グウィネス・パルトロウのお騒がせ健康法を振り返る。

Culture 2021.03.17

グウィネス・パルトロウが、新型コロナウイルス感染症に効くと提案した食事療法がまたしても物議を醸している。ことあるごとに問題を引き起こしてきたグウィネスの“お騒がせ”健康法を振り返ってみよう。

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ライフスタイルレーベル「グープ」を立ち上げて以来、健康の説教者のように振る舞っているグウィネス・パルトロウ。その突飛なアドバイスは、専門家たちを辟易させている。 photo : Morgan Lieberman / Getty Images

昨年、Netflixで放映された「グウィネス・パルトロウのグープ・ラボ」シリーズは、根拠のない健康メソッドを提唱している番組として批判された。そんな彼女が2月末、植物性食品をベースにした糖質制限、赤外線サウナに入る、断続的なファスティング、砂糖とアルコール断ちという健康法を紹介し、再び物議を醸し出した。これは、コロナウイルス感染症を発症してから続いてきたグウィネス自身の体調不良に効き目があった治療法だという。これに対し、NHS(国民保健サービス)の医療ディレクターであるステファン・パヴィス医師は2月24日、BBCのコラムのなかで、この危険な方法を否定。グウィネスに対し、誤った情報を流すのではなく、科学的根拠に真摯に向き合うよう忠告した。

グープの常識外れな行動はこれが初めてではない。2018年9月には、ある消費者団体が、グープのサイトにアップされた医学的根拠のない健康アドバイスに対して裁判所に異議申し立てをし、グープはアメリカの裁判所から虚偽広告に対する罰金として12万5千ユーロの支払いが命じられたことがある。グウィネスが掲げ、医療の専門家たちを辟易とさせた4つの健康アドバイスを振り返ってみよう。

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“Vスチーミング”

Vは「膣」で、スチーミングは「蒸気を当てる」だが、このコンセプトは2015年にグウィネスがサイトのニュースレターで取り上げたもの。彼女は、ロサンジェルスのサンタモニカにあるスパ施設「Tikkun Holistic Spa」で行われている、ヨモギの蒸気がアロマとともに穴から出てくるチェアに裸で座るという、いわゆる“Vスチーミング”のファンであることを明かした。グウィネスがVスチーミングを強く推す理由は、Vゾーンが浄化され、子宮の健康が保たれ、生理不順の改善になるからという。

だが、婦人科的な見地からすると、何ら医学的根拠はない。2015年に本誌が取材したフィリップ・デリュエル医師(フランス国立産婦人科大学事務局長)によれば、「その効果が研究によって実証されたことはなく、いかなる根拠もありません。生理のサイクルはホルモンによるもので、蒸気でサイクルが変化するものではなく、それどころか子宮内フローラを著しく減らして感染症にかかるリスクを増やしてしまうでしょう」と述べている。

しかしグウィネスは2016年、米「The Cut」誌のインタビューで「韓国では年千年も昔から続く施術方法。真の治癒力がある」と語っている。

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“膣用の卵”

2017年には、グープのサイトで、性的快感に期待する全ての女性に、「翡翠の卵」を膣に入れること勧める記事を掲載した。この投稿は後に削除されたが、古代中国の王族に由来する施術であることと、女王や側近たちが「皇帝に仕えるための健康維持」として行っていたと書かれていた。効能に、性的快楽のほかに、生理不順の改善とエネルギーバランスの再獲得が謳われていた。

フランスの国立産婦人科病院の代表である医師ベアトリス・ギグは、「会陰は永久に収縮するようには作られていません。翡翠の卵を膣にずっと入れ続けていることは体によくない」と警鐘を鳴らし、この施術がホルモンになんら効果をもたらさないとしている。

この件でグープはまたしてもアメリカの裁判所から、虚偽広告に対する罰金として12万5千ユーロの支払いと、2017年1月12日〜4月31日の期間に翡翠の卵を購入した人への払い戻しが命じられた。

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コーヒー浣腸

2018年初めにグープで公開された「デトックスと美容とウェルネス」に関する最新ガイドでは、身体を浄化するためのグッズやアクセサリーが紹介された。その中にはコーヒーで大腸を洗浄するための「O-Rama」(135ドル)も含まれている。この時、グープで販売されている健康サプリやビタミン剤を監修し、アクセサリーの販売促進を担当していた心臓病専門医のアレハンドロ・ユンガーをクレジットすることで、医学的根拠があるかのようなアピールをした。

カナダの産婦人科医ジェニファー・ガンターは、英「ザ・ガーディアン」のサイトに掲載された記事で、この施術について効果がなく、危険なものだと指摘。この施術は、いかなる医学的な文献、解剖学的見地、生理学的見地からも効果を立証できないとした。ガンダーは「腸内に洗浄、排出すべき毒素はない。これは偽薬だ。2011年の大腸に関する論文では『医師は、腸内洗浄には利点がなく、多くの副作用を引き起ことを患者に知らせるべき』だと結論付けられている」と述べている。

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ワイヤーブラは着用すべきではない

「ワイヤーブラと乳がんの間には関連性があるのではないか?」。2015年、グープのサイト上で、アビブ・サデギ博士がこの疑問を提起した。彼は、20年以上前にアメリカでベストセラーになったシドニー・ロス&ソマ・グリスマイヤー著『死に至るおしゃれ:乳がんとブラの関係』(原題:Dressed to Kill: The Link Between Breast Cancer and Bras)によって広まったブラジャーの噂を再び持ち出したのだ。

「この噂は、ワイヤーブラが、全身の細胞をきれいにしてくれるリンパの循環を阻害することで、毒素が蓄積され、乳がんのリスクが高まるという仮説に基づいているものです」と、2014年に「フィガロ・サンテ」誌の記者ダミアン・マスクレが説明している。アビブ・サデギ博士は記事で、モデルたちがワイヤーブラを着用する時間を制限し、ノンワイヤーのブラジャーを使うことを推奨している。

しかし、この噂はワシントン大学が行った研究によりとっくの昔に否定されていると、ダミアン・マスクレ記者は指摘する。「この研究で、乳がん患者の女性とそうでない女性の間に、ブラジャーの着用の有無でなんら差がないことがわかったのです」

texte : Ophélie Ostermann (madame.lefigaro.fr), traduction : Aie Hori

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