信心深いと6年も長生きする、その理由とは?
Culture 2018.06.29
長生きしたかったら、宗教がヒントになるかも? このほど行われた調査で、何らかの宗教を信じている人はそうでない人と比べて長生きしていることがわかった。英『インディペンデント』紙は、「禁酒、瞑想、社会とのつながりなどが原因かもしれない」と伝えている。
祈りや瞑想といった「ストレスを軽減する習慣」も、寿命に影響を与えているかもしれない。© caiaimage/amanaimages
1500人以上の死亡記事を調査
調査を行ったのは、米オハイオ大学のクリスチャン・エンド准教授らのチーム。新聞の死亡記事1500人分以上を調べたところ、何かの宗教を信じていた人は、そうでない人たちと比べて平均で5.64歳長生きしていた。結果は学術誌『ソーシャル・サイコロジカル・アンド・パーソナリティー・サイエンス』に発表された。
調査チームはまず、アメリカの42の州で1000人以上の死亡記事を調べた。さらに、宗教色の強い地域であるアイオワ州の地元紙『デモイン・レジスター』の死亡記事約500人分も調査。死亡記事は通常、亡くなった人の信仰や婚姻の詳細が記載されているほか、どんな趣味やアクティビティを好んでいたかについても紹介されている。
合計1500人分の平均では、信仰心のある人がそうでない人と比べて長生きした年数は5.64歳。興味深いことに、アイオワ州『デモイン・レジスター』紙の死亡記事を使った分析ではこの差は6.48歳で、他の地域と大きく異なっていた。『インディペンデント』紙は、「宗教色の濃い地域に住んでいると、信仰心が長寿に寄与する効果が高まるのでは」と記している。
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社会活動、禁酒、瞑想が関係してる?
信心深い人の方が長生きだとすれば、どんなことが要因なのだろうか? 最初に思い浮かぶのは、宗教を信仰している人たちは通常、宗教団体での社会的な活動などに積極的に参加していること。孤独や座りっぱなしの生活が、心身の健康や寿命にネガティブな影響を与えるのは、複数の調査からはっきりしている。
とは言うものの、今回の調査の主執筆者であるローラ・ウォレス氏は、ボランティアなどの社会活動への参加が寿命に影響しているのはほんのわずかで、年数にしたら1年足らずだと説明している。
信心深い人の寿命がなぜ長いかについては、「まだはっきりと説明できないことがたくさんある」とウォレス氏。それでも、宗教を信じている人はアルコールやドラッグをやらない傾向にあり、それも原因ではないかと彼女は考えている。また、宗教を信仰する人たちは瞑想やヨガ、祈りといった「ストレスを軽減する習慣」がある。それも、無神論者よりも長生きする要因かもしれない。
特定の宗教を信仰していなくても、心配しすぎる必要はないだろう。アルコールは控えめにする、瞑想やヨガを行うなど、この調査には寿命を延ばすヒントがありそうだ。そして何かを信じる気持ちは、対象が宗教でなくてもいいかもしれない。
texte: Satomi Matsumaru