「コロナうつ」に負けない、心の強い子どもに育てるヒント

Culture 2021.03.09

From Newsweek Japan

米CDCによると、コロナに起因するメンタルヘルス関連で救急外来を訪れるティーンエイジャーは普段の3割り増しに。子どものメンタルヘルスを守るために知っておきたい、ストレス反応とは?

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写真はイメージ photo:show999-iStock

文/船津徹

新型コロナウィルスのパンデミックが長引く中、子どもの心の健康(メンタルヘルス)に関わる問題が世界中で表面化してきています。目に見えないウィルスへの恐怖、勉強遅れの焦り、進学や受験への不安、友だちと遊べない孤独感、外で思い切り身体を動かせない欲求不満など、突然起こった大きな変化に「心」が適応できず、子どもの心身に様々なストレス反応を引き起こしています。

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世界で子どもの「コロナうつ」が増えている。

国立成育医療研究センターが、2020年9月1日から10月31日の期間に、10,676人の子どもと保護者に行った調査では「すぐにイライラする」「集中できない」「気持ちが沈む」「寝つきが悪い」など、何らかのストレス反応が「73%」の子どもに見られることが分かりました。

英国ケンブリッジ大学が、7歳〜11歳までの168人の子どもに行った調査によって、イギリスがロックダウン中だった2020年6月〜8月に「子どものうつ病の割合が大幅に増加した」ことが分かりました。研究チームはその原因として「孤独感が影響している」とコメントしています。

米国の非営利団体アメリカズ・プロミス・アライアンスが、中高生3300人に実施した調査(2000年6月)では、半数以上が「いつも自分と家族の健康について心配している」と答え、三分の一近くの生徒が「いつも悲しく、気持ちが落ち込んでいる」と回答しています。

米国のCDC(疾病予防管理センター)が、2020年3月〜10月に全米の主要な病院の救急外来の訪問者を分析したところ、ティーンエイジャーのメンタルヘルス関連の救急外来患者数が、それ以前と比べ31%増加したことが分かりました。

子どものストレス反応には以下のようなサインがあります。

・分離不安(親から離れない、まとわりつく)
・学校や習い事など人がいる場所に行きたがらない
・食習慣の変化(食欲不振、過食など)
・睡眠の変化(不眠、過眠、一人で眠れないなど)
・学業不振(成績が急に下がる)
・集中力の欠如(落ち着きがない・注意散漫)
・感情の起伏(急に興奮したり、泣いたりする)
・気持ちが沈む(無気力、悲しい気分が続く、罪悪感など)
・体の不調(頭痛や腹痛などの痛み)

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子どものストレスを軽減するのは「安心感」

子どもは環境の変化に敏感であると同時に、環境に適応する能力も高いことが知られています。親や養育者が、子どもの出す「不安のサイン」を察知し、素早く対応することで、子どものメンタルヘルスを守り、環境の変化にスムーズに適応させることができます。

反対に子どもが発するSOSに聞き耳を立てず、突き放すと、不安はもっと大きくなり、ストレス反応はさらに複雑になっていきます。生活環境が変わったことによる不安や混乱を軽減するには、何よりも親の保護を実感させ、子どもの安心感を高めることが必要です。

親の保護を実感させるには「ママとパパが絶対に守ってあげる」「何があっても大丈夫」と言葉で伝えると同時に「スキンシップ」を増やすと効果的です。母親が抱っこしたり、膝の上に座らせたり、添い寝をしたり、手足をマッサージしたり、頭や肩や背中を撫でてあげたり「心地良い皮膚接触」を心がけると、子どもは保護を実感でき、安心します。

父親は、母親とはアプローチを少し変えて、身体を使った遊びを取り入れると効果的です。肩車、お馬さんごっこ、相撲ごっこ、プロレスごっこなど、やや荒っぽい、身体が触れ合う遊びを増やすと、子どもは親から受け入れられていることを実感し、精神が安定するのです。

年齢の小さい子どもは、一日の中でも「自信」と「不安」が振り子のように左右に振れ動きます。自信が大きい時は元気で活発ですが、不安が大きくなると不機嫌で消極的になります。親は子どものわずかな変化を見逃さず、迅速に対応することが大切です。

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自信を大きくすれば「不安」は消えていく。

コロナ禍による環境の変化に負けない強い心を育てるには「自信」を大きくすることが手っ取り早い方法です。「不安」の原因である新型コロナウィルスを世の中から「いますぐ」取り除くことは難しいですが、子どもの「自信」を大きくすることは「いますぐ」できます。

心理学では、子どもの自信は「受容」と「有能感」というふたつの柱で成立していると考えられています。信頼する人から愛され、受け入れられていると実感した時(受容)、そして目標を達成したり、新しいスキルを習得した時(有能感)、子どもは自分自身に満足し、自信が大きくなります。

私は「受容」を「根拠のない自信」、そして「有能感」を「根拠のある自信」と呼んでいます。両者の明確な違いは「与えられる自信」と「獲得する自信」です。親がこの違いを知り、適切な保護とサポートを与えることで、環境の変化を物ともしない、心の強い子どもに育てることができます。

根拠のない自信(受容)は、100%親や養育者から与えられるものです。「自分は親から受け入れられている」「親から愛されている」「親から守られている」という自信であり、子どもがいくら努力しても手に入れることはできません。

もちろん大抵の親は我が子を十分に愛していると思っています。しかし大抵の子どもは親から十分に愛されていると「実感していない」のです。親子で愛情の感じ方に温度差(すれ違い)があることを知ってください。

親の愛情を子どもに実感させるには、心地よい皮膚接触がいちばんです。母親が子どもとベタベタして、たっぷり甘えさせてあげると「自分は愛され受け入れられている」と子どもは心から実感できるのです。

この方法は小学生以上の子どもにも効果があります。頭をなでたり、肩や背中をさすったり、手足をマッサージしてあげると子どもの情緒はすぐに安定します。根拠のない自信を大きくする特効薬は「心地よいスキンシップ」。お金も時間もかかりませんからぜひ実行してください。

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子どもが意欲でチャレンジできる「何か」を見つける。

一方の根拠のある自信(有能感)は、子ども自身の努力で獲得するものです。勉強をコツコツがんばって良い成績を取ったり、スポーツ、音楽、アートなどの大会でトロフィーをもらったり、発表会に出て人前でダンスや演劇を披露したりすることで得られる「自信」です。

根拠のある自信を育てるには、子どもが自分の「意欲」で挑める何かを見つけることが大切です。子どもが好きなこと、興味あること、やりたいことを(それが勉強でなくても)親は応援してあげてください。さらに親(あるいはコーチなど)がサポートを与えて、技能や知識を周囲よりも少し高めてあげることが自信を大きくするコツです。

子どもを支えるふたつの自信は、人生の早い段階から構築されていきます。親の愛情と保護を実感させ、子どもが自分のやる気でチャレンジできることへの興味と達成感を育むことで、強固な心の基盤を成立させることができます。

子どもの成長は新型コロナウィルスの収束を待ってくれません。子どもの自信育ては「いますぐ」できますので実行してみてください。子どもの表情が目に見えて明るくなり、やる気に満ち溢れてくるはずです。

[執筆者]

船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。

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texte:TORU FUNATSU

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