フランス人学生3人に1人は、生理用品を買えない。

Culture 2021.02.25

未曽有の公衆衛生危機のなか、学生は生活苦から消費を控えるようになり、生理用品を買うお金がなくなっている。2月8日に発表された複数の学生団体が実施した調査報告を紹介しよう。

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170万人。フランスで、経済的な理由で生理用品を買えない、または買うのに苦慮している女性の数である。このなかには大学生も含まれる。photo : Getty Images

170万人。フランスで、経済的な理由で生理用品を買えない、または買うのに苦慮している女性の数である。このなかには大学生も含まれる。

この事実を明らかにするため、全学生団体連合(FAGE)、国立助産師学生協会(ANESF)、ポワティエ学生連盟協会(AFEP)が昨年10月に調査を開始した。回答者は主に女子学生だが、この問題を抱えるノンバイナリー(編集部注:男性、女性のいずれにも属さない性を自認する人)やトランスジェンダーも含む6518人の若者が調査に協力した。

2月8日に発表された調査結果は、とにかく不安をかき立てる。回答者の13%が生理用品と生活必需品のどちらを買うかの選択を迫られたことがあると答え、33%は生理用ナプキン、タンポン、または月経カップの購入のための助成金が必要と回答した。

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かなりひっ迫した家計

もし生理用品を買う必要がなかったら代わりに何を買うかという質問に対して、次のような懸念すべき回答があった。「お腹いっぱい食べる」、「2つのみのブラを着回すのをやめて、待望の新品を買う」、「しょっちゅう買うのをあきらめている最低限必要な食料品に使う」。

実際多くの回答者は収入源もアルバイトもなく、この高額な出費を控えるだろうと答えている。回答者の46%が、平均5~10ユーロ(約600〜1300円*)を生理用品の購入に充てている。また半数の回答者に、月の出費を20ユーロ(約2300円*)以上も押し上げている痛み止めの薬代、衣服、下着、寝具代のような副次的出費があることも無視できない。

*2021年2月25日時点でのレート換算(編集部注)

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公衆衛生上の問題であり、社会的問題でもある

月経のある学生10人に1人が生理用品を自作し、20人に1人がトイレットペーパーで代用しなくてはならないのは、それだけの理由があるから。この調査は、健康を損ない兼ねない高い危険性をはらんだ習慣をも浮き彫りにしている。「生理用品の長時間の使用は、お金がなく生理用品を買い足せないことに起因し、トキシックショック症候群の発生率を高めてしまう」

この状況下、学生のなかには洗えて再利用のできる生理用品を使うようになった人もいる。けれども、その際立って高い費用は問題である。報告は続く。「32%の回答者は洗える生理用品を利用しているが、残りの68%は経済的な理由から十分に購入できないと答えている。また23%は値段が高過ぎるため、13%は手入れが複雑そうに思えるため、洗える生理用品をひとつも持っていないと回答した」

ジェンダー格差と結びついたこの問題は、同時に社会的な問題も提起している。報告はさらに続く。「いまでもまだ10人に1人の生理中の学生が、経血が漏れたりそれに気付かれたりするのが不安で、アルバイトや授業を休んだことがあると回答している。このタブーは、 学生に羞恥心を植え付け、セルフイメージを損わせ、月経があるすべての人の人生に深刻な影響を及ぼす可能性がある」

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財政手当と啓蒙活動

ここ数年、フランス政府はこの社会問題を取り上げ、解決に向け独自に取り組んできた。今年はこの問題に対処するため、500万ユーロの予算を確保。直近では、イル=ド=フランス地方が、公立高校における生理用品の無料配布実施を発表しており、「初年は465校での配布に対し、100万ユーロが割り当てられる」と「リベラシオン」紙が報じた。さらに2月23日、仏政府はすべての学生に生理用品を無償提供すると発表した。

「他にも、長期的な解決策を検討される可能性がある」と、前述の学生団体は説明する。その主要な検討案のなかには、「年間通してかかる生理用品の全費用を考慮し、月経のある学生ひとりひとりに充てられる財政予算の活用」だけでなく、「生理やそれに関連する病気の予防およびその啓蒙活動の改善」も盛り込まれている。

texte : Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr), traduction : Yuriko Yoshizawa

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