イタリアの巨匠が、ベストセラー小説を映画化!

Culture 2017.08.08

甘やかなダンスが呼び起こす、愛の消失点とその乗り越え。
『甘き人生』

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1960年代末、高度成長期のトリノ。9歳の少年マッシモが若い母にリードされて踊るダンスは、未来絵図を描けない1990年代の申し子みたいな中年の彼の心象に、二度と戻れないゴールデンエイジの華やぎをおき火のように映す。ほどなく母は、少年に何も告げずに逝った。少年は母の謎の死を否認し、成長しても胸に空洞を残した。マッシモの息苦しいほどの喪失感は、生き馬の目を抜く社会の渇きと呼応する。女医と恋をし、彼の感情が回復してゆくプロセスを、新たなダンスシーンに結晶させた巨匠の名演出が心に響く。

『甘き人生』
監督/マルコ・ベロッキオ
2016年、イタリア・フランス映画 130分
配給/彩プロ
ユーロスペース、有楽町スバル座ほか全国にて公開中
www.amakijinsei.ayapro.ne.jp

*「フィガロジャポン」2017年8月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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