朝食は本当に1日でいちばん重要な食事?
Culture 2019.06.26
朝食は摂っても摂らなくてもいい? それとも絶対に食べるべき? 4人の専門家の意見を聞きながら、1日最初の食事の恩恵について見直してみよう。
朝食は本当に1日で一番重要な食事なのか? photo:iStock
朝起きたら是が非でも食事を摂るというのが、離乳食を卒業してこのかた、私たちが守ってきたシンプルなルールだ。1日の最初の食事は最も重要で(1日の摂取カロリーの25パーセントを朝食で摂る)、朝食を抜くと脳がしっかり機能しないし、午前中に強い倦怠感に襲われてしまう。また昼食で倍の量を食べることになり、その結果、体重増加につながるという。そこまで言われたら、いくら朝食嫌いでも気持ちがぐらついてくる。
おまけに、今年4月の『Journal of the American College of Cardiology(アメリカ心臓病学会誌)』に掲載されたアメリカでの調査では、朝食を摂らない人の心臓疾患死亡リスクの高さが指摘されている。この調査結果を鵜呑みにすることはできないが(調査から証明されたのは単なる関連性であり、因果関係ではない)、気がかりではある。それにこの調査以外にも、朝食を抜くことと健康上のリスクとの関連性を示唆する研究はいくつも発表されている。いったい本当のところはどうなのだろう?
燃料補給が必要。
身体に必要なエネルギーを補給するという意味では、朝食はたしかに重要な食事だ。前夜以来の断食を破ることが朝食の本来の役割だからだ。「呼吸、消化、脳の活動、体温調節など、生命維持に関わる機能をきちんと作動させるためには燃料が必要ですが、前日に蓄えた備蓄、特に糖質は朝には底をついています。したがって、すぐに身体を動かさなくてはならない朝、身体は不足分の埋め合わせを求めています」と、ユニ・ラ・サル理工科研究所(ボーヴェ)で料理・健康学を研究するフィリップ・プイヤール教授は説明する。教授によると、午前中はタンパク質と炭水化物の代謝に最も適した時間帯でもあるという。
朝に食事を摂ると、午前中の疲労や注意力の低下も避けられる。「幼児や思春期の子ども、妊婦、高齢者、持病のある人には、朝食は必須といえるでしょう」と、医師で栄養士の資格を持つカトリーヌ・セルファティは言う。
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食べたほうがいいが、不可欠ではない。
「朝食は重要だが、だからといって朝食を摂らない人に健康上のリスクがあると断言するのは難しい」と語るのは、アグロ・パリ・テック生物環境科学産業研究所のフランソワ・マリオティ教授だ。「このことに関しては、確かなことはまだよくわかっていません。最もまとまったデータも疫学的なもので、データの分析から物事の間にどんな関連があるかを証明することはできても、厳密な因果関係を導き出すことはできません」
現在のところ因果関係を立証する研究はないが、マリオティ教授は次のように強調する。「どのデータからも同じ結果が出ていますし、多くの研究によって強い関連性が指摘されています。栄養という分野で確実なことは滅多にないのですが、朝食はどちらかというと重要な食事のようです」
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身体の声に耳を傾け、お腹が空いたら食べる。
とはいえ、時間がない、あるいは単にお腹が空いていないという理由で、起きてすぐに朝食を食べない人もいる。生活環境調査観察研究センターが2015年に発表した最新の数値によると、フランスでは朝食を毎朝食べるわけではないという人が成人の20パーセントを占める。
努力して朝食を食べるようにしなければならないのだろうか? フランス栄養協会(SFN)会員のモニク・ロモン医師によると、神聖不可侵なる1日最初の食事という「社会の中で規範化された」イメージを変える必要があるという。「フランスでは、朝食は1日の活動を始める前に摂ることになっています。朝食は確かに重要ですが、必ずしも仕事に出かける前に食べなければいけないというわけではありません。夕食から朝食までの何も食べない時間が長すぎるのはよくありませんが、12~14時間以内であれば、朝食は起きてすぐでなくてもかまいません」とロモンは言う。
「診察に来た患者が朝食を食べる習慣がないと言っても、習慣を変えるよう指導することはしません。昔からそうしてきたのなら一概に悪い習慣とは言えません。起きてすぐ朝食を食べないからといって、生物学的変化が生じるとも考えられません」とカトリーヌ・セルファティ医師は言う。
朝食を摂らないことがその後の食事に影響を与えるのではないかという疑問については、モニク・ロモン医師はこう答える。「これまでの調査によって、朝食を食べない人がその後たくさん食べているわけではないことが明らかになっています。ただし、起きてすぐはお腹が空かないという人も、しばらくするとお腹が空いてきます」。したがって、家で軽く何か食べておくことが大切になる。「低血糖にならないよう、果物とパンをひと切れ食べるようにするといいでしょう」とカトリーヌ・セルファティ医師は言う。
家で食べない場合は、仕事場に着いてから何か食べるようにしよう。ちなみに、フランス国民健康栄養プログラム(PNNS)が全世代に推奨するバランスの取れた朝食メニューとは、穀物、乳製品、飲み物、それぞれ一品ずつというもの。場合によっては果物を加えてもいい。
texte : Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr)