疲れているのに、眠れないのはなぜ?

Culture 2021.04.30

夜、倒れそうになるくらい疲れているのに、まぶたが疲労に追い付かず、寝付けないことがある。このような現象の原因は? 2人の専門家がこの問題を掘り下げる。

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過覚醒により、身体が疲れているのに眠れない... photo : Getty Images

会議であくびが出たり、パンダ目になったりするのは、睡眠欲求の高まりを知らせる身体のサイン。数日間眠れない夜を過ごし、今日こそは早く寝ようと横になる。そして、悲劇が始まる。一日中疲労感に耐えてきたのに、横になっても脳のスイッチをオフにすることができないのだ。なぜ、睡眠が必要な時に眠れないのだろうか?

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過覚醒

「長い期間にわたり眠らない状態を無理強いすると、体が過覚醒モードになってしまいます。睡眠系は機能したがっていますが、覚醒系が長い間刺激され続けているため、睡眠系が働かない。それはまるで、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態です」とボルドー大学病院センター(CHU)の睡眠専門医オリビエ・コストは説明する。

別に不運にとらわれたわけではない。この状態は至って普通である。夜遅い時間にスポーツしたり、重度のストレスを感じながら一日を過ごしたりした後も、同様のことが起こり得る。脳のスイッチが集中的にオンになっているため、なかなかオフにできなくなるのだ。一日の終わりには、すべてが元通りになるべきなのだが。

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パフォーマンス不安

しかし眠れないという不安が募ると、実際に眠れずに一晩以上たってしまうことがある。「眠れない恐怖は、いわゆる『パフォーマンス不安』、つまり過覚醒時のストレスを増大させます。大方の慢性的な不眠症はこのようにして始まります」とコスト博士は強調する。

眠れないのは仕方がない。何度も寝返りをうったり、「ストレンジャー・シングス」の最新エピソードを見たりするより、照明を落として本を手に取ってほしい。そして最も大切なことは、翌日に疲れが残るのではないかと心配したり、眠れないからといって自分を責めたりしないことだ。

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日常のタイムテーブルを守る

パリ睡眠学際研究所に勤める精神科医で睡眠専門医のセリーヌ・マルティノは、うまく寝付くために、日常生活のタイムテーブルを守ることを勧める。「時差ぼけと同じ原理。就寝時間を変えてはいけません。2日間眠っていないからといって20時に寝床に入っても、催眠を促すホルモンであるメラトニンが分泌される時間は決まっているので、うまく入眠することができないのです」。そんなわけで19時からベッドでゴロゴロしながら「眠れない」と嘆くのではなく、疲れをこらえてほしい。

また、まだ昼と夜の区別がつかない赤ちゃんが原因で眠れない夜が続き、赤ちゃんがぐっすり眠っているとしても眠れないのは、ごく当たり前のこと。「『赤ちゃんが眠っている間に寝なさい』と言われていますが、くたくたに疲れているのに眠れない親御さんは、ただ単にこのタイムテーブルに体が慣れていないから。母親の場合、赤ちゃんに何か起こるのではないかという警戒心が強いので、それが原因で眠れないということもあります」とマルティノ医師は説明する。

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体を備える

睡眠専門医のオリビエ・コストは、子どものありなしにかかわらず不眠症の悪循環に陥らないためには、くつろぐ時間を持つことが重要性だと唱える。「マッサージ、リラクゼーション、日中の運動、瞑想などの習慣により、身体の緊張は解き放たれ、睡眠に備えられるようになります」

もし不眠の問題が解決せず、ひどく神経に障る場合は、是非とも専門医の診療を受けてほしい。

texte : Sevin Rey (madame.lefigaro.fr)

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