝えるわけです。
......私はこの場面を見るたびに、鳥類の雄の求婚シーンを
思い出してしまうのですが、それくらい激しく羽ばたき、
舞い上がり、空中回転するのですよ。
もちろんジュリエットは「いやよいやよも好きのうち」という感じで
わざとらしくためらいながらも、どんどんロミオに魅かれていく。
その心の盛り上がりが、スピーディに、
アクロバットさながらのリフトの連続の中で語られていく。
......私も"女の子"だったころはこういう感じだったなぁ、なんて、
胸キュンキュン!!
枯れていた女性ホルモンの泉が目を覚まします。
ここまでは、過去に何度も見てきた中で、
いつも心揺さぶられてきたポイント。
でもこの度、新しい気付きに出会えました。
『ロミオとジュリエット』2016年6月16日公演より。ロミオ(フェデリコ・ボネッリ)とジュリエット(ローレン・カスバートソン)のパ・ド・ドゥ。撮影:長谷川清徳
ジュリエットと愛を誓ったロミオが、
両家の対立を終結させようと、いつものように町中で繰り広げられている
衝突騒ぎに冷静に立ち会う場面。
「争いから世界を救うものは、愛なのだ」
もしかしたらシェイクスピアは、悲恋の奥に、
平和と愛、という深遠なメッセージを込めたのかしら、
と思い至ったのです。
ラストシーンではふたりとも自ら命を絶ってしまうのですが、
この悲しい事件を教訓に両家は互いに手を取り合った、というシーンを
描いているバージョンもあります。
同じ作品を何度となく見ても、
毎回新たな発見や感動に出合えるのが
生の舞台の魅力。バレエやダンスは、言葉を使わない表現であるだけに、
その時々の自分のマインドが感じ方に影響します。
年齢、経験を重ねれば重ねるほど、気づきと感動は更新されます。
『ロミオとジュリエット』2016年6月16日公演のカーテンコール。撮影:長谷川清徳
さて、来週は『ジゼル』。
演劇の国・英国ならではの、物語性を重視したピーター・ライト版。
20代のころに初めてこの作品を観た私は、
身分を隠して自分に近づき、裏切った恋人をなぜ
許し、守るのかが理解できなかった。男性が描いた
勝手な女性像の象徴だとすら感じられ、反発を覚えたのです。
が、40代にさしかかろうというタイミングで、
吉田都さんの『ジゼル』を観て、むしろ愛の本質を発見!!
......心から誰かを愛するということは、至上の喜び。
それをもたらしてくれた恋人に、ジゼルは、感謝の心しか
持てなかったのです。
愛は、与えるもの。
代償を求めるものではない......
来日直前に、平野亮一、高田茜、両氏のプリンシパル昇進決定の
報道で湧いた、英国ロイヤル・バレエ団の来日公演。
新しい才能が魅せてくれる、新しい感動との出会いに
心高鳴る、
東京・福岡・西宮・名古屋・福山ツアー、
感動的な舞台で幕開けです!!
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