いま注目の俳優、藤原季節が演じる酒店の息子。

Culture 2020.11.02

映画『中村屋酒店の兄弟』上映が決定。監督は白磯大知。17歳より俳優活動をスタートした白磯は、独学で脚本を学ぶ。今回は初の監督作品だが、第30回東京学生映画祭のグランプリを始めとする数々の賞を獲得している。

撮影を担うのは、King Gnu「白日」のミュージックビデオを手がけ一躍注目を浴びた光岡兵庫。閑散とした商店街や酒屋の静けさ、日の光が差し込む河辺まで、人の感情に寄り添う光岡らしい映像で物語へと自然に引き込む。

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舞台は東京。数年前に家を出た主人公の和馬(藤原季節)が、ある日実家の酒屋へ帰ってくる。久々に訪れた実家には兄と母、そして変わらない酒屋があったいっぽうで、変わってしまった日常があった。廃業に追い込まれる町の酒屋を舞台に、家族ならではの複雑な距離間を描くヒューマンドラマだ。

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主演を務める藤原季節は、映画『沈黙』(17年、マーティン・スコセッシ監督)、『his』(20年、今泉力哉監督)、11月27日に公開となる主演作『佐々木、イン、マイマイン』(内山拓也監督)など、いま最も目が離せない若手実力派俳優。その佇まいから滲み出る、演じる者のバックグラウンドを想起させる存在感は、あらゆる作品においてたしかな主柱を担っている。

そして、突然の弟の帰省や変わりゆく日常を静かに受け入れる兄を演じたのは長尾卓磨。これまで『ソローキンの見た桜』(19年、井上雅貴監督)やNHK連続テレビ小説「エール」(20年)に出演し、10月30日より公開『罪の声』のほか、12月4日に『ミセス・ノイズィ』の公開を控える。本作では言葉数は少なくとも、長男という立場や家族の繊細な関係性を見事に描いた。

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一家の大黒柱としての責任感から実家を守り続けることを選んだ兄と、感情を素直に表現し自分の思うままに生きる弟。血の繋がった家族でありながらも、どこかよそよそしく踏み込めない領域がある。赤の他人であればと願いたくなるほどに、お互いの人生を想い合うがゆえの遠い心の距離間に、これがリアルな家族の不器用さと愛しさだと改めて感じさせてくれる作品だ。

本作は、11月21日(土)〜24日(火)までテアトル新宿、12月24日(木)にシネ・リーブル梅田にて公開。期間中はトークショーなどのイベントも開催予定だ。鑑賞後に、誰かに素直に愛を伝えたくなる本作を、ぜひ友人や大切なパートナー、そして家族と一緒に観に行ってみてはいかがだろうか。

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『中村屋酒店の兄弟』
●監督・脚本/白磯大知
●出演/藤原季節、長尾卓磨、藤城長子
●2019年、日本映画
●45分
●配給/QUE LINDO
●11月21日(土)〜24日(火)テアトル新宿、12月24日(木)シネ・リーブル梅田にて公開
https://nakamurayasaketennokyoudai.com
Twitter : ‪@nakamurakyoudai

 

texte : REI SAKAI

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