「相手の目を見て話せ」は嘘!? 相手に好かれる無言の技術。

Culture 2021.06.25

「いまひとつ会話が盛り上がらない」「沈黙の時間が苦痛…」など、人と話す時に悩んでいる人は多い。今回は「『無言』か『ひと言』のみで会話を盛り上げ」て、「相手から好かれる」ことをテーマに書かれた『話しかけなくていい!会話術』(木村隆志著、CCCメディアハウス刊)から、こちらはひと言も発さずとも相手の話を弾ませる方法を抜粋してお届けする。

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画像はイメージ photo:alvarez_istock

文/木村隆志

人の間にあるものをどかして視界良好

最初に紹介するのは、「あなたと話し相手との間にあるものをどかすだけ」というシンプルな方法。2人の間にあるものは、たとえどんなに小さなものであっても、心理的な観点では障害物でしかありません。それらを相手の目の前で取り除くことで、「あなたと私を隔てるものがなくなった」ことが明確になり、心理的な距離が縮まるのです。

主な障害物は、飲食店ならメニュー、皿、グラス、灰皿など。オフィスならファイルや本などの資料、花や置き物、コーヒーカップなど。リビングならリモコン、雑誌、お茶菓子などがあり、これらをどかすことで、「私はあなたともっと話したい」という好意の伝達になり、「さあ話しましょう」という明確なスイッチになります。

ポイントは、最初から何もないのではなく、置かれていたものを相手が見える形でどかすこと。目の前で「わざわざ」どかすことで、相手は「自分が思っていた以上に、この人は会話を楽しもうとしてくれているんだな」と感じて気持ちよく話せるのです。

さらに、応用編としては、最初にわざと大きめのモノを置いておき、会話の途中でどかして盛り上げる。会話からフェードアウトしたいときは、さりげなくものを置くなどの方法もあります。また、2人の間に固定されたモノや重いモノが置かれているときは、座り位置を少しずらすのも1つの手。心理的には、モノをどかすのとほぼ同様の効果が得られるので、状況が許す限りぜひ実践してほしいと思います。

この方法は、夫婦や親友など深い関係の2人にもおすすめ。特に会話がなくても問題ないほど近い関係だけに、マジメな話や相談をするときはかえって構えがちですが、わざわざモノをどかすことで、相手は「どうしたの?」「何かあった?」とふだんよりも聞く耳を持とうとするでしょう。向き合って話すムードになるので、マジメな話や相談がしやすいのです。

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5種類のアイコンタクトを駆使する

幼いころから、「相手の目を見て話を聞きなさい」と言われていたかもしれませんが、コミュニケーションの活性化という意味では、それが必ずしも正しいとは言えません。相手のことをずっと見続けていると緊張感やプレッシャーを与えるだけなので、ときどき相手と目を合わせるくらいのほうが話しやすいものです。

目の合わせ方として心がけてほしいのが、「視線にメッセージを込める」アイコンタクト。「パスのタイミングや方向などを目で伝える」サッカー用語として有名になった言葉ですが、ふだんの会話中にも効果的に使うことができます。そもそも、話さずに意思を伝えられるのは、仲のいい証拠。言葉を発していなくても、目で「あなたの話を聞いています」「そうだよね」「面白い話だね」などのメッセージを伝えられるのです。

目のまわりをぼんやり見て相手の話を聞きながら、要所でハッキリ黒目を見るのがアイコンタクトの基本。心の中で「あなたの話を聞いていますよ」と言いながら、相手にほほ笑みかけるようにしましょう。

また、相手の話が進むにつれて、少しずつ視線を動かすのがおすすめ。キョロキョロすると「本当に聞いているのかな」「話がつまらないのかな」と思われてしまいますが、少し上を見ると「話を理解しようと考えているのかな」という印象を与えられます。さらに、相手が感情や意図を込めたことを言ったとき、上を見た状態から顔を少し下げて「そうだよね」「いいね」と心の中で言いながらアイコンタクトすれば好感度は上がるでしょう。

逆に、相手を下からのぞき込むように送るアイコンタクトもおすすめ。上目づかいは相手に素直さや従順さを感じさせるため、気楽な心境で話すことができるものです。

それ以外では、目を閉じた状態からゆっくり目を開いて相手を見るアイコンタクト、食事しながらの会話であれば料理を見て味わっている状態から急に目を合わせるアイコンタクトなども好印象。これら5種類のアイコンタクトを何度か送ることで、相手の話が弾むだけでなく、あなたに対する信頼も高まっていくものです。

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「相手の目を見て話しなさい」はウソだった

多くの人が小学生のころに「相手の目を見て話しなさい」と教えられますが、それは「素直な子に育てよう」「嘘をつかないために」という教育の一環であり、大人の世界ではそれが必ずしも正しいとは言いきれません。その理由はネットやモバイル機器が発達して、人と対面でコミュニケーションを取る機会が減ったから。「目を見ると恥ずかしくて話しづらい」という人が増えているのです。

先ほど書いたように、ずっと相手の目を見て話す必要はないのですが、会話が途切れそうなときは、「さすがに相手の目を見なければいけないかな」と思うのではないでしょうか?

しかし、そんなときですら問題ありません。ほとんど目を合わせなくても、話題に合わせたものを見ることで、相手に気持ちよく話してもらうことができます。たとえば、料理の話題なら料理を見ながら、天気の話題なら窓の外を見ながら、買い物の話題なら相手の服や持ち物を見ながら、仕事の話題なら資料やパソコンを見ながら、などというように、話題に合わせて視線を移していけば、相手を見なくても違和感はなく、自然な形で話せるのです。

また、オフィス、イベント会場、飲食店など、その場に来たばかりのときは、周りを見渡して気になっている素振りを見せるのも効果的。設備や装飾、壁に貼られたものや置かれたもの、他のメンバーやスタッフを見ることで、相手も興味を持って話しはじめるものです。

つまり、視線を送る対象は、自分と話し相手の視界に入るものなら何でもOK。よく「テーブル席よりもカウンター席のほうが親密な仲になれる」と言いますが、それは「体の距離が近い」という理由だけでなく、「目を合わせなくていいため話しやすい」から。視線を合わせずに話しかけるという行為は、自分のためだけでなく、相手から見てもいいことなのです。

ただ、気をつけてほしいのは、ときどき相手をチラチラ見ることと、目が合ったときは1秒くらい相手を見てすぐにそらさないこと。相手に「話がつまらないのかな」「こちらに関心がないのかな」などと思われかねないので気をつけましょう。

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『話しかけなくていい!会話術』
木村隆志 著
CCCメディアハウス

 

texte:TAKASHI KIMURA

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