ハリー王子、身近な人を亡くした子供向けの本に序文を寄稿。

Culture 2021.03.31

死をテーマにした児童書の中で、ダイアナ妃の末息子は、新型コロナで親や身近な人を亡くしたイギリスの子どもたちに向けて、自らの経験をもとにアドバイスと励ましの言葉を送った。

【写真】写真で振り返る、ダイアナ妃と2人の王子の美しき思い出。

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ハリー王子が死をテーマにした児童書に文章を寄せた。(ロンドン、2020年1月16日)Getty Image

「僕は子どもの頃に母を亡くしました」とハリー王子はつづる。サセックス公爵が、死を題材にした子ども向けの本『Hospital by the Hill(丘の上の病院)』に序文を寄せた。アメリカの雑誌『ピープル』が、心に響くその文章を明らかにした。

3月19日からインターネット上で販売されているこの書籍は、イギリスで、コロナ禍によるロックダウン1年目の3月23日に行われた追悼の日に合わせて出版されたもの。クリス・コノートンの文章と、フェイ・トルートのイラストによるこの本は、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るうなか、病院の最前線で働いていた母親を亡くし、その死と向き合う子どもの物語だ。

同書は新型コロナウイルスで身近な人を失ったイギリスの子どもや青少年に無料で配布されている。

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体験者として

序文の中でハリー王子は自分の母の死についても触れている。ダイアナ妃が自動車事故で亡くなった時、王子はまだ12歳だった。自分の体験や当時の気持ちを振り返り、親を亡くすという過酷な試練に遭ったイギリスの子どもたちに向けてアドバイスを送る。

「当時はそのことを信じたくも受け入れたくもなかった。母が亡くなって自分の中にぽっかり穴が空いてしまった。きみの気持ちはよくわかる。そして、時間とともにその穴がたくさんの愛と支えで埋まっていくから大丈夫だ、と伝えたい。死との向き合い方はひとりひとり違う。でも、親は天国に旅立ってしまっても、その魂と愛と思い出は消えることなくいつも君と一緒にいる、永遠に君のもとにある、と教えられた。それは本当のことだと思う」

子どもの読者に向けたメッセージの中で、ハリー王子はさり気なく医療従事者への賛辞の言葉を重ねている。「会ったことはないけれど、僕にはわかる。君にとって特別な人で、信じられないくらい優しくて思いやりがある人だったね。だって病院で働くことを選んだのだから」と書いた後、王子はこう続ける。「人を助けることは、最も重要な仕事のひとつだ」

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”その気持ちはいつか過ぎ去る”

個人的な経験をもとに親の死というデリケートな主題についてつづっているこの文章から、母親の死に向き合ったハリー王子の子どもの頃の気持ちが伺える。

「きっと孤独を感じているだろう。悲しみを感じているだろう。怒りを、苦しみを感じているだろう。その気持ちはいつか過ぎ去る」と王子は若い読者に向けて言う。

王子はまた彼らにこんな感動的な“約束”もしている。「感じていることを人に話せるようになったとき、君は、僕はもう大丈夫、前よりも強くなった、と感じるはずだ。」そして最後はこんな言葉で締めくくっている。「この本が、君が亡くした親や身近な人がどれだけ特別な人だったかを思い出す手助けになることを願う。そして、君自身も特別な人間だ、ということを」

texte : Camille Lambmaut (madame.lefigaro.fr)

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