新境地に挑み続ける、ルー・ドワイヨンの新作アルバム。
Culture 2020.04.27
ビターな味わいでフレンチポップ新定番へ。
『ソリロキー』/ルー・ドワイヨン
ランブリング ¥2,970
フェミニンで囁くような歌声、というのがこれまでの一般的なフレンチポップの印象だとしたら、ルー・ドワイヨンはまったく逆の方向でフランスらしさを作り上げたといえるのではないだろうか。見目麗しい容姿とは対象的に、憂いのある低めの声で歌い始めると、内省的な世界観にぐいぐいと引き込まれてしまう。ジェーン・バーキンの娘という話題性を後ろ盾に女優のキャリアを積み重ねたような印象があるかもしれないが、少なくともシンガーとしては、その個性的な歌声によって新しい境地を切り開いてきた。
3作目となる本作でも、レゲエからトリップホップまでを取り入れた斬新なアレンジを施し、キャット・パワーとの共作など貪欲に挑戦をしていながら、実はギター一本でも歌える楽曲のみで構成。これからのフランス音楽シーンを感じさせる力作だ。
*「フィガロジャポン」2020年5月号より抜粋
réalisation : HITOSHI KURIMOTO