デンマーク流、幸せになる52のヒント。
Culture 2017.11.30
デンマーク特有の言葉、“ヒュッゲ”をご存じですか?
最近話題の“ヒュッゲ”という言葉、あなたは知っていますか?
ヒュッゲとは北欧、デンマークでは当たり前の「幸せの価値観」なのかもしれません。いま、ヒュッゲを知れば考え方が変わるかもしれない、と日本にも広まりつつあるのです。
女優である著者がデンマーク国中を旅し、多くの人々にインタビューして知った「幸せの見つけ方」を写真とともに綴っています。
女優のマリー・トレル・スナベアは、『デンマーク・ヒュッゲ・ハンドブック 幸せになる52通りのヒント』本書を執筆するにあたり、あらためてヒュッゲという言葉の意味を考えてみたといいます。
「端的にいえば、ヒュッゲとは愛する人と一緒にいること、つまり「幸福」と密接な関係があるのだけれど、これは寒く長い冬を過ごすデンマーク人が家庭志向であること、福祉や平等意識の高い小国家に住んでいるといった環境から生み出された言葉といえそう。
ある日、街を歩いていたら雨が降ってきた。すると突然、小さな男の子が妹に向かって『家でホットチョコレートを飲むのには最高の天気だね!』と言っているのが聞こえてきた。そう、私たちは曇りや雨、寒さの中でもささやかなヒュッゲの瞬間を探しているみたい。これは鬱に負けないための防衛手段ともいえるのだけれど。
たとえばうちのアパートの4階の窓辺に座って中庭で遊ぶ親子を眺めたり、3時に仕事を切り上げて自転車で街を走り抜けたり、夕方の家々の窓に金色に輝く光を見つけたりする瞬間——これもまたヒュッゲなのだ。食料品店でレジに並んだ客同士が世間話をするのはよくある光景だけれど、別れ際の挨拶で最近よく耳にするのが『hygge to meet you!』だ。
ヒュッゲに必要なのは、自分にとっていちばん大切なことをするための時間。友人たちは週37時間でなく30時間勤務が理想だという。なぜなら早めに子どもを学校に迎えにいって公園で遊ばせ、ストレスなく夕食を作りたいから。ただ毎日を生き延びるだけでなく、内面から成長したいと願っているから。お金持ちになるのではなく、豊かな時間を持つことで質の高い人生を送れるのでは? 火曜日の午後、家路を急ぐ人々を眺めるにつけ、私は孤独ではないと感じる。だって私には、一緒にホットチョコレートを待ち焦がれる、大切な人がいるのだから」
いつもの生活にヒュッゲの概念を取り入れることで、いまの暮らしがもっと楽しくなるはず。幸せになるためのヒントをぜひ本書で探してみてください。
*「フィガロジャポン ヴォヤージュ」Vol.36より抜粋
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マリー・トレル・スナベア著
菅野美津子訳
CCCメディアハウス刊
¥1,998
![https://madamefigaro.jp/upload-files/profile-Marie-Soederberg-171107.jpg](https://madamefigaro.jp/upload-files/profile-Marie-Soederberg-171107.jpg)
マリー・トーレル・スーダベア
Marie Tourell Søderberg
コペンハーゲン生まれ。舞台や映画で女優として活躍する。本執筆のために、デンマーク国内を旅して、多くの人々とヒュッゲについて語り合い、取材した。写真とともに、生活のささやかな幸せの瞬間を紹介。
photos : ANDERS HEINRICHSEN (portrait), FANNY BRUUN ANDERSEN (2), MARGRETHE SØNDERLUND ANDERSEN (3,4), NANNA MOSEGAARD (4), ROSA CELINDER FAURHOLM (4), KARINA TENGBERG (5), MARIE TOURELL SØDERBERG (6), réalisation : JUNKO KUBODERA