いま話題の"ヒュッゲ"に暮らすための10カ条。
Culture 2017.10.20
ロンドンで「マリ・クレール」の編集者として華々しい生活を送っていたヘレンはいつも疲れていた。トレンドを追いかけ、理想の暮らしを記事にしながら、いつも仕事に追われ、アルコールなしでは眠れない日々。そんな時、夫の転勤でデンマークの田舎町に移住することに。ヘレンが体験した驚きの日常を綴った『幸せってなんだっけ? 世界一幸福な国での「ヒュッゲ」な1年』が出版されるや、ヨーロッパを中心に“ヒュッゲ”が流行語になっている。次のページの10カ条はヘレンが体験したデンマーク流幸せのヒント。
運河沿いに色とりどりの建物が並ぶニューハウン。500もの島があるため、常にフェリーが行き交う。
幸せはお金だけで買えるものではなくて、ささやかな生活の知恵とお互いを信頼しあうことから生まれる。心地よくインテリアを整え、友達や家族を招いてお茶や食事をすること。一見何げなく思われるデンマーク人のライフスタイルは、じつは福祉国家として生活の豊かさを追求する国民の高い意識に支えられている。でもイギリス人のヘレンがいうように、国を動かすことは難しくても、私たちは毎日の生活の中でヒュッゲを実践することができるはず。あなたも身近な一歩からヒュッゲライフを始めてみませんか。
>>具体的な10カ条を紹介
ヘレン・ラッセル著
鳴海深雪訳
CCCメディアハウス刊
¥1,998
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ー ヒュッゲに暮らすための10カ条 ー
信頼する
デンマークではベビーカーの赤ちゃんをレストランやカフェの外に置いたまま、中で親が食事をしている光景が珍しくない。周りの人を信頼することで不必要にストレスを感じなくなり、皆がハッピーになるというわけ。
生活に工夫を
生活の中のちょっとした喜びを見つけること。キャンドルを灯す、時間をかけて自分でコーヒーをいれる、おいしいペストリーを食べるなど、日常のささやかな楽しみを享受することがヒュッゲライフの第一歩。
身体を使う
自転車に乗る、ジャンプする、ダンスする、セックスする、身体を振る……すると、ハッピーホルモンが放出され、もっと素敵になれるのだ。コペンハーゲンでは年齢や職業に関係なく、自転車通勤が半数を占めている!
美に触れる
できる限り自分のいる環境を美しいもので満たすこと。それによりデザインやアート、日常の環境への敬意が生まれる。「よくない環境は放置しておくとさらに悪化する」という逆の理論もまたしかり。
選択肢を減らす
食事をする場所、着るものなど生活の選択肢が多すぎると負担になる。デンマーク人は「ストレスのないシンプルさ」「制限された中で享受する自由」のスペシャリスト。クローゼットいっぱいの洋服よ、さようなら!
誇りを持つ
デンマークでは多くの人が地位や職業に関係なく、趣味のクラブに所属している。自分が得意なこと、または自分の国や故郷の人々が得意なことを見つけて、自分のものにすること。旗を振って、機会あるごとに歌うこと。
家族を大事にする
デンマークでは国民の休日は家族の絆を深める時間になっていて、生活のあらゆる側面で家族が最優先されている。親戚に会ったり、家族間の習慣やイベントを持つと、よりハッピーになれるので、どちらもやってみて。
すべての職業を尊敬する
「女性の仕事」「男性の仕事」といったものは存在せず、「仕事」が存在するだけ。介護をしている人は一家の大黒柱と同じく重要であり、互いの存在があるからこそ生きていくことができる。どんな仕事も輝かしく大切だ。
クリエイティブに遊ぶ
デンマーク人はアクティビティ好き。レゴの国では遊びは何歳になっても価値のある「仕事」として認識されている。クリエイティブな活動をしたり、ブログを書いたり風刺画を描いたり。頻繁に遊んだり物を作ってみて。
シェアする
人はシェアすることで人生が楽になり、ハッピーになれる。デンマークのような福祉国家がどこでも実現できるわけじゃないけれど、誰かを家に呼んで一緒に“ヒュッゲ”をし、温かい気持ちをシェアすることが大切。
ヘレン・ラッセル著
鳴海深雪訳
CCCメディアハウス刊
¥1,998

ヘレン・ラッセル
Helen Russell
英国版「マリ・クレール」元編集者。2013年、デンマーク移住を機にジャーナリストとして「タイムズ」「ウォール・ストリート・ジャーナル」などに寄稿。2015年『幸せってなんだっけ? 世界一幸福な国での「ヒュッゲ」な1年』を出版、世界13カ国で出版予定。
photos:KAZUMA TAKIGAWA, SIMON MEYER(portrait), réalisation:JUNKO KUBODERA