" 静と動"、ふたつの視点で収めた『拈華』が刊行。
Culture 2017.10.26
2016年4月に開催された、SIMPLICITY代表 緒方慎一郎氏とプラントアーティストの川本諭氏によるふたり展「拈華」。緒方氏が亭主を務める究極の料理屋「八雲茶寮」を舞台に、緒方氏が器を選び、その問いかけに応えるように、川本諭が花を生けました。「現代における日本の文化創造」をコンセプトに、さまざまなかたちで日本の表現を試みる緒方氏が、川本氏とともに挑んだ、生け花でもフラワーアレンジメントでもない「現代の花」の軌跡。
その両者のコミュニケーションの記録を写真に収めた『拈華 - nenge -』が、10月上旬に刊行する運びに。
タイトルの拈華(ねんげ)は、「拈華微笑(ねんげみしょう)」の故事より引用。霊鷲山で説法をした釈迦が花を拈って大衆に示したところ、摩訶迦葉だけがその意を悟って微笑し、仏教の真理が無言のうちに伝授されたことをいい、以心伝心で法を体得する妙を示します。
生と死、日常と非日常、あるいは芸術と狂気——。
既存の価値観に縛られることなく、自由な心で「現代の花」を拈り、世に問うてみたかった。
————緒方 慎一郎
今回の取組みは緒方氏のフィロソフィの世界に身を投じ、
「日本的なるもの」の中で自分の中にある植物の美と向き合うことでした。
————川本 諭
およそ200頁からなる本著は、「静と動」の視点で写真に収めており、右開き・左開き両方から捲っていただけるつくりになっています。読むことはもちろん、花を飾るようにお部屋に添えるにもふさわしい一冊。ふたりの問答が伝わるような作品の数々をぜひご覧ください。
写真:池田裕一・小松原英介 アートディレクション:緒方慎一郎 仕様:208頁/ B5 定価:本体¥4,000
緒方慎一郎・川本 諭 著
青幻舎 刊
¥4,000
www.simplicity.co.jp
yakumosaryo.jp
texte : YUI TOGAWA