海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」のヒロインが話題。

Culture 2021.01.01

2020年に配信されたアメリカ製作のミニドラマ「クイーンズ・ギャンビット」は、ヒロインのスタイルが注目の的。ベス・ハーモンのルックの秘密を振り返ってみよう。

le-jeu-de-la-dame-08.jpg

ネットフリックスドラマ「クイーンズ・ギャンビット」のヒロイン、ベス・ハーモンのスタイルのアイディア源、インスピレーション、秘密とは?Netflix/Photo Presse

「馬子にも衣装」とは言わないまでも、衣装はヒーローやヒロインを演出するよう。2020年、ネットフリックスが放ったいくつものシリーズがそれを証明してみせた。パリ版「セックス・アンド・ザ・シティ」的ファッションで話題沸騰の「エミリー、パリへ行く」、あるいは、「ザ・クラウン」でエマ・コリンが演じたダイアナ・スペンサーのルックが頭に浮かぶはずだ。でも、2020年の記憶に残るのは、スコット・フランクとアラン・スコットによるアメリカ製作のミニドラマ「クイーンズ・ギャンビット」に違いない。アニャ・テイラー=ジョイが演じるヒロイン、ベス・ハーモンは、1960年代アメリカのチェスの天才少女。今回、注目のファッションを手がけたのは、衣装デザイナーのガブリエル・ビンダー。チェスをめぐるモードがさまざまに展開されている。

---fadeinpager---

意図された、「時代遅れ」

シリーズの立ち上がり、ベス・ハーモンは1960年代の典型的なお利口さんスタイルで登場する。衣装デザイナーのガブリエル・ビンダーは、主人公が少しずつ世界に溶け込み、個性を発展させていく様を、服装の変化を通して描いている。高校時代、孤児院の制服と擦り切れた靴が嘲笑の的になる一方で、ベス・ハーモンは初めてのショッピングの際に、流行の服を発見する。「一見、チェスの世界はエレガントでもファッショナブルでもないけれど、選手たちは自分が着るものを選び、なぜそれを着るかも考えています」とガブリエル・ビンダーは「ニューヨーク・タイムズ」に語っている。

チェス盤のデザイン

同年代の少女たちとは反対に、ベス・ハーモンは服に興味がない。だが、格子柄のように、間違えようのない記号がある。衣装デザイナーの手によって、このモチーフは、ベスの愛するゲーム盤につながるサインになっている。ドラマの中で、ファッション店でベスが出合う初めてのドレスがこの格子柄だ。また最後には、ヒロインは本物のチェスの駒に変身してしまう。つまり、頭の先からつま先まで白いルックで、まるで白のクイーンそのもの。それはチェスの世界でベスが操る絶対的ともいえる力を象徴している。

---fadeinpager---

Tシャツの使い方

ベス・ハーモンは、Tシャツも着る。いくつかの色が使われているが、Tシャツはクレージュのクリエイションにアイデアを得て、ガブリエル・ビンダーが選んだ。シンプルなスタイルで、「若さ」だけでなく、ヒロインのアウトサイダー性をも表すアイテムだ。「俳優は、自分の演じる人物が、日々、体を覆うためにこれを選んでいる、と考えて衣装を着ます。私にとって、それは人物の精神状態や、その人物が世界に向かって叫ぼうとしていることを表現するもの。衣装はたくさんのことを語るのです」。アニャ・テイラー=ジョイは、ネットフリックスのインタビューでこう語っている。

ピエール・カルダンのインスパイアも

ガブリエル・ビンダーが選んだアイデア源はクレージュだが、このドラマにおけるファッションの美意識をインスパイアしたクチュリエは彼だけではない。例えばピエール・カルダンはベス・ハーモンがパリのトーナメントで着ているドレスのインスピレーション源。そして、このドレスこそ、スタイリスト、ガブリエル・ビンダーのいちばんのお気に入りだ。

---fadeinpager---

「クイーンズ・ギャンビット」のベス・ハーモン・スタイル

le-jeu-de-la-dame-01.jpg

孤児院の制服に馴染んでいたベス・ハーモンにとって、高校生活は楽ではない。同年代の少女が夢中になっているファッショントレンドとはかけ離れたベスのお利口さんルックは、回を追うごとに大きく発展していく彼女のモードの最初のステップ。

le-jeu-de-la-dame-02.jpg

ベスが着ているグリーンのワンピースは、小さい時にママが刺繍してくれたワンピースへの目配せ。その刺繍つきワンピースは、孤児院にやって来たときに燃やされてしまった。このルックは、決勝で勝利を収める、モスクワ・トーナメントのシーン。この色は、彼女の子ども時代の弱さを象徴するとともに、幸運のお守りとなった。

le-jeu-de-la-dame-03.jpg

格子柄のコートを着たベス・ハーモン。格子柄はチェス盤の模様から。

---fadeinpager---

le-jeu-de-la-dame-04.jpg

格子柄はベス・ハーモンを象徴するモチーフ。これはアンドレ・クレージュのデザイン。モスクワのトーナメントを去るときに着ているルック。

le-jeu-de-la-dame-05.jpg

シリーズ後半で見せたTシャツとパンツスタイル。ワンピースばかり着ていた彼女のスタイルは大きく発展した。衣装担当のガブリエル・ビンダーにとって、このTシャツはアンドレ・クレージュのモードからのインスパイア。

le-jeu-de-la-dame-06.jpg

典型的な1950年代スタイルを身にまとったベス・ハーモン。アウトサイダーな女優、ジーン・セバーグを思わせるこんなシルエットは、シリーズを通して展開される。

---fadeinpager---

le-jeu-de-la-dame-07.jpg

ベス・ハーモンのアウトサイダーぶりは、服装を通して表現される。ミニスカート、サングラス、頭に巻いたスカーフのこのルックもその一例。もう一人の登場人物ベニー・ワッツ(彼もまたアウトサイダー)に比べ、彼女はよりロックンロールで自分に自信を持っている。

le-jeu-de-la-dame-08.jpg

シリーズの終り近くで着用された白いトータルルック。チェスの象徴的な駒である白いクイーンに目配せしたルック。このルックは、ベス・ハーモンが本物のチェス・クイーンに変身することを象徴。

le-jeu-de-la-dame-09.jpg

パリでのシーン。ジオメトリックなモチーフのエレガントなドレスは、ピエール・カルダンのクリエイションからインスパイアされたものだ。

texte : Augustin Bougro (madame.lefigaro.fr)

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

BRAND SPECIAL

Ranking

Find More Stories