ハリー王子夫妻、高位王族から引退へ。王室メンバーは反発か。
Culture 2020.01.09
電撃ニュースが飛び込んできた。ハリー王子とメーガン妃が英国ロイヤルファミリーの高位王族から退くことをInstagramを通じて正式に発表した。夫妻は、そのままウィンザー城のフロッグモアコテージに住み続けるも、活動の拠点の場を北米にも広げるという。
エリザベス女王を頂点とする英国王室は、王位継承権が上位のいわゆる高位王族を‟シニア”メンバーと呼んでいる。夫妻は次のように声明を表明している。
「数カ月にも及ぶ熟考と協議の末、私たちは今年を、進歩的で新しい役割を切り拓いていくための移行期に充てることを決めました。我々は英国王室の‟シニア”メンバーとしての役割から退き、経済的に自立できる仕事をするつもりです。一方で、女王陛下をこれまで通り全力でサポートすることには変わりありません」
「特にこの数年、皆さんの励ましもあり、このような調整をする必要性を感じてきました。私たちはいま、自分たちのバランスを保つために、英国と北米を行き来して時間を過ごすことを計画していますが、もちろん、女王、英連邦、そして我々が支援する団体に対する義務を果たすことは守り続けていきます。この地理的なバランスにより、息子が生まれた王室の伝統に感謝するとともに、新しい慈善団体の立ち上げを含む、次の章に集中するための家族のスペースを確保することが可能になります」
「私たちは女王陛下、(父である)プリンス・オブ・ウェールズ、(兄)ケンブリッジ公および全ての関係者と引き続き協力しながら、このエキサイティングな次のステップについての詳細を共有できるときを楽しみにしています。それまで、皆さんの継続的なサポートに心から感謝します」
用意周到とも思える今回の発表だが、ロイヤルファミリーは事前に知らされていなかったようで、「Daily Mail」の情報筋による証言によると、女王ら王室一族は、「ショックを受け、哀しみ、実に激怒している」。さらに今回の発表は個人的な声明であり、「家族はそのことについて相談されていない」とも発言しており、なにやらきな臭いムードが。また、エリザベス女王の副通信長官は、夫妻の電撃発表を受けて、簡潔な声明を出しているが、そこには静かなる怒りが含まれているのが見て取れる。
「サセックス公爵と公爵夫人との議論は、初期段階にあります。別のアプローチをとるという彼らの願望は理解していますが、複雑な問題であり、解決するには時間がかかります」
周囲には相談せず、見切り発車で発表したかのように思える夫妻の決断だが、ふたりは将来の資金調達について、すでに明確なビジョンがあり、綿密な計画を立てていることは夫妻の公式ウェブサイトから伺い知ることができるだろう。
首尾よく、財政的に独立したロイヤルメンバーとなれば、それも英国史上初にはなるが、実現にはいばらの道が待っていると言えそうだ。「進歩的な新しい役割を切り拓こう」と意気込む夫妻の次なる声明に注目だ。
photo: PA Images/AFLO, texte: ERI ARIMOTO