フィガロが選ぶ、今月の5冊 遠い記憶のような新感覚SF、クローン少年たちの物語。
Culture 2019.03.05
『ナニュークたちの星座』
雪舟えま著、カシワイ絵 アリス館刊 ¥1,404
ナニュークとは、ある少年から作られたクローン少年たちのこと。子どもの眼でしか見つけられない石を採取するのが、彼らの仕事だ。やがてその役目を果たせなくなる時がやってくる。22号は、ある日忽然と姿を消した23号を捜す旅に出る。雪舟えまの小説はSFというより、本当は覚えているはずの遠い記憶のようだ。私たちは似ているけど、本当はそれぞれが違っていて、ひとりひとりが自由で光っているはず。生きることは、かけがえのない誰かに巡り合う旅なのかもしれない。柔らかな線のカシワイの絵も世界観にマッチしていて絵本のような一冊。
*「フィガロジャポン」2019年3月号より抜粋
réalisation : HARUMI TAKI
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