女性が描く女性の生き方、ミュウミュウの短編映画第21弾が公開!

Culture 2021.03.08

ミュウミュウが気鋭の女性映像作家を起用して紡ぐショートフィルム「女性たちの物語(ウィメンズ テイルズ)」の最新作『SHANGRI-LA(シャングリ ラ)』が公開された。2019年のベネチア映画祭で脚本、監督、編集、そして主演までこなした『Lingua Franca(リンガ・フランカ)』で脚光を浴びたイザベル・サンドバルが同じくすべてを手がけた本作は、一貫した自らの視点で創作する”オートゥア映画”として、エヴァ・デュヴァネイ(『グローリー/明日への行進』(2014年)でアフリカ系女性監督として初めてアカデミー作品賞にノミネートされた)も絶賛するサンドバルらしい独特の女性美が印象的だ。

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『SHANGRI-LA』劇中より、告解室で独白する女性を演じるサンドバル。

パンデミックの最中、田舎のアーティストリトリートにこもって次作映画の脚本を執筆しているというサンドバル。彼女が『SHANGRI-LA』の舞台に選んだのは大恐慌中のカリフォルニア、農業労働者が乾いた土にまみれて働く地だ。差別がはびこる時代、異人種間の恋愛や結婚は違法なのだが、汗だくで働く白人男性に熱い想いを抱くフィリピン女性労働者が主人公で、彼女が暗いカトリック教会の告解室で独白を始めると……。

逆境にありながらも、希望と可能性を燃料にフェミニニティ(女性性)を追求する主人公を、サンドバル自身が演じている。彼女の告白はゆっくりと静かなトーンを決して崩さないが、その言葉と映像は胸が痛むほど激しい”女らしさ”を美しく描き、女性が内に秘める艶やかな輝き、大胆な性的欲望、差別を超えて愛を求める強さをも表現している。

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劇中、ミュウミュウの21年春夏コレクションを纏うサンドバル。華やかなスタイリングが、幻想的なシーンを一層際立たせる。

ミュウミュウの21年春夏コレクションのビジューあふれる華やかさと洗練されたスポーツテイストを反映させるのは一見難しいように思える『SHANGRI-LA』の物語。だが、「衣装や服、アクセサリーはシネマの中で物語の語り手の役割を果たし、過去や現在だけでなく、未来まで語れるのです」とサンドバルは言う。脚本を執筆しながら、コレクションのルックブックで得たインスピレーションを、官能的な感情のラプソディのビジュアルとして取り入れた。コレクションのフェミニンなビジューは、劇中の夜空の花火や星となって熱い感情に輝きを与え、スポーティなデザインディテールは偏見や差別と闘う女戦士の表現に力を与えたのだ。

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女性、有色人種移民、性転換者として、自身を「マイノリティの金星」だと称するサンドバル。自分の作品やオートゥアとしての認識が同じような立場や思いの人々を勇気づけ、エンパワーすることを願うという。性転換するほど女であることを追求したサンドバルに、ジェンダーの多様化や性的平等を追求する現代社会での”女らしさ”について聞いてみた。

「女らしさとは無限にある女性の在り方のひとつで、最も大事なのは自分らしさを求めたり、なりたい自分になるための自立した自由と手段をもつこと。多くの女性がそうできるように社会が動かなければならない。そしてファッションは女性が躊躇せずに想像や創造をする自信や勇気を与えうるツールでもあります」

『SHANGRI-LA』は構造的人種・ジェンダー差別、ミソジニー、移民問題などが蔓延し、表面化する社会ながら、アメリカでは初の女性副大統領が誕生したいま、女性を祝福し、内面からエンパワーする力強く美しい女性の物語だ。

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photo:Brigitte Lacombe

イザベル・サンドバル Isabel Sandoval

映画監督、作家、編集者、プロデューサー、女優。ニューヨーク市のフィリピン人コミュニティ出身。2019年、監督作『Lingua Franca』がヴェネツィア国際映画祭の「ベニス・デイズ」部門で上映。有色人種のトランスウーマン監督初の快挙となった。その他、世界各国で受賞多数。現在、最新作『Tropical Gothic(トロピカル・ゴシック)』を制作中。
●問い合わせ先:
ミュウミュウ クライアントサービス
0120-451-993(フリーダイヤル)
www.miumiu.com

texte:CHINAMI INAISHI

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