ダイアナ妃を思い起こさせる、キャサリン妃のファッション。
Culture 2018.12.27
ダイアナ妃とケンブリッジ公爵夫人キャサリンが出会う機会は一度もなかった。しかし、ダイアナ妃が息子の伴侶に残したものがある。それは、ファッションという遺産だ。キャサリン妃はダイアナ妃のスタイルをさりげなく取り入れている。具体例を挙げながら検証してみよう。
キャサリン妃は、ダイアナ妃と驚くほど似ているアウトフィットを身に着けていることがある。photos:Abaca, Getty Images
ダイアナ妃とキャサリン妃の共通点は、イギリス国民の(そしてウィリアム王子の)無条件の愛だけではない。このふたりの女性が国民の心をつかんだのは、もちろん彼女たちの思いやり深さと笑顔があったからだろう。しかしそれだけではなく、ファッションセンスが世間で話題になるという点でもふたりは共通している。キャサリン妃がどんな装いをしても、必ず分析やコメントの対象になり、そのスタイルは女性たちのお手本となっている。義理の母であるダイアナ妃もまた、存命時はその装いが常に注目されていた。
ところで、メディアやファンの目は節穴ではない。ウィリアム王子の伴侶は、実は服選びを通してこれまでに何度も、"心の王妃"と呼ばれた女性にさりげなく親愛の情を示したり、オマージュを捧げてきているのだ。意識してのことかどうかはともかく、ダイアナ妃のファッション関連の資料をひっくり返してみると、キャサリン妃とダイアナ妃のスタイルの類似性が目を引く。パリ・アルマ橋での悲惨な事故で命を落としたダイアナ妃は、2017年8月31日に没後20年を迎えている。
エレガントでシンプルな装い。
ウィリアム王子もふたりの女性を結び付けるのに一役買っている。そもそも、王子が結婚を申し込む時に選んだ、ダイヤモンドで縁取られたエレガントなサファイアの指輪は、母親の婚約指輪だった。しかしキャサリン妃自身も、ことあるごとにダイアナ・スペンサーを知る人たちを懐かしい気持ちにさせる、細かい配慮を見せている。たとえば、エリザベス女王が主催する毎年恒例の宮中晩餐会や、スペイン王フェリペ6世とレティシア王妃を招いた公式歓迎晩餐会などの折に、義理の母が愛したアクセサリーのひとつ、「ラバーズ・ノット」と名付けられたティアラをつけて出席している。
カメラの前でジョージ王子をお披露目するために、キャサリン妃が水玉模様のワンピースを選んだことも見逃せない。ダイアナ妃がウィリアム王子のお披露目の時に着ていたのも、やはり水玉模様のワンピースだった。次男出産後の赤いワンピースも同じく、ハリー王子出産時にダイアナ妃が着ていたワンピースを連想させる。またふたりは、日常のスタイルにも共通点が見られ、スペルガのスニーカーを愛用するなど、どちらもエレガントでシンプルな装いを好んでいる。
最近の例では、チャールズ皇太子の70歳の誕生日を祝って撮影されたくつろいだ家族写真が記憶に新しい。この際キャサリン妃は、ウィリアム王子とハリー王子の母が1985年に着た、白い大きな襟のついた白い水玉模様の紺色のドレスを思い起こさせる、アレッサンドラ・リッチによるドレスを着用。ダイアナ妃にしゃれたオマージュを捧げている。ふたりのスタイルのそっくりぶりは、ここでも驚くほどだ。
また、ルイ王子の着ている服と、父親のウィリアム王子が同じ年の頃に母親と一緒に写っている写真の中で着ていた服、その類似性を指摘する声もあった。
より落ち着いたキャサリン妃のセレクト。
そんなわけで、ふたりが公式の場に現れる時の服装には多くの共通点があるようだ。しかし、早とちりは禁物。キャサリン妃はダイアナ妃のファッションをそのまま真似ているわけではなく、ダイアナ妃のファッションコードを取り入れる時には、必ず現代的なタッチを加えている。
ダイアナ妃のワードローブは、大きめの肩、ボーイッシュなトレーナー、派手な色合いといった、はっきりとしたデザインの1980年代ファッションの特徴を色濃く反映しているものが多い。それに比べてキャサリン妃は、胸元の開きも控えめで、ドレスも大半は膝丈のもので、より大人しい印象だ。将来離婚することになるチャールズ皇太子の妻の装いの中には、不幸な結婚から解放されたいという願いがはっきりと読み取れるが、ジョージ王子、シャルロット王女、ルイ王子の母親には一貫性があり、安定した家族生活を営んでいることがうかがえる。
ダイアナ妃が避けていたエリザベス女王の影響でないとすれば......女王陛下よ、ご安心あれ。キャサリン妃はどうやら反逆児ではなく、優等生のようだから。
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texte:Justine Feutry (madame.lefigaro.fr)