フランスでヨガ男子が急増中! 人気の理由は?

Culture 2021.05.02

さまざまな経歴や年齢層の男性の中でボクシングやジョギングをやめ、心の重荷を解いてくれるヨガに転向する人がますます増えている。ヨガは男性の新しいライフスタイルとなるか?

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現在、フランスのヨガ人口は260万人を超えており、その75%が女性。(出典:Obervatoire du fitness、Union Sport & Cycle、2017年10月) photo : iStock

初挑戦した日、彼は「いい意味で驚いた」。「隣の女性はうなじの後ろに足を持っていけるのに、自分は脚を曲げるのがやっとだったよ」と高級チョコレート製造会社の経営者ダヴィッド(40歳)は言う。

いまから4年前のこと。女きょうだいに、通っているヨガに一緒に行かないかと誘われた。その日は雨が降っていたので、渋々付いていったという。ボクシングやジョギングを習慣にしていた当時は、「体を動かしているという感覚が必要」だった。しかしヨガのレッスンを終えて、着ていたTシャツが汗びっしょりに。

「めちゃくちゃ難しいと思ったけど、気に入ったんだ。それで35年もの間、自分の体を乱暴に扱っていたと気が付いた」と語る。そんな経緯でヨガにハマり、教室で「ダウンドッグのポーズ」をとる男性が、自分ひとりではないと気が付いた。それどころか、結構な数の男性がいた。

パリでヨガやピラティスのレッスンを提供するケーセンターでは、男性専用クラスを設けているが、「更衣室の男性用ロッカーの数を、3年で20から80に増やす必要があった」と経営者のキャロル・アフタリオンは打ち明ける。

タイガーヨガクラブというかなりおしゃれなヨガ教室でも同様の現象が起きている。創設者のエロディ・ガラモンは、バーオソル(バレエ教師によって考案された体幹トレーニング)のクラスに頑張って申し込む男性会員もいると説明する。

数年前には考えられなかったことだが、モンペリエ大学の社会人類学者ロバン・ルクールによると、これらの傾向には一貫性があるという。「スポーツには、社会における男性、女性のイメージが反映されます。男性らしさという価値観が変わってきている? それは、どの運動が選ばれるかということにも反映されています」

ノージェンダーの流行が男女の境界線を動かし、男性がこれまでとは違う体験を試みるようになってきている。

「ヨガは、フィットネスに代わる健康法となりました。とりわけ長く繊細な、くっきりとした筋肉がトレンドとなっている職業別社会階層の上層部に顕著です。彼らは夕食時に、どのヨガ教室に通っているか、また、講師について話すようになりました」と、ヨガとピラティスのインストラクターであるジャン=マリ・フェスタは説明する。

ポイントは、ヨガは単なる運動ではないということだ。メンタルの発達を促すことができ、他のアクティビティと組み合わせることで、全体的なパフォーマンスを上げられる。

例えばヨガとランニングを組み合わせると、両者は互いに補完し合う。ヨガは、ランニングの継続力を管理するのに必要な集中力をもたらしてくれる。

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不安定な状態をコントロール

ヨガを始めた男性はだいたい、より動きがあり、技術を要するアシュタンガヨガかアイアンガーヨガから入る。

「彼らは始めてすぐは競争意識があり、股関節をあまり広げられなかったり、また柔軟性、力強さの面で女性の方が器用にこなしていたりするのを見て、自尊心を傷つけられます。ヨガの難しさに直面し、多くの男性が断念してしまいます」とアシュタンガヨガのインストラクターであるパトリック・フラポーは証言する。

そこで彼は男性の生徒を尊重し、「完成形を求めているのではない。力を抜いて行えば、そのうちうまくできるようになる」と説明することにしている。

全国ヨガインストラクター連盟代表のイザベル・モラン=ラルベは、「男性のヨガ初心者に、歓迎の意を込めて、動かないよう固定したヨガマットを使って、ストレートアームプランクの状態で呼吸を20回繰り返すことを教える」のを好む。支えるポーズは肉体を使うため、これにより一気に調子が出るのだという。

ハタフローヨガのインストラクターのギヨム・ボディ・ローソンも、プランクポーズを優先的にレッスンに取り入れ、男性の生徒に腹横筋、会陰部に力を入れること、お腹を平らにすること、失禁のリスクなどについて話すという。「そうすると彼らはやる気になる」と一息つきながら説明する。さらに、「不安定な状態をうまく管理」しながらバランスをとる、逆立ちのポーズでキープさせるという。「こういうのは経営者層に気に入られるんです。この層が5~6回来てくれたら、その後も継続して通ってくれます」

「常連になると、男性はいつも同じインストラクター、同じクラスを選ぶ傾向にあります。女性会員の場合だと、これほどのコミットメントはなかなか見られません」とタイガーヨガクラブのエロディ・ガラモンは話す。

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イザベル・モラン=ラルベは、男性のヨガ初心者にはストレートアームプランクを教えているという。 photo : iStock

ショコラティエのダヴィッドは、ボクシングとジョギングをやめて、現在は「太陽礼拝のポーズ」やアシュタンガヨガだけに時間を費やすようになった。「2年たって上達が見られなくなったので、もっとヨガに専心しなければならないと思ったのです」。以来、日常的にヨガを行うようになった。「ヨガによって人生が変わりました。ベジタリアンになり、以前より意識が高くなりました。仕事の指針や活力は、ヨガのおかげで得られたものです」

男性のヨガ初心者にストレートアームプランクを教えているイザベル・モラン=ラルベは確信している。「彼らがヨガに通うのは、うずうずさせるような何かを感じているから」。精神的な何かを。

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44歳の舞台技術者ベルトランは、ヨガを始める前から自己啓発を求めていた。「身体をカスタマイズするつもりも、パフォーマンスを上げるつもりもない。ただ、きちんと整備された車のようであってほしいんです」と語る。ヨガは身体機能にのみ効果をもたらすものではない。ベルトランは毎週ハタヨガフローの教室に通い、体がより柔軟に、元気になっただけではなく、「辛抱強くなり、節制が身に付いた」と分析する。

サイクリングやウォーキングを楽しみながら、周りの風景を眺めるのが好きな42歳の不動産仲買人のフィリップは、ヨガに効果を求めてはいなかった。父を亡くす4年前までは。「悲しくて緊張状態にありましたが、女友達がヨガのレッスンをしてくれ、1時間後にはマッサージの後よりも気分がよくなっていました」。以来、週に2回ヨガの予定を入れるようになり、「1時間半、自分自身のために割いたアポイントのため」ヨガの必須アイテム一式を購入した。

texte : Julie Lastérade (madame.lefigaro.fr) , traduction : Yuriko Yoshizawa

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